森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.66

RHYMESTER、AKLO×JAY'ED、LUCKY TAPES……快楽的な“ダンス感覚”持ち合わせた新作

LUCKY TAPES『VIRTUAL GRAVITY』

 1stアルバム『The SHOW』、2ndアルバム『Cigarette & Alcohol』によって日本のインディーポップシーンの中心的な存在となったLUCKY TAPESの約1年ぶりの新作『Virtual Gravity』は“全曲アンセムです!”と断言したくなる4曲入りEP。THE JACKSONSの「今夜はブギー・ナイト」へのオマージュを感じさせるファンキー&ディスコティックな「Boogie Nights」、音数を抑えることで有機的なグルーヴを放出するソウルフルな歌モノ「Gravity」、そして、以前からライブのハイライト楽曲として支持を得ているドラマティックなミディアムチューン「シェリー」(ゴージャズなブラスを取り入れたアレンジがカッコいい!)。日本語の歌詞とブラックネスを自然に混ぜ合わせた歌、随所で見せるロック的なアプローチを含め、このバンドの本質を端的に示した作品である。

LUCKY TAPES - Gravity(Official Music Video)
PAELLAS『D.R.E.A.M.』

 2016年にEP『Remember』、アルバム『Pressure』をリリースし、早耳の音楽ファンから注目を集めた東京発の5人組バンド・PAELLASによるミニアルバム『D.R.E.A.M.』。“現行のR&Bを基調にした洋楽ライクなサウンド”“シンセポップ、チルウェイブ、ニューウェイブなどの要素もあり”といった特徴はさほど新しくもないが、このバンドの強味はむしろ楽曲自体の良さ。感情の繊細な起伏と重なる旋律とともに<言葉を/濁しても/最後はひとつだけ>というフレーズがスムーズに入ってくる「Shooting Star」、ボーカリストの中性的な声質の魅力を際立たせた「Fade」など“歌”を中心とした楽曲こそが、彼らの武器なのだと思う。

PAELLAS "Shooting Star" (Official Music Video)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

関連記事