香取慎吾がアートを身近なものにする 作品出展からSNSまで“現代アーティスト”としての活動を追う
これまで香取にとって心をぶつける場所だったという作品たち。『ミュージアム・オブ・トゥギャザー』展のインタビューでは「これを描こうって思って描くことってあまりないんで。その時描きたくて描いて、最終的にタイトルを決めたりとか」と語った。感覚的に描いているというが、なかには思わず深読みしたくなる作品も。
2010年に完成させたという『イソゲマダマニアウ』も そのひとつ。骸骨になってしまった2人を、生き物のような飛行物体が手を差し伸べている、というもの。背景は、新しい地図のトレードマークとも言える青空。飛行物体は、緑の髪に、ピンクの顔、黄色の胴体……。
「どこかから逃げようとしてるのかな。だけど、逃げられない2人が、骨の状態になっちゃって。抜け殻状態の2人を救いに来てくれた人が『ダイジョブ、 マダマニアウヨ』っていう想い? 想いがあって描いたのかな? っていう感じですね(笑)。気づいたらそうなってた。でも、それがそのときの自分を表してたりするものですね」なんとも意味深に聞こえるコメントだが、それも含めて見る人が自由に解釈して味わえるのが、アートの面白いところ。
さらに『カルティエ』とコラボした展示会で披露した作品は、散りばめられた数字が「19=S.8=H.9=I.14=N. 7=G.15=O」となっている仕掛けもあった。日々つぶやかれる言葉はもちろん、言葉にならない想いまでも、アートで繋がる。感度を高めて作品を見れば、香取の潜在意識にもアクセスできるかもしれない。
(文=佐藤結衣)