電気グルーヴのしゃべり散らしはやはり面白いーー兵庫慎司が映画副音声上映会をレポート
2本目『DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-』が始まるやいなや、笑い声の上がる頻度とそのボリュームがぐっと上がる。
副音声が電気のふたりと大根監督、つまり電気的にいじりがいのある人が一緒にいること、最初からエンジンかかった状態であること(基本的に電気の副音声って飲みながら録っているので、後半に進むにつれテンションが上がっていくことが多いのだが、もしかしたらこの時は録る前から飲んでいたのかも、と思った)、そしてまりんやCMJKやスタッフ等の関係者が次々と出て来る、つまり卓球がアレコレ言う対象に事欠かない映画であることが、おそらくその理由。あと、過去の自分たちがどんどん映し出されるので、その意味でもコメントを入れやすかったのだろう。
とにかく爆笑に次ぐ爆笑だったし、当時のことをふり返る貴重な話もいっぱい聴けた……ってまあそれは家にあるやつを再生すれば聴けるんだけど。
電気の副音声の場合、カット部分が長すぎて「ピー」では補いきれない、とスタッフが判断した場合、音が全部消されて、不自然に誰もしゃべってない状態が続くことが、ままある。1本目よりは少なかったが、2本目でもやはりあった。ある箇所では隣の大根監督、「あれ、なんでここ消したんだろう? べつに大丈夫なのに」と漏らしておられたが、この映画のインタビューをお手伝いした関係で編集途中のものを見せてもらったら、その段階では「こんなの使えるわけないでしょ」と僕でも言いたくなるシーンを平気で入れていた人なので、信用できません。
上映終了の時、1本よりもさらに大きな拍手が起きた。というのも含めて、この日の客席のピークは、1時すぎから2時58分まで続いたこの映画だったと言える。
というのもですね。10分の休憩をはさんで『お母さん、僕たち映画になったよ。2016/03/09 Zepp Tokyo』が始まり、しばらくそれを観て「飯田橋の劇場に戻るね」と大根監督が去ったあたり頃になると、2本目で笑いすぎたことによる肉体的疲労も大きいし、さすがにもうこの時間だし……というわけで、脱落する人がちょこちょこ出始めたのだ。
右斜め後ろからイビキがきこえる。逆の方向をふり返ると、目を閉じているのが2〜3人。やっぱそうかあ、そりゃそうなるよなあ……と、深夜放送のラジオを楽しみに待っていたのに途中で寝ちゃって「どんなにおもしろくても寝る時は寝る」ということを学んだ中学の頃を思い出す。が、「これもうけっこうな人数が寝ちゃってるかもなあ」とか思っていたら、卓球がおもしろいことを言うとドッと笑いが起きて「あ、起きてんじゃん!」とわかったりもした。
とにかく。この時間になると、起きている人も眠気と戦っている人も睡魔に負けた人も含めて、妙な連帯感というか、フェス感というか、そんなような不思議な空気が生まれていた、場内に。「みんなでこの特殊な時間を共有しているんだ」という高揚感と、「これをわざわざ夜通し観に来る時点で我々はみんな同じうような人種だ」という共犯者意識と、「なんでわざわざ来て、夜通し起きてるんだ? ほとんど家で観れるもんなのに。なんなんだ俺は」という自嘲の気持ち、その3つが入り混じったような、曰く言い難い感じ。
その3本目の副音声でネタにされていた「キューンのスタッフ」曰く「レイヴでしたね!」だそうです。そうかもしれません。
上映が終わり、「TROPICAL LOVE」のMVが流れ、4時45分に終了。みなさんほんのりと笑顔、しかしあきらかに疲れも表情にじませながら、ゾロゾロと立ち上がってロビーへ出て行く。
この雰囲気、前にも知っている気がする。…………思い出した。2009年7月11日リキッドルームの、電気グルーヴ 結成20周年ライブ。しゃべりが長くて長くて3時間50分に及んだこのライブ、アンコール1回終わったあと、お客さん、マジで誰ひとりダブル・アンコールを求める拍手をせず、みんな粛々と出口へ向かって行ったあの時、これとおんなじ空気感でした。
余談ですが、そのライブの前説で、私、初めてハリウッドザコシショウのネタを観ました。石野さんのお気に入りで、呼んだそうです。古畑任三郎とかやっていたので基本的には今と変わらぬ芸風だったけど、まったくウケず、後のMCで石野さん、「おまえらわかんないの? バカじゃねえの?」とお客さん一同を罵倒しておられました。
そうだ、その日のレポ書いたわ、俺。よろしければどうぞ。こちらです。
■兵庫慎司(ひょうご・しんじ)
1968年生まれ。音楽などのライター。1991年に株式会社ロッキング・オンに入社、2015年4月に退社、フリーに。「リアルサウンド」「RO69」「ROCKIN’ON JAPAN」「SPA!」などに寄稿中。フラワーカンパニーズとの共著『消えぞこない メンバーチェンジなし! 活動休止なし! ヒット曲なし! のバンドが結成26年で日本武道館ワンマンライブにたどりつく話』(リットーミュージック)が発売中。
■リリース情報
電気グルーヴ『TROPICAL LOVE』
発売:3月1日(水)
価格:通常盤(CD1枚)¥2,913+税
初回限定盤(CD1枚/DVD1枚/デジパック仕様)¥3,600+税
完全生産限定盤(CD1枚/映像コード/マグネット/レンチキュラーBOX仕様)¥4,600+税
完全生産限定LP’12inch LP2枚組)¥3,800+税
<収録曲>
1.人間大統領/Ningen President
2.東京チンギスハーン/Tokyo Genghis Khan
3.顔変わっちゃってる。/Kao Kawacchatteru.
4.プエルトリコのひとりっ子/Puerto Rico no HITorIKKO
5.柿の木坂/Kakinokizaka
6.Fallin’ Down(Album mix)
7.ユーフォリック/UFOholic
8.トロピカル・ラヴ/TROPICAL LOVE
9.ヴィーナスの丘/Venus Hill
10.いつもそばにいるよ/Stand by You
<参加ゲスト>
KenKen(RIZE, Dragon Ash, LIFE IS GROOVE)/Bass : 「人間大統領」
トミタ栞/Vocal : 「プエルトリコのひとりっ子」「トロピカル・ラヴ」
DJ Cookie/Voice : 「プエルトリコのひとりっ子」
笹沼位吉/Bass : 「ユーフォリック」「いつもそばにいるよ」
夏木マリ/Vocal : 「ヴィーナスの丘」
吉田サトシ/Spanish Guitar : 「ヴィーナスの丘」
<Loppi(ローソン・ミニストップ)・HMV限定セット>
トートバック付き完全生産限定盤:¥5,600(税抜)
トートバック付き初回生産限定盤:¥4,600(税抜)
トートバック付き通常盤:¥3,913(税抜)
トートバック付き完全生産限定LP:¥4,800(税抜)
※全国のローソン・ミニストップ店内のLoppiで1月27日(金)AM10時から受付開始。店内のLoppi端末TOP「各種番号をお持ちの方」ボタンより、受付期間内に下記商品番号を入力し、申し込みのこと。
予約販売 1
受付期間:1月27日(金)10:00~2月19日(日)23:30まで
受け渡し日:3月1日(水)
商品番号:トートバック付完全生産限定盤 224377
トートバック付初回生産限定盤 224379
トートバック付き通常盤 224386
トートバック付き完全生産限定LP 224388
予約販売 2
受付期間:2月20日(月)10:00~2月22日(水)23:30まで
受け渡し日:3月1日(水)
商品番号:トートバック付完全生産限定盤 224344
トートバック付初回生産限定盤 224354
トートバック付き通常盤 224355
トートバック付き完全生産限定LP 224362
※受付期間内でも数量に達し次第完売。
■ツアー情報
『TROPICAL LOVE TOUR』
3月12日(日)Zepp Sapporo
3月17日(金)Zepp Nagoya
3月18日(土)Zepp Osaka Bayside
3月20日(月・祝)福岡 DRUM LOGOS
3月21日(火)岡山 YEBISU YA PRO
3月24日(金)Zepp Tokyo
3月25日(土)Zepp Tokyo
公式HP
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