暁月凛×妄想キャリブレーション 『マモリツナグ』『桜色ダイアリー』リリース記念対談

暁月凛×妄想キャリブレーションが語る、アニソンへの愛と憧れ「自由に表現できる特殊なジャンル」

  暁月「アニメは抽象的なものをそのまま表現できる」

ーー確かに、いちリスナーとして次に出てくる曲がどんどん楽しみになっています。暁月さんと桜野さんは「アニソンシンガーになりたい」と目標を掲げて活動してきましたが、お二人が「シンガー」ではなく「アニソンシンガー」という存在に惹かれる理由は?

桜野:私たちのアニソンは、作品と寄り添いながらも、自分たちとリンクする部分があって。楽曲を制作する過程で、今まで知らなかった自分の一面を発見することもある。そうやって新しい自分らしさを知って成長できることが、私にとってのアニソンを歌いたい理由なのかなって最近気付きました。

暁月:最初からアニソンシンガーという存在を目指していたわけじゃなく、アニメの歌を歌いたくて辿り着いたのがアニソンシンガーでした。アニソンは、三次元の物理法則や常識的なルールに縛られず、なんでも自由に表現できる特殊なジャンル。哲学性や文学性、ビジュアルや魔法といったフィクションなど、アニメだと抽象的なものをそのまま表現できます。一般的なポップスと比べて、テーマになるキーワードも多いので、楽曲にもたくさんの可能性が生まれます。そんな自由なところも魅力ですね。あと、アニソンシンガーになると、最初からオチを教えてもらえる利点もあります(笑)。

ーー「抽象的な表現」というのはアニソンにもまさにいえることで、リアリティのない多少オーバーな表現も不自然に感じないですよね。

暁月:『コードギアス』を観た時も、これは絶対に実写化できないと思いました。アリプロ(ALI PROJECT)さんの曲も大好きで。

胡桃沢:「勇侠青春謳」ですね。

暁月:大好きです! カラオケでも必ず歌います。声は出ませんが……。

胡桃沢:わかるー!『コードギアス』が共通項だと思うと親近感が湧きます。

暁月:誰が好きですか?

雨宮:スザク!

胡桃沢:ルルーシュ!

暁月:スザク派とルルーシュ派が! 私はルルーシュが好きですね。最近、『コードギアス』について友達と話していて、“ルルーシュが生きているか問題”について語り合いました。

胡桃沢:最新作がネット上でも話題になってますよね。

暁月:語り合うのは楽しいですが、この話題は喧嘩の種になります(笑)。

胡桃沢「アニソンでは、カメレオンみたいになれることも大事」

ーーいまアリプロの話題が出ましたが、桜野さんと相沢梨紗さん(でんぱ組.inc)によるユニット・LAVILITHの楽曲「スバラシキセカイ」は、アリプロ的ともいえるゴシック調の楽曲でしたね。

桜野:まさに、Kalafinaさんやアリプロさんを意識しています。梨紗さんとは、アニメ好き、シンガー希望、あと厨二病なところが共通しています。私は自分のことを厨二病だとは思っていないのですが、まわりからは厨二病ユニットって言われます……(笑)。でも、こういうゴシック調の世界観も妄キャリにはないので、この曲で表現力をつけて妄キャリの活動にも活かしたいです。

暁月:私もよく人に厨二病って言われますが、自覚は全然ないです(笑)。

ーー「厨二病」と自称していたらそれはそれで違う気がするので、そのままで良いと思います(笑)。一方、星野さんと藤咲彩音さん(でんぱ組.inc)によるユニット、ニァピンの楽曲「PINKY☆STAR」は「スバラシキセカイ」と真逆の雰囲気ですよね。

星野:「PINKY☆STAR」は高音で曲調も早いし、ピコピコしていて、よりキャラクターっぽい楽曲になってます。子供っぽさや無邪気さを前面に出している感じ。聴いた時に不思議な違和感を持ってもらえるように意識しました。

ーー『桜色ダイアリー』も『マモリツナグ』も、アニメのキャラを描き下ろしたアニメ盤が作られています。アニメファンとしては、アニメ盤が出るのも嬉しいのでは?

胡桃沢:最高です。

暁月:なによりも幸せです。
桜野:初回盤のジャケットは『冴えカノ』の聖地で撮影しました。アニメ盤では、そのジャケット写真と同じ立ち位置で、高瀬智章先生にキャラを描き下ろしていただきました。妄キャリのために描いてくれたと思うと本当に幸せで……オタク冥利につきます。

暁月:アニメ盤の方は、人間ができないことができるアニメの良さが出ています。運動音痴な私には絶対できないようなポーズを、陸水銀(『銀の墓守り』主人公)が代わりに取ってくれました。青の色合いも曲とマッチしていてお気に入りです。

ーー最後に、今後はどのようにアニソンと寄り添っていきたいですか?

胡桃沢:アニソンを歌う上で、カメレオンみたいになれることも大事で。作品の一番のファンでいるからこそ歌える曲があるのかなと。「桜色ダイアリー」も、作品愛を持って『冴えカノ』に寄り添えたからこそ、機会をいただけたと思っています。普通なら言葉で愛を語ると思いますが、私たちは曲で表現する強みを持っている。今回は、作詞やMV制作にも関わらせて頂けたので、自分たちの持つ強みと作品愛を楽曲に落とし込んでいくことができました。アニメに対する愛情と、オタク文化と結びつきの強い私たちの個性を活かして、これからも色んなジャンルの楽曲に挑戦していきたいです。

暁月:私は、アニメ的な美的感覚やアニメならではの世界観を、きちんと作品の中で表現することが大切だと考えています。これまでも素晴らしい曲を歌わせていただきましたが、今後は自分の中にある耽美的な要素も上手くアレンジして表現していきたいです。私が歌手デビューする前から抱いていた“傷”や“闇”、美しいと感じるものを、みなさんに作品として届けられたら嬉しいです。

(取材=中村拓海/構成=泉夏音/撮影=松木宏祐)

■リリース情報
暁月凛『マモリツナグ』
発売中
初回生産限定盤(CD+DVD)¥1,481(+税)
期間生産限定盤(CD+DVD) ¥1,481(+税)
※描き下ろしアニメジャケット
通常盤(CD)¥1,111(+税)

妄想キャリブレーション『桜色ダイアリー』
6月14日リリース
初回生産限定盤CD+DVD)¥1,574(+税)
アニメ盤(期間生産限定盤)CD+DVD) ¥1,574(+税)
通常盤CD)¥1,204(+税)

■関連リンク
暁月凛公式サイト
妄想キャリブレーション公式サイト

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