BIGBANG、5年連続ドームツアー達成したライブの魅力 BBロス続出の活休前ラストツアーから考察

 3月14日にBIGBANGのLIVE DVD & Blu-ray『BIGBANG JAPAN DOME TOUR 2017 -LAST DANCE-』がリリースされた。本作の発売に際して「"海外アーティスト史上初の5年連続ドームツアー"を開催したBIGBANGの魅力」を分析するというのがこの原稿の趣旨なのだが、幸運なことに5年連続でドーム公演を観ることができた(すべて東京ドーム。2015年、2017年は京セラドーム大阪の公演も)筆者にとってもきわめて感慨深いテーマである。

BIGBANG JAPAN DOME TOUR 2017 -LAST DANCE- (TRAILER_DVD & Blu-ray 3.14 on sale)

 まずはBIGBANGのこれまでのドームツアー実績を紹介しておきたい。

1年目:『BIGBANG JAPAN DOME TOUR 2013~2014』(全6都市16公演77万1,000人動員)2年目:『BIGBANG JAPAN DOME TOUR 2014~2015 "X"』(全5都市15公演74万1,000人動員)
3年目:『BIGBANG WORLD TOUR 2015~2016 [MADE] IN JAPAN』(全4都市18公演91万1,000人動員)
4年目:『BIGBANG10 THE CONCERT : 0.TO.10 -THE FINAL-』(全4都市16公演78万1,500人動員)

 そしてメンバーの入隊前最後となった『LAST DANCE』ツアーは、福岡 ヤフオク!ドーム、京セラドーム大阪、ナゴヤドーム、東京ドームの全4都市14公演で69万6,000人を動員。総計すると5年間で全85回のドーム公演を行い、420万5,500人動員したことになる。言うまでもなく、圧倒的な数字だ。BIGBANGがアイドル的な人気を得ていることは間違いないが、単にルックスやビジュアルだけではなく、アーティストとしての魅力がないとここまで高いレベルの動員を維持することは不可能だろう。

 実際、彼らのライブは年を重ねるたびに進化してきた。2012年~2013年あたりまでは、カリスマティックな存在感とクリエイターとしての高い資質を備えたG-DRAGON、際立ったビジュアルの良さとヒップホップアーティストとしての豊かな才能を共存させたT.O.Pが目立っていたのだが、その後、他のメンバーの3人が急激に成長。「じょいふる」(いきものがかり)、「古い日記」(和田アキ子)などのJ-POPカバーと親しみやすいキャラクターで日本のファンにアピールしたD-LITE、エレクトロ、EDMを軸にしたソロアルバム『LET’S TALK ABOUT LOVE』で“セクシーな表情を持つシンガー”としての個性を確立したV.I、そして、最新鋭のR&Bマナーを取り入れたサウンドと卓越したボーカルスキルによってソロアーティストとしても高く評価されたSOL。特にSOLの歌のパワーは凄まじく、2015年以降はステージ全体を牽引するほどの存在感を放っていた。

BIGBANG - FANTASTIC BABY (JAPAN DOME TOUR 2017 -LAST DANCE-)

 BIGBANGのライブを大きく進化させたもう一つの要因は、2015年にスタートした『MADE』シリーズの楽曲。瞬く間に新たなライブアンセムとして浸透した「BANG BANG BANG」「SOBER」、カラフルなパーティチューン「FXXK IT」、哀切なバラードナンバー「LOSER」などを含んだこのシリーズは、サウンドメイク、演出の両面でBIGBANGのライブを一変させた。正直に言うとドームツアーの2年目(2014~2015年)あたりで新しい楽曲をいれなければ観客も飽きてしまうのではないかと思っていた筆者だが、3年目以降はそんな不安もなく、加速度的に進化していくBIGBANGを心から楽しむことができた。4年目はT.O.Pの入隊前というタイミングもあり“5人のBIGBANGはしばらく見られない”という状況だったわけだが、今回のツアーは“BIGBANG自体がしばらく活動できない”というタイミングなので、ファンの思いもさらに強かったはず。そして“第一期BIGBANGのラスト”というべき作品が、LIVE DVD & Blu-ray『BIGBANG JAPAN DOME TOUR 2017 -LAST DANCE-』なのだ。

 2017年12月13日に行われた東京ドーム公演を完全収録(全25曲/2時間50分)した本作。その最大の特徴は、新旧のヒット曲、代表曲、人気曲が網羅されていること。日本メジャーデビュー曲「MY HEAVEN」、彼らの代名詞とも言える「FANTASITC BABY」から最新アルバム『MADE』の楽曲まで、これまでの歴史をプレイバックするような構成になっているのだ。さらにメンバー4人の個性を活かしたソロコーナーも充実。まったく異なるセンスと音楽性を持ったアーテイストの集合体こそがBIGBANGであると、改めて実感してもらえるはずだ。

BIGBANG - HANDS UP (JAPAN DOME TOUR 2017 -LAST DANCE-)

 特にインパクトを感じたパフォーマンスをいくつか紹介したい。まずはオープニング。超巨大なLEDビジョンに映し出されたムービーから始まり、G-DRAGON、SOL、D-LITE、V.Iがステージ中段に登場。凄まじい歓声が巻き起こるなかに「HANDS UP」「SOBER」というアッパーチューンが放たれ、ドーム全体が圧倒的な高揚感に包まれる。さらにT.O.Pのラップパートに合わせてD-LITEがフロウを重ねたり、V.Iがいきなり腕立て伏せをはじめたり(その姿をG-DRAGONがしゃがみ込んで眺めながら歌う)、ファンにとってはたまらない場面の連続。臨場感に溢れた映像も素晴らしい。

 メンバーの個性がぶつかり合うコラボレーションコーナーも見どころたっぷり。D-LITEとV.Iは「芸人かよ!」とつっこみたくなるようなトークを繰り広げた後(ふたりとも本当に日本語が上手い)、「ナルバキスン (Look at me, Gwisun)」をデュエット。韓国の歌謡曲“トロット”を取り入れた楽曲にヒャダイン(前山田健一)が日本語詞を乗せたこの曲は、BIGBANG流の“宴会ソング”。こういうコミカルな(?)ステージングもこのグループの魅力だ。GD × TAEYANG(SOL)はドープなヒップホップチューン「GOOD BOY」を披露。最先端のヒップホップを同期したトラック、キレのあるラップ、ソウルフルなボーカリゼーション、セクシーなパフォーマンスがひとつになったこのシーンは、BIGBANGの音楽性の高さを改めて証明していると言えるだろう。

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