3rdシングル『Pinky! Pinky!』インタビュー

The Idol Formerly Known As LADYBABYが語る、成長の軌跡「今歌えるものを歌っておきたい」

「あんまり体に入ってないほうが、新鮮な気持ちでレコーディングできる」(金子理江) 

ーー9月27日にはメジャー3rdシングル『Pinky! Pinky!』がリリースされました。昨年11月末のメジャーデビュー以降、1年経たずしてシングル3枚ってかなり良いペースですよね。

黒宮:でも、意外に全然出してない感があったよね?

金子:まあね。

黒宮:言われてみて、「ああ、3枚も出してたんだ」って感じです。

ーー1年に3枚って結構なペースですよ?

黒宮:(スタッフに向かって)そうなの? でも全然出せないよりは、いっぱい出せたほうがいいので。しかも、今しか歌えない曲も結構あるし、私たちが今歌いたい曲もあると思うから。そういうのは歌えるタイミングもこれから先は限られてくるので、今歌えるものを、歌えるうちに歌っておきたいなと思いますね。

ーーでは、今回の表題曲「Pinky! Pinky!」はまさに、今のおふたりだからこそという曲なんでしょうか?

金子:そうですね。「Pinky! Pinky!」はちょっと日本の文化的なものを掛けている部分があるなと思っていて。約束をするときに小指と小指で指切りげんまんをするのって、日本ならではの独特な約束の形だし、貴重なものだと思うんです。その約束を通して生まれるものを含めて、「Pinky! Pinky!」ではサビの部分で私たちが掛け合うように歌うんですね。さらに、最初のAメロ、Bメロで挑戦的なサバイバル感を出しつつ、ちょっと怖いデスっぽさも残しているし。曲調もめまぐるしく変わってくるので、そこを踏まえて歌い方も明るかったり、子供なの?ってぐらい幼かったりと、声自体の表情もいろいろ変えているので、そこも聴いていて楽しいと思ってもらえるんじゃないかなと思っています。

ーーなるほど。この曲はとにかく、冒頭に驚かされました。

2人:(笑)。

ーー僕、ヘッドフォンでたまたま大音量で再生してしまって、まず耳をやられましたから(笑)。結構な音圧で、ちょっとPanteraの『The Great Southern Trend kill』というアルバムのオープニングを思い出しました。

黒宮:ありましたよね(笑)。冒頭にああいうのがくると、ゾクゾクしますよね。

ーーもうそこで掴みはOKですし、だからこそ、そのあとの展開含めてグイグイ惹きつけられるわけで。

黒宮:そうなんです。なので掴みは大事(笑)。

ーー歌詞の面でも、“指切り”に〈You'll be killing it!〉と充てたりと、言葉遊びが至るところに散りばめられているし。

黒宮:LADYBABYの曲は言葉遊びが結構すごいので、一回聴いてみて面白いなと思った人は、歌詞カードを見てもう一回聴いてもらうともっと楽しめるのかなと思いますね。

ーーこの曲を聴いて思ったのが、LADYBABYは特にメジャーデビュー以降、シングルを追うごとに楽曲の難易度が高くなっている気がするんですよ。

金子:ああ、確かに。

黒宮:今言われて気づきました。

金子:メジャーデビューするまでは、声の表現に変化をつけることもなかなかなくて。逆に今は、ライブでそれを再現するのが難しいなと思うようになりました。それに、声と歌詞が同化しないといけないってところもあると思うし。っていうことを考えたら、レコーディングのときから結構苦戦してるんですよね。

ーーでもそこにしっかり適応できているということは、おふたりの実力もそれだけ……。

黒宮:全然だよね。

金子:自分たちでも「これ、曲を掴めてるのかな?」っていうのもあるし。

黒宮:そう。曲がちゃんと体に入る前にレコーディングをするから、大体ライブをやっていってどんどんうまくなるみたいな感じですね。

金子:だからこそ、こういった曲は映えるのかな。あんまり体に入ってないほうが、新鮮な気持ちでレコーディングできるし。取り込めたときの良さと、取り込む前の良さというのはまったく別モノだし、それもあっていつも音源とライブの歌い方に差ができちゃうんですよね。でも、ある意味成長じゃないですけど、そういうところも含めて楽しめるのかなとも思います。

「SNSソングって10代の私たちが歌うから意味があるのかな」(黒宮れい) 

ーー今作はカップリングにも、ロックテイストの強い楽曲が揃いましたね。「Me! Me! Me!」はライブ映えしそうな楽曲で、歌詞もまた「Pinky! Pinky!」とは異なるタイプですし。

黒宮:「Me! Me! Me!」はライブやイベントで歌うと、この曲のときだけライブ撮影OKにしていて。その写真をハッシュタグを付けて拡散してもらってるんです。だから、「私を世界に発信!」をテーマにしたLADYBABY流SNSソングと言ってるんですけど(笑)。って言うほど私たち、そんなにSNSやってないんですよ、実は。

金子:そうなんだよね。

黒宮:やってるときとやってないときの差が激しいので、今回は「Me! Me! Me!」を出したばかりだし、今頑張ってるんですよ(笑)。だから、LADYBABYをリリースイベントとかで初めて観てくれた人たちが、「初めて観たけど良かった」とタグ付けしてSNSに載せてくれたら、それを観た他の知らない人たちが「リリースイベント、無料だし行ってみようかな?」と思ってくれるんじゃないかなって。

ーーなるほど、歌詞の世界観そのままなわけですね。

黒宮:ですね。今って告知するにしても何をするにも、SNSが主流じゃないですか。だから「Me! Me! Me!」みたいなSNSソングって、今しか歌えない曲だと思うんですよ。10代の私たちが歌うから意味があるのかなって。10代ってSNS命みたいなところがあるじゃないですか。「いいね!」がいっぱい来たから私強いとか、フォロワーが多いから私強いとか、たぶん思ってると思うんですよ。それについて今の私たちが歌えるのは、すごく良いなと思いますね。

金子:今思ったんだけどさ。

黒宮:うん。

金子:全然関係ない話なんですけど、ひと昔前はそういう系の話題の中に「受信、送信、赤外線」ってあったじゃないですか(笑)。でも、今は「投稿、いいね!、ファボ」とかに変わっていることに対して、すごいゾッとした。

黒宮:なに、「受信、送信、赤外線」って?

金子:ガラケーでメール送るときにさ、画面に「送信中」って出たり、メールを受け取るときに「受信中」って出たりしたの。

黒宮:ああ、確かに!

金子:赤外線通信でお互いのアドレスを交換したり。今で言うAirDropみたいな。

黒宮:確かに確かに!

金子:いやあ、怖い怖い。でも、たった何年かの話ですよね。

黒宮:(筆者に向かって)ガラケー使ったことあります?

ーーもちろん(笑)。

黒宮:誰が打つのが早いかとかありましたよね。何秒で打てるかとか。

ーーはいはい。でも僕らオッサンには難しいですよ。

黒宮:えーそうなんですか? ヤバッ! でもどうします、これからケータイがないのに(空中に携帯があるような振りで)ピッピッピッとできるようになったら。

ーーでも本当に、そういう時代は近づいていると思いますよ。

黒宮:ですよね? だからいつか、ケータイを持たなくてもよくなるんですよ。そうすると、この歌も古くなっちゃう。だから、本当に“今”の歌なんですよね。

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