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欅坂46が開拓する“アイドルの可能性” 1stアルバムの主な新録曲から分析

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 欅坂46の1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』が7月19日に発売された。

 ロングヒットを続ける昨年のデビュー曲「サイレントマジョリティー」、続く2ndシングル曲「世界には愛しかない」、3rdシングル曲「二人セゾン」、そして今年の4thシングル曲「不協和音」というヒット続きの全シングル表題4曲が収録されているだけでも十分に価値のあるアルバムだ。デビューからこれまでの記録と言える通常盤の収録曲は、このグループの入門編として最適だろう。そして、このアルバムには大きく分けて二つの側面がある。カップリング含め20曲以上あるこれまでの既存曲をほとんど収録している、そのベストアルバムとしての側面が一つ。もう一つが新たに用意された16曲、その新作アルバムとしての側面だ。合わせて計40曲。この特大ボリュームは、それだけでこのグループの魅力がたったひと言やふた言では語り尽くせないことを物語っている。今回この記事では、新たに作られた16曲から主要な曲をピックアップしていきたい。

グループのイメージをより強固にする「月曜日の朝、スカートを切られた」

 欅坂46と言えば、社会や大人に対しての強い反抗心を歌う姿だ。この曲はそうしたパブリックイメージをより確実なものにする楽曲となっている。

『真っ白なものは汚したくなる』(TYPE-A)
欅坂46『真っ白なものは汚したくなる』(TYPE-A)

 イントロの駆け上がってゆくストリングスの旋律は「サイレントマジョリティー」の冒頭部と対にさせているのだろうか。雲間に差すひと筋の光のような情景が立ち上った同曲と比べると、こちらには深い絶望や悲愴を感じる。Aメロで中心にやってくるアコースティックギターのバッキングは、デビューから2ndシングルあたりまでの欅坂46のトレードマークだが、全体的に暗雲立ち籠める重苦しいリズムはダンサブルな曲の多いこのグループにとってはあまりない傾向となる。A→B→C(サビ)と順々に進む1番をまず見せておいて、2番ではA→Bの後にCに着地させず、一度Dメロを迂回させる。それがこの曲の詞の核心部<誰もが 何かを 切られながら 生きている>というフレーズだ。実際、この箇所はキックの四つ打ちが効いていてサビよりも気分が高揚する作りになっている。

 この躍動感に乗せた痛烈な表現を経て、終盤の決め台詞までとことんシリアスな態度を貫く。<あんたは私の何を知る?>。実はこれ、以前メンバーの一人が冠番組で言い放った「私のこと何も知らないと思う…」という発言が元ネタだというのはファンならではの妄想だろうか。ダンスも過去の振り付けからの引用が多々見受けられるなどセルフオマージュが多く、デビュー時から見続けてきたファンは(厳粛な曲の雰囲気とは打って変わって)ニヤニヤしてしまう楽曲となっている。

ひらがなけやきに初めて誕生したユニットに与えられた名曲「沈黙した恋人よ」

 切なげなピアノのイントロが流れる。このたった8小節のフレーズがまず何よりも美しい。細かいことを言えば、8小節のうち前半の4小節と後半の4小節では異なる人物の心情が表現されていると解釈してみたい。前半が女で、後半が男か。その二人のやり取りのようなメロディになっていると思うと、さらに切なく聴こえてくる。ともあれ、それをそのままボーカルが繰り返しなぞるAメロ。このフレーズが<太陽を吸い込んだ>までの約40秒間でイントロ含め計3回流れるため、リスナーの脳に自然とインプットされる。Bメロを終えて、<君が指差すものを~>から始まるサビでそのフレーズをもとにした発展系のメロディを歌わせる。このサビは、それ単体でももちろん素晴らしいのだが、冒頭の8小節のフレーズを背後に感じることでよりいっそう深みが増す。記憶の中にある旋律と実際に鳴っている音との「差異」を聴くことで輝き出すのだ。

 歌詞は、二人の関係の変化について歌っている。”君”は空を飛ぶ鳥を指差すが、”僕”はそれを見つけられない。同じものを見ても”君”が感じているものと”僕”が感じているものが違うことに気付く。そこで”僕”は、記憶の中にある二人の関係は時とともにいつの間にか過去のものとなっていたと悟るのだ。それは、どこかこの楽曲の構造とリンクしてはいないだろうか。二人の関係の変化、それこそまさに「差異」なのである。だからこそ、<あの頃の自分に縛られてたんだ>から続く展開、すなわち、転調したりギターソロをさせてもなお畳み掛けるように鳴り続ける(二人の記憶が蘇るような!)あのフレーズのリフレインに、我々は涙せずにはいられないのだ。作曲は姉妹グループの乃木坂46に多く楽曲を提供している杉山勝彦。欅坂46には他に「青空が違う」を提供している。ラストの詞<黙ってちゃ夏は終わるよ>を受けてまたあのフレーズが流れる。メロディはそこで、最後に少しだけ優しいものに変わっていたのだった……。

      

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