現役CDショップ店員が紐解く、Brian the Sunの魅力と最新作での変化

 Brian the Sunが、1月10日にメジャー2ndアルバム『The Sun』をリリースした。TVアニメ『3月のライオン』第2シリーズエンディングテーマの「カフネ」をはじめ、メジャー1stアルバム『パトスとエートス』で見せた凶暴性(森良太(Vo/Gt)曰く「男性的な表現」)と対になるような、優しくポップな楽曲が並んだアルバムに仕上がっている。

 今回はこのアルバムとBrian the Sunの魅力をより深く紐解くべく、彼らの音楽にいち早く反応し、応援を続けているTOWER RECORDSスタッフ・FM802DJの板東さえか氏を取材。彼女の書いたアルバムのレビューも添えながら、Brian the Sunの音楽性について迫ってみた。

板東さえかによるBrian the Sun『The Sun』レビュー

 バンド名を冠したメジャー2ndアルバム、『The Sun』はこれまでとは違うBrian the Sunのポップサイドが前面に打ち出された1枚に仕上がっている。TVアニメ『3月のライオン』第2シリーズエンディングテーマ「カフネ」、TVアニメ『兄に付ける薬はない!』主題歌「Sunny side up」、NHK(Eテレ)『ねこねこ日本史』エンディングテーマ「ねこの居る風景」など、既発のタイアップ曲からも伺えるように優しく温かみのある楽曲を中心にポップなメロディーが輝く全11曲を収録。Brian the Sunらしい疾走感やエッジの効いたサウンドアプローチはもちろん、耳を傾けてはその詞世界に浸ることのできる楽曲ばかり。彼らの音楽にはいつもどこか心の中にある何かがノックされる。この先にどんな更なる進化が待っているのかがますます楽しみな結成11年目の幕開け!!

Brian the Sun 『the Sun』まぶしすぎるミュージックビデオ 

 大阪を拠点に活動をスタートさせ、自主制作盤を立て続けにリリースしていたBrian the Sun。板東氏は彼らの音楽に出会ったきっかけについてこう語る。

「地元・大阪をベースに活動の幅を拡げていたバンドなので名前は知っていたんですが、メンバーの白山治輝(Ba)くんと大学の同級生で、共通の知り合いをきっかけにBrian the Sunの音楽と出会いました。世代のカルチャーはもちろん、影響を受けている音楽に共通点も多く、自然と自分の音楽ライブラリに並びました。出会い方が違っても、きっとそうなったんじゃないかなと感じています」

 同世代として共通点も多く、自然と馴染んだというBrian the Sunの音楽。続いて、最大の魅力はその「余韻」にあると述べる。

「フレーズが妙に残ったり、心に思い切り刺さったり、しばらく考えさせられたり……Brian the Sunの楽曲を聴いたあとやライブに行ったあとは、自分と向き合う時間が多くなります。それはインディーズ時代に初めてBrian the Sunのワンマン(2013年の福島LIVE SQUARE 2nd LINE)を観に行った時に感じてそれからずっと今も変わらず。森良太くんが綴る文学的な詞世界がそうさせていることは明らかなのですが、ライブにおいては特に、1つのステージで伝えたいことが明確なんだと思います。それが毎度伝わってきてはしかと残る、もらって帰るものが多いです」

 「文学的」と評する歌詞についても、最新作ではこんな曲が気になったという。

「Brian the Sunらしい疾走感で、詞がドライブするようにメロディに乗っている『Sunny side up』。全体的に好きですが、特にサビの<銘々今を楽しめればそれでgood good>のところが、かなりフックが効いていて、新鮮で、意外性もあって好きです」

 また、最新作の楽曲における注目ポイントについても、このようにコメントしてくれた。

「オープニングを飾る『The World』のサビ。ボーカルと楽器それぞれのパートとがバトンタッチしているようで、フォーカスされるメインの音に動きがあって耳で追いかけるのが楽しいです」

 最後に、ここまで応援を続けてきたBrian the Sunが、今後どんなアーティストになっていきそうかという点について、こう話してくれた。

「歳を重ねていくことに伴うバンドの変化が楽しみではあるものの、変わらないものを届け続けてくれると思っています。ものすごいスピートで時代が移り変わっていく中で、忘れたくないことや見落としていることに気づかせてくれる存在、その事柄が普遍的であればあるほど、アーティストとしても普遍的な存在になるんじゃないかと想像しています」

 ここまでの11年で、音楽的な表現は変化しつつも、ブレない芯の強さを見せてくれているBrian the Sun。彼女の言う通り、そのメッセージはますます普遍的になっており、より遠くに広がる可能性のあるものだ。

 これまでの歌詞は毒々しさや斜に構えたスタンスが垣間見られる強い言葉が多かったものの、今作では1曲目の「The World」から、<まぁ どうせ他人だって あきらめたら一人でいるのと一緒>と諦めのような感情が顔を覗かせ、次第に優しさへと変わっていき、最後はメンバーに向けて<生まれ変わっても もういちどバンドもやろうぜ>と歌う「the Sun」で締めくくられる。全力であらゆる状況にぶつかってきたバンドが、今作で一気に良い意味で力が抜けたように見えるのは、この“諦め”によるところも大きいだろう。

 そんな楽曲が数多く収録された『The Sun』は、バンドの表現を拡張し、また一つ上のステージへ押し上げた快作といえる。11年目で掴み取ったこのモードは、Brian the Sunにとって、新たな可能性の旗印だ。

(文=中村拓海)

Brian the Sun『the Sun』

■リリース情報
『the Sun』
発売:2018年1月10日(水)
価格:DVD付初回生産限定盤 ¥3,600(税抜)
通常盤 ¥2,700(税抜)

特設サイト

■ツアー情報
Brian the Sun TOUR 2018『the Sun』
2月22日(木) 千葉 千葉LOOK <対バン>
2月24日(土) 横浜 横浜BAYSIS <対バン>
2月25日(日) 宇都宮 HEAVEN'S ROCK VJ-2 <対バン>
3月3日(土) 松山 Double-u studio <ワンマン>
3月8日(木) 広島 CAVE-BE <対バン>
3月11日(日) 北海道 北海道BESSIE HALL <ワンマン>
3月14日(水) 鹿児島 鹿児島SR HALL <対バン>
3月15日(木) 宮崎 宮崎SR BOX <対バン>
3月17日(土) 大分 大分カンタループⅡ <対バン>
3月21日(水・祝) 宮城 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd <ワンマン>
3月24日(土) 兵庫 神戸VARIT. <対バン>
3月25日(日) 香川 高松DIME <対バン>
3月31日(土) 京都 KYOTO MUSE <対バン>
4月1日(日) 岡山livehouse IMAGE <ワンマン>
4月7日(土) 新潟 新潟CLUB RIVERST <ワンマン>
4月8日(日) 石川 金沢VANVAN V4 <ワンマン>
4月14日(土) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO <ワンマン>
4月22日(日) 東京 赤坂BLITZ <ワンマン>
5月19日(土) 福岡 福岡BEAT STATION <ワンマン>
5月27日(日) 大阪 なんばHatch <ワンマン>
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