AKB48 大西桃香の特別番組に見る新たな可能性 アイドルと動画配信の関係を考察

 『SHOWROOM』という動画配信アプリをご存知だろうか。同アプリは、無料で誰でもリアルタイムに動画配信を行えるライブ配信プラットフォーム。いつでもどこでもリアルタイム配信を視聴することができ、且つ配信者と視聴者がインタラクティブにコミュニケーションをとることができる。2016年10月からAKB48グループのメンバーによる個人配信が始まり、同アプリは一気に知名度を上げた。

「朝5時半の女」1年間欠かさず毎日配信、記念の特別番組

 AKBグループの個人配信がスタートした2016年10月12日から1年間、毎朝5時半に休むことなく配信し、ファンとコミュニケーションをとっているメンバーがAKB48 チーム8の大西桃香だ。その早朝配信は、ファンやメンバーに限らず広く認知されており、大西は「朝5時半の女」や「SHOWROOM女王」という異名も持っている。

 大西が配信を初めてからちょうど1年となる10月17日、朝5時半から『5時半配信』1周年を記念した特別番組を『SHOWROOM』で配信。特別番組では、普段から彼女の配信を観ているファン15名が、抽選でスタジオに招待された。そこで大西は、ファンに対して手作りのたこ焼きを振る舞ったり、過去の配信映像を見ながら自身の失敗談を語るなど、会場に集まったファンやスマホで特別番組を観ている視聴者と一緒に1周年をお祝いした。

 特別番組の配信前に大西は、自身でデザインしたオリジナルアバターを作成。彼女が考えた3つのデザイン案のうち、『SHOWROOM』のファン投票で選ばれた“猫”(大西家で飼っている猫がモチーフ)と、“桃”(自分の名前にかけている)がアバター化され、「1周年当日限定オリジナルアバター」として配布された。

 最後には大西へのサプライズとして、ファースト写真集が幻冬舎から発売されることが明かされた。チーム8のメンバーが個人の写真集を発売するのは、今回が初めてのこと。番組終了後、サプライズに驚いた大西は、トークアプリ『755』で「本当にびっくりで今でも頭が真っ白で実感が湧いていません」とコメント。さらに、「AKB48に入ってから夢とかあるの? って聞かれるとおこがましすぎて口にはあまり出せなかったけど、写真集を出せるようになりたいって思ってました。だから本当に嬉しい」と喜びの気持ちを語った。

 『SHOWROOM』が、個人に対して特別番組を制作することは極めて異例なこと。大西の努力が、同サービスの新しい可能性を拡張したとも言える。

『SHOWROOM』が変えた大西桃香に対する評価

 配信を開始した当初の大西は、「チーム8の奈良県のメンバーだが、どういう子かは知らない」もしくは「大西桃香って誰?」という存在だった。だが、毎朝5時半からの『SHOWROOM』配信を続けたことで大西は、多くのファンに存在を知られるようになった。

 その結果、実際に大西に会ってみたいと握手会に並んだり、劇場公演に足を運ぶファンも増加。そして大西は、AKB48の47thシングル『シュートサイン』の選抜入りを果たし、SHOWOORM選抜でもオリジナル楽曲「プライベートサマー」でセンターを務めるなど、活躍の幅を広げていった。

 『SHOWROOM』の登場によって、今までは握手会やライブイベントなどでしか触れ合えなかったメンバーと、誰もがスマホの前で、気軽にコミュニケーションを取れるようになった。

 また、配信する側にとっても自分の個性を多くの人にアピールできるチャンスが増えたと言える。テレビやラジオなど従来のメディアに出演する機会が少なかった人でも、『SHOWROOM』を通じて、多くの人に名前を知ってもらえるようになった。『SHOWROOM』は、アイドルやタレントにとってのメディアの在り方を、大きく変えたと言っても過言ではない。

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