<ハロプロ>20年間からベスト100曲を選出 独断だが偏見ではない楽曲レビュー(後編)

■085 Eli, Eli, Lema Sabachthani?/オールキャスト
作詞:末満健一、新良エツ子 作曲・編曲:和田俊輔
収録盤:モーニング娘。’14×スマイレージ『演劇女子部 ミュージカル LILIUMリリウム 少女純潔歌劇 オリジナルサウンドトラック』(2014年8月6日発売)

 末満健一が脚本・演出を務めたミュージカル『リリウム 少女純潔歌劇』は、吸血鬼伝説を題材にした内容で高い評価を得た。その高評価を支える一要因として、オリジナル劇中歌のクオリティの高さを挙げることもできるだろう。小田さくら、田村芽実、鞘師里保ら実力派メンバーが歌うソロ曲もいいが、ここでは出演者全員で劇の冒頭に歌われるテーマ曲的な「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」を挙げておく。サントラCDは名盤だ。

■086 永久の歌/Berryz工房
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木俊介
収録盤:Berryz工房『ロマンスを語って / 永久の歌』(2014年11月12日発売)

永久の歌/Berryz工房

 11年続いたグループの両A面ラストシングル。冬のイメージを想起させるモータウン的なコーラスソング「ロマンスを語って」も可憐で美しい仕上がりだが、やはりファンにとっては「永久の歌」のほうがさらに熱く感動できる一曲である。アレンジ自体はシンプルなロックサウンドだが、何と言っても歌詞が素晴らしい。〈一緒に居た素敵な空間 最高に幸せな時間〉という一節は、Berryz工房のライブを体験したファンなら誰でも納得できるフレーズのはずだ。

■087 大器晩成/アンジュルム
作詞・作曲:中島卓偉 編曲:鈴木俊介
収録盤:アンジュルム『大器晩成 / 乙女の逆襲』(2015年2月4日発売)

大器晩成/アンジュルム

 3期メンバー3名(室田瑞希・相川茉穂・佐々木莉佳子)が加入し、グループ名が「スマイレージ」から「アンジュルム」に改名した2014年末。先行き不安な雰囲気の中、2015年最初のライブで本曲が初披露され、そんな不安は一掃された。中島卓偉作詞作曲によるファンキーなロックチューンは、ポジティブな生命力にあふれていた。特に新メンバー室田瑞希の、間奏後にハイトーンで歌い上げる箇所はアンジュルムの今後の躍進を予感させる輝きに満ちていた。状況と楽曲が上手く噛み合った好例。

■088 乙女の逆襲/アンジュルム
作詞:児玉雨子 作曲:川辺ヒロシ、上田禎 編曲:CMJK
収録盤:アンジュルム『大器晩成 / 乙女の逆襲』(2015年2月4日発売)

乙女の逆襲/アンジュルム

 前述の「大器晩成」との両A面シングルとしてリリースされた一曲。これまであるようで意外と無かった、ゴシックホラー的な意匠をまとった曲調。作詞の児玉雨子はこれが正規ハロプログループ初提供。川辺ヒロシやCMJKといった90年代音楽ファンには馴染みのある面子も初参加。つんく♂以外の作家が本格的にハロプロ楽曲の作り手として活動し始めた最初期のシングルということで、この両A面はハロプロ史において意味の大きい一作と言える。

■089 「恋したい新党」/ハロプロ研修生
作詞・作曲:つんく Rap詞:U.M.E.D.Y. 編曲:AKIRA
収録盤:ハロプロ研修生『① Let’s say “Hello!”』(2015年2月18日発売)

 ハロプロ研修生のアルバム『① Let’s say “Hello!”』には、全曲つんく♂作詞作曲のオリジナルナンバーが並んでいる。特に制約なく自由に制作することができたという楽曲群は、これまでつんく♂がハロプロで作ってきた様々な曲調を使って構成したベストアルバムと捉えることもできる。中でも本曲はヒップホップ・ソウル路線において一二を争うほどの完成度。U.M.E.D.Y.の男声ラップと研修生たちの女声ボーカルがしのぎを削っている。

■090 愛おしくってごめんね/カントリー・ガールズ
作詞:児玉雨子 作曲:加藤裕介 編曲:加藤裕介、A-bee
収録盤:カントリー・ガールズ『愛おしくってごめんね / 恋泥棒』(2015年3月25日発売)

愛おしくってごめんね/カントリー・ガールズ

 カントリー娘。がカントリー・ガールズと改称、メンバーも一新され再始動となった。アメリカン・ポップスを基調とする可愛らしくアイドルっぽい楽曲が多いのがカンガルの特色で、それは1stシングルとなった本曲からすでに明確に示されていた。あざといまでのセリフパート、頭に手をかざす「ごめんね」ポーズなどが強力なフック。現在は脱退してしまった幻の初期メンバー、うたちゃんこと島村嬉唄の可憐さもインパクト大だった。

■091 念には念/こぶしファクトリー
作詞・作曲:アベショー 編曲:鈴木俊介
収録盤:こぶしファクトリー『念には念 / サバイバー』(2015年3月26日発売)※DVDシングル

念には念/こぶしファクトリー

 こぶしファクトリーのインディーズ1stシングル。メジャーデビュー時には新バージョンがリリースされた(YouTubeのリンクはそちらのバージョン)。T. Rex「20th Century Boy」やThe Who「My Generation」といったロック・クラシックスへのオマージュを感じさせるサウンド、がなり声が効いたメンバーの歌唱などが特徴。これらの要素は以降のこぶしファクトリー楽曲にも引き継がれ、グループのひとつの色となった。

■092 我武者LIFE/℃-ute
作詞:SHOCK EYE 作曲:KOUGA supported by SHOCK EYE 編曲:soundbreakers
収録盤:℃-ute『The Middle Management 〜女性中間管理職〜 / 我武者LIFE / 次の角を曲がれ』(2015年4月1日発売)

我武者LIFE/℃-ute

 メジャー27枚目となるトリプルA面シングルの内の一曲。テレビ朝日系『musicるTV』の番組内企画から生まれた楽曲で、湘南乃風のSHOCK EYE、新人コンポーザーのKOUGAらが曲制作に関与。℃-uteにおいてつんく♂以外の作家が参加しはじめた最初のシングルであり、グループの魅力を引き出す楽曲の選択肢に新たなバリエーションが加わった。ライブでは曲後半のラップパート以降からの展開が一際盛り上がる。

■093 Magic of Love (J=J 2015 Ver.)/Juice=Juice
作詞・作曲:つんく 編曲:村山晋一郎
収録盤:Juice=Juice『First Squeeze!』(2015年7月15日発売)内、通常盤 特典CD『The Cover Juice』

 元々は太陽とシスコムーンの1999年シングルのカバー。当初はJ=Jのライブで歌われる過去ハロプロ楽曲カバー群の内のひとつに過ぎなかったが、高木紗友希のフェイクパートなどによってオリジナル曲と同等の人気を得るようになる。現在ではJ=Jライブに欠かせない一曲だ。近年では金澤朋子の歌パート〈どこにいるの?〉の後に〈ここだよ朋子!〉とファンコールを入れるのが定番化するなど、さらなる進化を見せている。

■094 今すぐ飛び込む勇気/モーニング娘。’15
作詞:児玉雨子、三浦徳子 作曲:泰誠 編曲:浜田ピエール裕介
収録盤:モーニング娘。’15『Oh my wish! / スカッとMy Heart / 今すぐ飛び込む勇気』(2015年8月19日発売)

今すぐ飛び込む勇気/モーニング娘。’15

 12期メンバー4人が加わってから2作目のトリプルA面シングルの内の一曲。後期メロン記念日や真野恵里菜を担当し、現在も多数のハロプログループにディレクターとして携わっている、シャ乱Qのキーボード・たいせいが初めて娘。へ提供した楽曲でもある。全編に漂う情感が美しく、特に間奏以降のストリングスやピアノに導かれていくパートが聴きどころ。つんく♂以外の作家による娘。楽曲の可能性を感じさせてもくれる。

■095 次々続々/アンジュルム
作詞:児玉雨子 作曲・編曲:平田祥一郎
収録盤:アンジュルム『次々続々 / 糸島Distance / 恋ならとっくに始まってる』(2016年4月27日発売)

次々続々/アンジュルム

 「大器晩成」「臥薪嘗胆」に続く、アンジュルム四字熟語タイトルナンバーの第3弾。大久保薫と並び、これまで多数のハロプロ楽曲を編曲していたヒラショーこと平田祥一郎が、編曲のみならず作曲まで担当する初の一曲。アグレッシブなEDMサウンドと、アンジュの勢いあるパフォーマンスが見事に合致した非常に力強い仕上がりだ。田村芽実ラスト参加シングルということもあり、出会いと別れがテーマの歌詞を児玉雨子が巧みに描いている。

■096 泡沫サタデーナイト!/モーニング娘。’16
作詞・作曲:津野米咲 編曲:鈴木俊介 ストリングスアレンジ:クラッシャー木村
収録盤:モーニング娘。’16『泡沫サタデーナイト! / The Vision / Tokyoという片隅』(2016年5月11日発売)

泡沫サタデーナイト!/モーニング娘。’16

 鈴木香音ラスト参加シングルであり、ガールズバンド赤い公園のギタリスト津野米咲が初めてハロプロへ楽曲提供。ハロプロ楽曲のメイン要素であるディスコサウンドへ、20代かつハロプロファンを公言する彼女が挑んだ形となった。新世代の「LOVEマシーン」と喧伝されていたが、むしろ曲調的には「恋愛レボリューション21」のほうが近く、娘。の新たな代表曲になり得るポテンシャル十分の、スマートで完成度の高い一曲。

■097 辛夷の花/こぶしファクトリー
作詞・作曲・編曲:星部ショウ
収録盤:こぶしファクトリー『辛夷其ノ壱』(2016年11月30日発売)

辛夷の花/こぶしファクトリー

 1stアルバム『辛夷其ノ壱』は、アルバム用新曲を7曲収録という充実の内容だった。そのアルバム最後を飾っていたのが本曲。グループ名は「握り拳(こぶし)」と「辛夷(こぶし)の花」のダブルミーニングであり、そこをテーマとした作詞および作編曲は、若手コンポーザーの星部ショウ。フォーク調の少し泥臭いサウンドが、10代女子が歌うことで真っ直ぐな輝きへと転化された、グループの代表曲といっていい一曲だ。MVの出来もかなり良い。

■098 初恋サンライズ/つばきファクトリー
作詞:井筒日美 作曲:山田祐輔 編曲:近藤圭一
収録盤:つばきファクトリー『初恋サンライズ / Just Try! / うるわしのカメリア』(2017年2月22日発売)

初恋サンライズ/つばきファクトリー

 こぶしファクトリーと同じく2015年にグループ結成されたものの、メジャーデビューまでにかなりの時間が空いてしまっていたのがつばきファクトリー。メジャー1stトリプルA面シングルの他2曲はやや変化球気味の仕上がりだが、本曲はストレートなアッパーチューンだ。さらにセリフパートや、ファンも一緒に飛び上がることができる通称「サンライズジャンプ」などのフックによって、「つばき始まったな!」感にあふれている。

■099 ジェラシー ジェラシー/モーニング娘。’17
作詞・作曲:つんく Rapアレンジ:U.M.E.D.Y. 編曲:大久保薫
収録盤:モーニング娘。’17『BRAND NEW MORNING / ジェラシー ジェラシー』(2017年3月8日発売)

ジェラシー ジェラシー/モーニング娘。’17

 13期メンバー加入後初シングル。ヒップホップやハウスなどの黒人音楽要素をアイドルポップスに昇華させるという意味合いにおいて、本曲はただならぬ完成度を見せている。特にラップパートでは、The Sugarhill Gang「Rapper’s Delight」からの引用フレーズを帰国子女の野中美希がネイティブに発音したり、さらに「女性が持つ嫉妬」というテーマを象徴する〈Rich、Young、Girly、細い〉というリリックなど、聴き逃せない箇所多数。

■100 Fiesta! Fiesta!/Juice=Juice
作詞:井筒日美 作曲:エリック・フクサキ 編曲:大久保薫
収録盤:Juice=Juice『Fiesta! Fiesta!』(2017年8月23日発売)※配信シングル

Fiesta! Fiesta!/Juice=Juice

 ペルー出身の日系3世ミュージシャンであるエリック・フクサキが作曲。ラテン+EDMのアグレッシブなサウンド。エリック本人によるスペイン語ラップはかつてのつんく♂コーラスを彷彿とさせるし、歌詞の〈ワナノマリラ=Wanna know my real love〉が太陽とシスコムーン〈ガタメキラ=Gotta make it love〉へのオマージュだったりと、過去ハロプロ楽曲イズムが隔世遺伝している感が素晴らしい。新加入メンバー段原瑠々による、曲冒頭の堂々たる歌唱も最高。

ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。

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