百花(元NMB48木下百花)、再始動後初イベントで見せた“弱い部分”
「生きるとは何か。人は苦しむために、生まれてきたのではない。私はそう信じたい。人は幸せになるために生まれて、人は幸せになるために生きるんだ。今、どんなに苦しいことがあったとしても、それはきっともっと輝けるための準備で、そしてこれからまた、新たなスタートを切る」
御言葉で、百花は再び起き上がり、ペンキが塗りたくられた壁の前に立つ。会場に無数の白い羽が舞い降りる中、白装束が壁に手をかけると、ベリベリと剥がれ始め、そこには“白い羽”が浮かび上がるーー。
この後には、ゲストの金子声児(USPUNKBUNDS)がファンのお悩み相談を行い、再び百花が『ドラゴンボール』のエンディング曲「ロマンティックあげるよ」を歌いながら登場。槇原敬之「どんなときも」、YUKI「大人になって」など、百花が励まされてきたという曲を歌い、アンコールでは結成したばかりのまだバンド名もないガールズバンドで椎名林檎「灰色の瞳」「アイデンティティ」の2曲をノイジーな演奏でパフォーマンスした。百花は、ライブペインティングまでを“長い前座”と例えていたが、筆者は寧ろそこまでが本編の様にも思えた。ライブペインティング後、ステージに登場した百花は、「今までグループにいて、やってこれなかったようなテイストとか、今まで自分が感じてきたいろんなことをとりあえず詰め込んでみよう」と今回のライブの趣旨をファンに伝える。
終演後の会見で、「今回のライブで何を見せたかったのか」と聞かれた百花は、こうも話していた。
「自分の弱い部分ですね。グループにいる間も、弱い部分は見せていたつもりだったんですけど、過去のかっこつけた自分を取っ払って、自分はこれだけ弱い人間だっていうのを伝えたかった。ファンの方で、悩みをぶつけてくれる人が多かったんです。その悩み、考え自体はあなただけじゃなくて、全員が持ってるもので、あなたが好きだとか、憧れって言ってくれてる存在にも、考えとか悩みがあるんですよ、っていうことを伝えたかったですね」
今回のイベントを観ていて印象的だったのは、ファンが百花に向ける眼差しだった。合唱の時も、ライブペインティングの時も、放たれるメッセージを全て受け止めるファンにとって、百花は信じ崇める存在。まさに、“スーパービーイング”。次回のイベントに向けて百花は「次はどんなことをやってくれるのかっていう、ワクワク感を今日は与えられていたらいいな」と意欲を燃やしている。百花のイベントでは、予想もつかないパフォーマンスが繰り広げられるという事実を、しっかりと私たちに刻みつけた。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
1.あなたに会えて・・・(合唱曲)
2.翼をください(赤い鳥)
3.ロマンティックあげるよ(橋本潮)
4.どんなときも(槇原敬之)
5.大人になって(YUKI)
6.今日の日はさようなら(森山良子)
アンコール
1.灰色の瞳(椎名林檎)
2.アイデンティティ(椎名林檎)