竹達彩奈が語る、表現や歌手活動に対する本音「5年間やらせていただいて吹っ切れた部分もある」

竹達彩奈、5周年で芽生えた変化

「そろそろ私の暗い部分を出しても許されるのではないか」

ーーカップリング曲の「セピア色」についてもお話を伺いたいのですが、こちらは奥華子さんが作詞・作曲されています。奥さんは1stアルバム『apple symphony』(2013年)に収録された「HIKARI」以来の楽曲提供になりますが、このタイミングで再び曲を書いていただいたのには何か理由が?

竹達:実は私の心の中ではずっと、また奥華子さんに曲を書いてもらいたいと思っていて……でも「いいのかな?」という気持ちもあって…(笑)。

ーー何を逡巡することがあるんですか(笑)。

竹達:以前書いていただいた「HIKARI」は、ファン投票でも3位になるくらい、みんなの中で大きな曲になっていて、もう一度書いてもらうからには、それくらいみんなに愛してもらえる曲になってほしいという気持ちがあったんです。でも、私の中では次に奥さんに曲を書いてもらうのであれば、「HIKARI」みたいに明るくて優しく包み込むような曲ではなく、切なくて寂しいイメージの曲を書いてほしかったんです。私は普段、悲しい感じの曲を聴くのが好きなので。

ーーそうなんですね。

竹達:それで、ポニーキャニオンさん的にそういう悲しい曲を書いてもらっても大丈夫なのであれば……ということで相談させてもらいました(笑)。私は今まで明るい曲や元気な曲、カッコいい曲みたいに、わりとプラスなイメージの曲を歌うことが多かったので、そろそろ光と陰でいう陰の部分を歌ってもいいのかな? という気持ちがあったんですよ。年齢的にも、そろそろ私の暗い部分を出しても許されるのではないかと思いまして(笑)、今回はチャレンジさせてもらいました。

ーーたしかに曲調的にも寂しい感じのバラードで、これまでのファンが聴くと「あれっ?」って心配してしまいそうな内容ではありますね。

竹達:そうなんです。「何かあったの?」みたいに心配をさせてしまうのではないか、ビックリさせてしまうのではないか、とも思いました。でも安心してください、何もないです (笑) 。ただ、やっぱり私も人間なので、生きていくことは楽しいだけじゃないと思うこともあります。辛いことや悲しいことがいろいろあったときに、その部分だけを抽出して濾したのがこの曲なのかなって思います。

ーー僕はこの曲を初めて聴いたときに「もしかしてこれでお別れ?」と思ってしまいましたから。

竹達:ウフフ。でもお別れをテーマにしているので、もちろんそう思っていただいて正解なんですよね。生きてると絶対に大切な人とのお別れってあるじゃないですか。でも、そういう別れがありつつ、でもそれを背負って頑張って生きていこうねっていう、寂しいけど前向きな気持ちをイメージしています。なので、悲しいままではいてもらいたくないですね。

「5年間やらせていただいて吹っ切れた部分もある」

ーーこのタイミングでそういう曲を歌おうと思ったのは、昨年のベスト盤で一区切りがついたことも関係するのでしょうか?

竹達:たしかに一区切りはあると思います。私はもう5年間音楽をやってきて、その中で自分のやりたいことをやらせてもらっていました。ただ、そう言いながらも世間が自分に持っているパブリックイメージや、それらをお仕事として考えたときに、「絶対に可愛い服を着て、絶対に可愛いポーズをとって、絶対に可愛いMVを撮らなければいけない」みたいなものもあったんですよ。でも、5年間やらせていただいて吹っ切れた部分もあって、もうちょっとおおらかに音楽をやってもいいのかなと思えるようにもなりました。今回の「セピア色」は可愛さを意識してないし、“28歳の竹達彩奈の等身大”みたいなイメージで歌わせていただいてます。もちろん可愛い曲を歌って可愛く振る舞う作品を作るのも楽しいんですけど、もうちょっとナチュラルな部分も出して、表現の幅を広げられたらと思ってるので、これからはもう少し気楽にやれたらいいなあと思っています。それは5年という節目があったからこそ、至った考えなのかもしれません。

ーー「OH MY シュガーフィーリング!!」でのビター感を意識した歌い方もそうですし、ご自身の中で音楽活動に対する変革みたいなものがあったんでしょうね。

竹達:まあ、5年も経てばイヤでも大人になりますからね。やっぱり流れていく川のように同じ場所にはいられないから、自分のやりたいこととか自分の表現したいものをゆっくり見つけていきたいと思ってます。

ーーちなみに竹達さんは“悲しい曲”のどういうところに惹かれるのですか?

竹達:何でですかね。昔から好きで、普通にいい曲って思いながら聴いてるんですけど…。

ーー悲しい曲の方が共感できるとか?

竹達:うーん……楽しい気持ちって人と共有し合えるじゃないですか。でも、悲しい気持ちは共感しづらいというか、あまり人に話すことでもないし、見せるものでもないと思った時に、それを1人で楽しむじゃないんですけど、曲と共有し合うみたいな感じですかね。別に「この曲を聴いてすごい泣きたいんです」とかでもないんですけど、たぶん悲しいテイストの曲に惹かれるのは普段の私がそこまで明るい人間ではないからかもしれません。

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