『世界はどこまで青空なのか?』インタビュー(その3)

NGT48 中井りか、“葛藤”を経て見つけた新たなアイドル像 「私は王道じゃなくて、邪道だから」

私、ホントは“コミュ障”なんです

ーー『SHOWROOM』配信を観ていても感じますが、中井さんは人とコミュニケーションを取るのが本当に上手だなと。

中井:私、ホントは“コミュ障”なんです。

ーーえっ?

中井:いやいや、ホントに。同年代の女の子とか、緊張して全然しゃべれないですし。NGT48のメンバーもそうでしたけど、仲良くなるまでにすごく時間がかかりましたし、「嫌われたらどうしよう?」とか相手の反応を必要以上に気にしてしまうタイプなんです。だけど、アイドルとしてNGT48で活動していくうちに、だんだん直ってきてはいるのかな。もともと自分から発信することも苦手だったので、『SHOWROOM』配信が始まってから鍛えられたのかなと思います。

ーーなるほど。

中井:『SHOWROOM』配信は相手の顔が見えず、画面に向かってひとりでしゃべってるから、そこが良かったのかな。そういう意味では、ネット弁慶なんですよ(笑)。

ーーそういう過程を経て、“現在の中井りか”が作り上げられていったんですね。

中井:もともとすごくネガティブでしたし、暗いんですよ。私、アイドルはそういう部分を見せないものだと思っていたんですけど、そこを面白がってくれる人たちがいることを『SHOWROOM』で知ることができた。そこで足枷が外れたのかなと思います。

ーー人として強くなれたと。

中井:鍛えられて、ハートに筋肉が付きました(笑)。

ーーそうやって周りを気にせずに『SHOWROOM』配信で頑張ってきた中井さんが、センターを経験したことでまた気にするようになってしまったから、一時的にスランプに陥ってしまったのかもしれないですね。

中井:そうですね。でも、あの期間がなければ知れなかったこともたくさんあるので、やっぱり経験したことでより強くなれたんじゃないかなと思います。

小さな目標が積み重なった結果、大きな舞台に立てる

ーー中井さんはNGT48のほかに、AKB48の選抜メンバーとして活動する機会も増えています。そうやって、グループから外に出ていくことで得られる刺激もたくさんあるんじゃないでしょうか?

中井:あります。先輩方は本当に見せ方が上手ですし、NGT48は1期生だけなので、先輩後輩との付き合い方もたくさん学びました。あとは、撮影が始まったときの切り替えの素早さはやっぱりプロだなって。楽屋でどれだけ気を抜いていても、本番ではそこを引きずらない。NGT48はそこがちょっと足りていないというか……ステージではっちゃけるのもひとつの良さではあるんですけど、それはまだ楽屋の延長というか。

ーー同期同士だからこその気の緩みじゃないけど。

中井:はい。特に、北原里英さんみたいにまとめる人がいないときはダラけたりすることもあって、それが今は「素を出す」と良い方向に作用しているけど、やっぱりスイッチの切り替えは大事だなと。里英さんも常々「切り替えるよ」って言葉をみんなにかけているんですけど、「こういうことだったのか」と選抜の現場で知ることができました。

ーーAKB48の選抜メンバーに選ばれるNGT48メンバーが増えて、その気持ちをより共有できるようになれば、意識が少しずつ変わるんでしょうね。

中井:上から目線みたいになっちゃうかもしれないですけど、「この子、考え方が変わったのかな」っていうメンバーが最近、何人か見受けられて。それこそ荻野由佳ちゃんなんて、もともとしっかりとした子なんですけど、総選挙以降はグループを引っ張っていこうって姿勢がより強くなったと思いますし、ひなたん(本間日陽)もグループに対しての気持ちがさらに強くなってるんじゃないかなって感じることがすごくあります。

ーーグループの状態としては、日に日に良くなっていると。

中井:それはすごく感じます。今、NGT48は注目していただけているなと感じますし、そこで成長することで、みんなでひとつの目標を叶えられるんじゃないかと思っています。

ーーその目標というのは?

中井:来年1月には新しいドラフト生が入ってくるので、それまでに土台をしっかり整えないといけないのもありますし、そのあとには里英さんの卒業が待っているので、そこまでにちゃんと笑顔で送り出してあげなきゃいけないってことだったり。それに、荻野由佳ちゃんがずっと言ってるんですけど、いつか紅白歌合戦に出たいという大きな目標もあるので、そこに向けての準備だったり。そうやって小さな目標が積み重なった結果、大きな舞台に立てるんじゃないかと思うので、そこまでの準備を一つひとつちゃんとやっていかなくちゃいけない。グループに今必要なことは、そこだと思ってます。一つひとつクリアして、求められていること以上の結果を出していかないと、今の注目はなくなっちゃうと思うので、たるんではいけないなと。

ーーそれこそ、年が明けたらSTU48がCDデビューして、今までの「AKB48グループの末っ子」という看板もなくなりますし。

中井:(末っ子感が)出せなくなっちゃってチクショーって感じなんですけど(笑)。末っ子感、大事なんですよ。「姉妹グループの駆け出し、新人、フレッシュさ」が今まで大きな武器になっていたので、ここからどうシフトチェンジしていくかっていうのもありますし。ほかの姉妹グループさんと比べても、NGT48は後輩グループができるまでの期間が一番短かったので、まだ心構えができていないところもあるんですけど、そこもちゃんと整えていかないとすぐ時代の波に追い抜かされてしまうので。今のお客様をSTU48さんに、船を使って持ってかれたくないので(笑)、ファンの方々をここでしっかり捕まえて離さないようにしたいなと思ってます。

ーーCDデビューまでが一番長くて次のグループが出るまでが一番短いって、すごく特殊ですよね。

中井:そうなんですよ。でも、その期間の中でできることしか試練は与えられないと思うので、ここからまた新しいNGT48を見せていきたいです。

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