けやき坂46は坂を“飛び越える”存在に? 初ワンマンに見た欅坂46とは別の可能性
けやき坂46が、3月21日と22日に行なったZepp Tokyoでの初ワンマンライブは、グループの新たな展開を予感させる公演だった。
まず前提として説明しておくと、けやき坂46は欅坂46の妹分的存在として、長濱ねるを中心に結成されたグループ。SHOWROOMを使った審査などを通して、オーディション段階から多くのファンを集めており、この2日間の初ワンマンもZepp Tokyoを満員の観客で埋め尽くした。
ライブのオープニングは、アコースティックギターとダンスビートを基調とした、欅坂46と同じ「OVERTURE」が流れ、メンバーが登場。まずは彼女たちの“はじまり”といえる初のオリジナル曲で、清涼感のあるユニゾンが合唱曲のように心地よい「ひらがなけやき」を披露した。
けやき坂46がライブを行なう際、注目されるのはやはり欅坂46楽曲を誰がどのポジションで歌うのかということだ。これまで欅坂46のシングル表題曲では平手友梨奈が毎度センターを務めてきたが、続く「世界には愛しかない」では、最近バラエティなどで頭角を表しつつある影山優佳、「二人セゾン」では「ひらがなけやき」でも長濱とWセンターを務めた柿崎芽実と、それぞれ平手と同じ15歳の最年少メンバーがセンターポジションに立ち、楽曲の解釈を広げてみせた。特に「世界には愛しかない」の1A、ポエトリーリーディングのパートでは、平手のオリジナルバージョンと差別化するために意図したかどうかは不明だが、影山が半拍ズラして歌詞を読み上げていたことで、新たなアプローチが生まれていたことも記しておきたい。
続くパートでは「青空が違う」と「僕たちの戦争」という、ユニット曲の再解釈も行なわれた。どちらも欅坂46のカップリングにおいて人気の高いユニット曲で、前者は乃木坂46の代表曲でおなじみ杉山勝彦&有木竜郎コンビが手がけ、青空とMARRY(志田愛佳・菅井友香・守屋茜・渡辺梨加・渡邉理佐)が歌唱した名曲だ。今回は井口眞緒、潮紗理菜、加藤史帆、齊藤京子、佐々木久美、高本彩花と、けやき坂の“年長組”がパフォーマンスを担当するという裏コンセプトも見えた。
「僕たちの戦争」は、「サイレントマジョリティー」を担当したバグベアと久下真音コンビによるもので、FIVE CARDS(上村莉菜・長沢菜々香・土生瑞穂・渡辺梨加・渡邉理佐)が原曲を歌っている。この日のライブでは、柿崎、影山、佐々木美玲、高瀬愛奈、東村芽依の“年少組”がパフォーマンスし、“ドラムンベース歌謡”ともいえる複雑な楽曲と、演技パートも挟みながら進行するダンスをうまく演じてみせた。
欅坂46がAKB48グループや坂道シリーズの先輩・乃木坂46とパフォーマンスにおける差別化を図っている部分として、最も多く挙げられるのは「ダンス」の完成度だ。デビュー曲「サイレントマジョリティー」から一貫してTAKAHIRO(上野隆博)がコレオグラファーを務め、昨年の欅坂46初ワンマン(有明コロシアム)では、彼の監修により、ライブ向けに振り付けをアレンジするという徹底ぶりを見せてくれた。そのコンセプトは、中盤で披露された「DANCE TRACK」でのパフォーマンスや、ミニコーナーでHIDEBOHにレッスンを受けたタップダンスへの挑戦など、けやき坂46でも踏襲されていることを確認できた。