BABYMETALでも活躍 “ギターの神”藤岡幹大が残したステージでの勇姿を振り返る

 先ほどのアルバムで真っ先に聴き返したのは、15トラック目に収録されたSU-METALのソロ曲「Amore -蒼星-」だった。この曲の間奏では、BOHがフレットを叩きつけるように奏でるベースラインにはじまり、藤岡と大村のギターへと繋がる場面がある。

 神バンドのメンバーは誰もが、卓越した技術を持つミュージシャンであることは素人目ながらにも十分感じられることだ。ただ、同じギターを担当する藤岡と大村のタイプは異なる。藤岡が丁寧に“泣かせる”ような音色を奏でるのだとすれば、大村は大きく目を見開き客席を鼓舞するかのようなパフォーマンスもあいまって、情熱的な音色を奏でる印象がある。

 藤岡の勇姿はもう、記憶の中でのみ語り継がれることになったのは事実である。しかし、BABYMETALのステージを通して、多くのファンが全身で体感した記憶はけっして色あせることはない。正直、ライターとして“人の死”を扱うということに、初めはどうしても臆病になっていたのだが、今はその一人として、藤岡の歩みをわずかでも残せたことを光栄に思う。

 そして、藤岡氏がいないという真の実感はきっと、次に行われるBABYMETALのステージで味わうことになるのかもしれない。記憶の火をたやさぬよう、噛み締めながら音源や映像を振り返っていきたい。

■カネコシュウヘイ
編集者/ライター/デザイナー。アイドルをはじめ、エンタメ分野での取材や原稿執筆を中心に活動。ライブなどの現場が好きで、月に約数万円はアイドルへ主に費やしている。単著に『BABYMETAL 追っかけ日記』。執筆媒体はWeb『ダ・ヴィンチニュース』『クランクイン!』『ウレぴあ総研』、雑誌『日経エンタテインメント!』など。

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