シングル『WIPEOUT』インタビュー
Crossfaithが語る、海外&同世代バンドからの刺激 「やってきたことは間違ってなかった」
「スピード感が重要なので、キーが高いほうがイメージに合っていた」(Kazuki)
ーーシングルのオープニングトラック「Wipeout」を聴いたとき、正直ここまで開放感のある気持ち良い楽曲が来るとは思ってなかったから、新鮮な驚きがありました。特に本作は2018年最初のシングルだし、10周年ツアーを経て最初のシングルというのもあるし、そういう区切りのタイミングに出す楽曲というを意識していたんでしょうか?
Teru:作っている段階ではリリースタイミングまでは意識していなくて。この曲の開放感というのは、チューニングもこの曲だけ『FREEDOM』の楽曲群とも違っているからじゃないかな。普段の俺たちはBチューニングが多いんですけど、「Wipeout」はCrossfaithで初めて使うキーなんです。この曲の持っている近未来の眩しすぎるぐらいの情景がしっくりくるのは今のチューニングだなと思うし、そういうところが新年のフレッシュな感じと相まって聴いてもらえたのなら、それはそれでよかったなと思います。
ーー近未来といえば、本作には「NEO TOKYO」というテーマが用意されていますよね。これだけ海外で活動している中で、なぜ東京を再定義しようと思ったんでしょう?
Teru:それは俺らが日本人だからじゃない?
Koie:うん。それと同時に、漠然と『AKIRA』の世界観とかそういう未来を描いていこうっていうアイデアもあって。それが別に「NEO OSAKA」でもよかったけどね。
Hiro:「NEO OSAKA」だと新世界(大阪の繁華街)やな。
他のメンバー:(笑)。
Koie:だから、そういう意味での「NEO TOKYO」なんです。その未来というのがなんなのかを、次のアルバムで定義できたらなと。
ーーそこにつなげていくための、ひとつのテーマであると。それを聞くと、アルバムがますます楽しみになりますね。
Teru:ですね。アートワークで全員ビリケンさんみたいな顔してるかもしれないし。
Hiro:それ「NEO OSAKA」や!
他のメンバー:(笑)。
ーー(笑)。歌詞からもすごくポジティブな印象を受けましたが、Koieさんはこの曲を通してどういうメッセージを伝えたいんでしょうか?
Koie:前作の「Freedom」では自分のためだけの自由を自分自身の手で掴み取るということを歌っていて、それが「Freedom」が持つ近未来感にも通ずるものがあったと思うんです。で、今回の「Wipeout」はTeruが漠然と「未来のレースゲーム」みたいなキーワードを挙げていて、なるほどなと。その迫り来るスリリングさは曲の冒頭で表現されていますよね。そこから、未来というキーワードに対して、時間の流れの中で未来に向かっていくことと、自分の中で新しい1ページを作っていくことを重ね合わせて、「未来から押し寄せる光から逃れることはできない、だったら自分たちから飛び込んでいこうぜ」みたいなことを歌おうと思いました。だから、根本にあるメッセージは「Freedom」と近いのかもしれないですね。
ーーなるほど。
Koie:あと、俺の性格もあると思うんですけど、シングルのリードトラックには前向きなメッセージの曲がいいやろ、と。だから曲の開放感も相まって、サビとサビ以外の部分でのコントラストみたいなものを考えながら作りました。歌詞もメロディも、今までの曲の中でもかなり時間をかけて作ったほうじゃないかな。キーが今までと違うというのもあるやろうし、その中で演奏がキャッチーやからってボーカルのラインまでキャッチーになりすぎるとな、みたいなことも考えたし。良い具合のところはどこなんやろうと、探すのに時間をかけましたね。だから、ただのポップチューンを作るんじゃなくてCrossfaith流の開放感のある楽曲というのを意識しました。それこそ、最初はAメロ、Bメロがメロディアスだったんですけど、「いや、ここはシャウトでしょ!」と変えて。シャウトでいって、その次のパートはラップとシャウトを混ぜたようなものにして追い込んで、サビにたどり着くみたいにね。
ーーキーが変わると、曲の雰囲気が大きく変わりますものね。
Teru:カラオケのキーを変えるのを意識してもらえると、わかりやすいんじゃないかな?
Hiro:確かに!
Kazuki:半音変わるだけでも、曲の雰囲気が変わるからね。
Hiro:チューニングが変わってくると弦のテンションも変わって、同じベースやのに違う音に聴こえるし。
Kazuki:実際、Bチューニングでの「Wipeout」と今のチューニングの「Wipeout」を聴き比べているときも……。
Koie:Bチューニングもカッコ良いんやけどね。
Kazuki:うん。今よりももっとヘヴィな音で、もっと怖い印象があったんですけど、この曲に関してはスピード感が重要になるので、キーが高いほうがイメージに合っていたのかな。
Koie:そうだね。Teruのシンセの音階も、一番抜けが良かったのが今のキーのほうだったし。
Hiro:曲自体が持っている開放感と、走り抜けていく中にある危うさも、このチューニングだと絶妙で。
ーーそういう場面で、エンジニアのドリューはアドバイスや意見を述べることはあるんですか?
Kazuki:「こういうのがいいんじゃない?」みたいなアドバイスもあるんですけど、基本的には「決定権はバンドにあるんやから、お前らの曲だしお前らが良かったらそうしよう」という感じです。歳も近くてそのへんの柔軟性もあるし、こっちの意図も汲み取ってくれる人なので、そういう意味ではやりやすいんですよ。
Koie:「Wipeout」に関してはほぼ俺たちだけで完成させた感じですね。逆に「Inside The Flames」と「Vermillion Gold」に関しては、ボーカルもドリュー監修で録ったので。
Kazuki:「Inside The Flames」はアレンジも、ドリューと一緒にガッツリ変えたし、そういう意味では今までのCrossfaithにはないアプローチ感もありますね。