稲垣吾郎、“文芸カルチャーの伝道師”としての歩みが高評価 ブロガーとしても発揮される表現力
新しい地図の稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人がそろって『GQ MEN OF THE YEAR 2017』に選出され、人々を最も勇気づけた男たちを称える“インスピレーション・オブ・ザ・イヤー賞”を受賞した。11月22日には、長谷川博己、佐藤琢磨、野田洋次郎( RADWIMPS)、斎藤工、秋山竜次(ロバート)、佐藤天彦と各分野でめざましい活躍を見せたメンバーと、授賞式に登場。その様子は、YouTubeやTwitterなどで生配信された。
中でも、トップバッターで登場した稲垣の姿が印象的だった。ヒゲをたくわえた大人の男性としての落ち着き、オーディエンスとハイタッチをしながらステージに向かう気さくさ 。アイドル性はそのままに、またひとつ挑戦者という頼もしい魅力を醸し出す姿だった。
稲垣が受賞した理由は、大きく2つ。ファンサイト・新しい地図の発足と共にSNSをスタートさせ、インターネットテレビ『72時間ホンネテレビ』の生放送など、国民的注目を集めた新たな一歩を踏み出したこと。そして、稲垣がこれまで続けてきた書評、バラエティ番組、雑誌でのエッセイ、そして今年始動させたブロガーとしての歩みが、文芸カルチャーの伝道師となっている点だ。
「2017年、自分にとっても新たなる人生のスタートを切らせていただきました 。そして、その際に本当に多くのスタッフのみなさん、応援してくださるファンのみなさまの大きな愛というか、 温かいモノを感じて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。みなさんと共に、 新たなる夢を描いていくことができたらなと思っております」
自分自身の進化は、周囲の愛があってこそ。その愛に応えていくこと。それが、今の稲垣を突き動かす原動力となっているのだろう。さっそくブログをのぞくと、親友のヒロくんを中心に、彼のまわりには多くの人の笑顔がある。そして、多くの作品に触れてきた稲垣の記事は実に感受性豊か。選ばれる言葉もみずみずしく、乾燥した心にスッとうるおいを与えてくれるようだ。
11月24日にアップされた記事を見ると、「朝の光がクリスタルの花器や様々なガラスの工芸品に反射し部屋中を輝かせている。変わらない朝の風景に親友からのLINEメッセージ」と、まるで小説の書き出しのような朝のシチュエーションが描かれる。稲垣が感じた、清々しい朝を疑似体験できる。
親友に誘われて向かったのは長野県佐久市。車窓から見えるのは、赤く色づいた木々の葉、そして青い空。もちろん写真もしっかり添えられている。五郎兵衛米というお米の由来を伝えながら、自分の名前とかけてみせるチャーミングさも忘れない。野菜の収穫を手伝う姿は、まるで雑誌の1ページのような写真だ。猪料理に舌鼓を打ち「お肌ツルツル」という言葉を添えるのも、稲垣らしくてクスリとさせられる。日常の小旅行をこれほどしっかり伝えられるのは、稲垣の“魅せる”力にほかならない。
11月21日には『72時間ホンネテレビ』で共演した、かつてSMAPで共に活動した森且行についての記事もアップされた。「ホンネテレビ終わりで来た森君からの温かいメールの一部」から始まる記事は、飾らない稲垣の言葉に胸が熱くなる。森と稲垣は同い年。『ホンネテレビ』では草なぎや香取が弟分として森と遊んでいた思い出を語る中、稲垣とはいい距離を保っていたと話していた。
「一見、無邪気で猪突猛進な人間に見えるが、実は人一倍繊細な優しい心で周りを見ていたんだね。僕なんて変わり者でナルシストで…接し難かっただろうな。。」長い年月が経ったからこそ、わかる優しさがある。だが、それを素直に認められる大人がどれだけいるだろうか。ましてや多くの人から見つめられている中で、純粋な言葉を紡ぐのは、なかなかできることではない。