1stアルバム『ココロノコエ』インタビュー
丸本莉子が再確認した、“等身大の思い”を歌い続ける理由「日常で感じ取ったことを歌にしたい」
「見て感じたものをどんどん歌にしていきたい」
ーー楽しみにしています。今回のアルバムには5曲の新曲が収録されていますが、「あたし」は等身大のリアリティーある歌詞ですね。
丸本:女性目線で、仕事や恋が上手くいかなかった時のリアルな思いを歌にしたいなと思って書いた曲です。私はお風呂に入った時が一番ムシャクシャした気持ちが流されてスッキリするんです。お風呂の鏡に映った自分が自分じゃないみたいだなと思ったことを<鏡に映った顔を失くしたピエロのように>という歌詞で表現しました。
ーー<それでも理由探しながら 「幸せ」と掲げるの 何のために?>という歌詞もドキッとしました。
丸本:私もSNSをやっていますけど「今日最悪なことがあった」とか、もし思っていても投稿できないじゃないですか。例えば、結婚した友達が今日は家族でどこどこに行ってきたとか載せていて、あとになって「この間、楽しそうだったね」と聞いたら、本当は家族で喧嘩して最悪だったと言っていて。楽しい風景のその裏の心境を描きたいなと思って書きました。みんないろいろなことを抱えながらも、内心は見せないんですよね。
ーー確かにそうですね。直接的な表現に思えますが、歌詞の書き方について意識した点はありましたか?
丸本:シングルだとよりたくさんの人に共感してもらえるように言葉も選ぶんですけど、アルバム曲ということで、今回は女性に共感してもらえるようにこだわりました。アルバムの最後に入っている「この風に乗せて」が男性をイメージしていて、「あたし」は女性をイメージして書いたんですね。先に「この風に乗せて」がアルバムに入ることが決まって、反対に女性らしい雰囲気がある曲もいいなということで作った曲です。
ーー対になっている2曲なんですね。「この風に乗せて」はどのように作っていったのでしょうか。
丸本:私は上京して6年が経つのですが、上京したばかりの頃の気持ちを歌いたいなと思って書いた曲です。この曲は実は先に映像のイメージがあって、そこから内容を膨らませて作詞していきました。あるサラリーマンの話なんですけど、彼は高校生の頃に陸上部の監督からサビの歌詞にある<「あなたはほら 越えて行けると あの空よりもこの風に乗せて 涙の跡は消えないように あの時よりも高く飛べるから」>という言葉をいつも言われていたんです。その後、大人になってサラリーマンとして働く中で、社会に埋もれて頑張れなくなっている自分がいて、でも人混みに揉まれながらも新人の子がしゃんと胸を張って立っているのを見て、あの時監督が言っていた言葉を思い出す、というのを想像しながら書いた曲です。
ーー具体的にイメージがあった上で歌詞が乗っていったと。それに比べて「今だけの永遠」と「愛は」の2曲は広く、普遍的なテーマを描いています。
丸本:「今だけの永遠」は元々は私が高校生の時に作った曲がベースになっているんですけど、当時の純粋さも残しつつ、歌詞を半分くらい広いテーマに書き換えながら、26歳の今の私が歌っています。以前は「あなただけ」というタイトルで、いつかリリースしたいなと思っていた曲なんです。曲も、元々はバラードで作っていたんですけど、ガラッと変わってアルバムの中ではまた雰囲気の違った1曲になりました。
ーー「愛は」は、アコースティックギターの音色から始まる温かなサウンドの楽曲です。
丸本:「愛は」も当初はバラードで作っていたんですけど、私がカントリー調の楽曲をやりたくてアレンジも変わっていきました。冒頭の<愛は>という響きを歌いたくて、そこから歌詞を広げていった結婚ソングです。「愛しています」のようなストレートに愛を伝える曲ではなく、ラストに<綺麗なものだけじゃなく 全て受け止めたい>という歌詞があるのですが、その歌詞を入り口にまた別の結婚ソングに繋げていければと考えています。
ーー「夜を泳ぐ」は力強いサウンドと<愛情の本性はEGOで いつだって背中合わせ>という歌詞も印象的でした。
丸本:この曲はメロディが訴えかけるような強いものだし、テーマもテーマだから直接的な歌詞にしようということで、作詞家の藤林聖子さんと一緒に作詞していきました。幸せになれないと分かっていても、求めてしまう。幸せになれないから捨て去るということが誰もにあると思うんですよ。そのもやもやした感情を吐き出した曲で、テーマは違うけれど「つなぐもの」とタイプは似てるのかなと思っています。
ーー「夜を泳ぐ」は弾き語りで演奏すると雰囲気が変わりそうですね。
丸本:今回のアルバムで楽曲の幅が広がった気がします。「夜を泳ぐ」は弾き語りが難しくて練習中なんですけど、早く聴いてもらいたいですね。『満月の夜の丸本さん家Vol.2』で初披露できると思います。
ーー『ココロノコエ』は1stアルバムであり、これまでの全シングル曲を収録したベスト盤的1枚になっていますが、改めて今回のアルバム制作を振り返ってみてどうですか?
丸本:私は日常で感じ取ったことを歌にしたいんだな、ということを改めて自覚できた1枚になりました。今回の新曲は今まで自分の中になかった世界観のものなので、これからももっといろんな曲に挑戦していきたいなと思いました。「夜を泳ぐ」や「あたし」だったり、楽曲を作る作業は苦労するんですけど、アルバムができた瞬間は気持ちいいんですよね。形のないものをみんなで作り上げていく段階が楽しいのかな。「ココロ予報」の時ぐらい苦しい思いをして作りたいというのもありますし、苦しんだからいい曲ができるわけじゃないというのも分かっていて。今は曲をたくさん作れそうなイメージがあって、メロディもすごく浮かぶんですよ。
ーーまた新たな雰囲気の曲が生まれそうですね。
丸本:答えがなくても感情を素直に吐き出すことによってスッキリすることもあるし、曲の世界に起承転結がないからこそより伝わることもあるというのを「誰にもわからない」を作ったことによって分かったんです。こうじゃないといけないという概念はその時になくなったので、これからはいろんなことに対して見て感じたものをどんどん歌にしていきたいなと思いますね。まだまだあるんですよ。挑戦ですかね。
(取材・文=渡辺彰浩/写真=池田真理)
■リリース情報
『ココロノコエ』
発売:2017年3月22日(水)
【初回限定盤(CD+DVD)】 ¥3,600(税抜)
【通常盤(CD)】 ¥2,800(税抜)
<CD収録内容>
01. ココロ予報
02. 誰にもわからない
03. 夜を泳ぐ
04. やさしいうた (guitar intro)
05. 今だけの永遠
06. ガーベラの空 ※TBSテレビ系「噂の!東京マガジン」2017年1月~3月エンディングテーマ
07. 愛は
08. あたし
09. フシギな夢 ※ブルボン「ラシュクーレ」CMソング
10. 言葉にできない
11. つなぐもの (another intro)
12. この風に乗せて
<初回限定盤付属DVD収録内容>
ココロ予報 (Music Video)
誰にもわからない (Music Video)
やさしいうた (Music Video)
ガーベラの空 (Music Video)
フシギな夢 (Music Video)
つなぐもの (Music Video)
■ライブ情報
『1st Album「ココロノコエ」リリース記念インストアイベント』
<ミニライブ+サイン会>
3月22日(水)東京都 タワーレコード渋谷店4Fイベントスペース
18:30START
・ライブ観覧無料
<イベント参加券配布対象店舗>
タワーレコード渋谷店
3月25日(土)大阪府・タワーレコードNU茶屋町店6Fイベントスペース
12:00START
・ライブ観覧無料
<イベント参加券配布対象店舗>
タワーレコード梅田NU茶屋町店/梅田大阪マルビル店/難波店/神戸店/京都店/あべのHoop店
3月26日(日)埼玉県・イオンレイクタウンmori 木の広場
第一回13:00START/第二回15:00START
・ライブ観覧無料
『満月の夜の丸本さん家 Vol.2』
4月12日(水)東京都・月見ル君想フ
OPEN19:00/START19:30
出演:丸本莉子/お客様:fumika/リリィ、さよなら。