E-girls『E.G. CRAZY』ズシリと重い5枚組に詰め込まれた魅力 メンバーの成長と挑戦を読む

 1月18日にリリースされたE-girlsのオリジナルアルバム『E.G. CRAZY』。手に取った瞬間ズシリとかかる重みは、それだけ今のE-girlsの魅力が詰め込まれているのだと感じさせる。本作は、E-girlsの持つ「POP」と「COOL」の二面性が楽しめるCD2枚組の構成。笑顔あふれる楽曲が中心のDISK1[E.G. POP]と、ビートの効いたダンスナンバーが収録されたDISK2[E.G. COOL]の、全24曲という過去最大のボリュームを誇る。この最新アルバムから伝わってくるE-girlsらしさ、そして新しい挑戦を読み解いていきたい。

誰もが親しみを持つPOPさ

 E-girlsのファンは、年々その幅を広げている。大人も子どももみんなで楽しめるのが、最大の魅力だ。[E.G. POP]に収録された楽曲を見ると、“毎日を記念日のように過ごそう”という「Anniversary!!」や、一緒にライディングポーズを取りたくなる「E.G. summer RIDER」など、誰もがハッピーな気持ちで口ずさめるものばかり。

 また、イギリスのポップロックバンド、ベイ・シティ・ローラーズによる歴史的大ヒットソング「Saturday Night」をカバーしており、原曲を知る世代と知らない世代を繋ぐ架け橋になっているのも老若男女が楽しめるポイントだ。時代を越えて愛される名曲を、リスペクトの意を込めて歌い継ぐスタイルは、LDHの根底にあるヒップホップカルチャーの美意識だろう。

 そして、年々スター性を増しているにも関わらず、どこか身近な存在に感じることができるのも彼女たちならではの魅力。きっとファンによっては、かわいい妹たちのようでもあるし、成長を見届けたい娘たちのようでもある。「自分もあんなふうになりたい」と姉のように憧れる少女たちもいるだろう。

 彼女たちの絶えまない努力やパフォーマンスにかける熱意に触れると、どこかトップアスリートを応援しているような気持ちになる。セクシーな衣装や振り付けも、決して媚びたものではなく、健康美として輝くのも、そのせいかもしれない。進化を遂げていくE-girlsのメンバーの生き方そのものが、エンターテインメントとして多くの人の心を掴んでいるのだろう。次はどんな進化を遂げて、私たちを魅了してくれるのか。その期待値を常に越えて来る喜びが、E-girlsにはある。

世界を見据えた最新のE-girls

 今のE-girlsを象徴するのが、最新シングル「Go! Go! Let’s Go!」から続く、“Japanese Neo Girls”というコンセプトではないだろうか。日本女子が生み出すジャパニーズカルチャーを、E-girls流に表現したもので、「Go! Go! Let’s Go!」では、着物からゴスロリ、原宿系カワイイ、アキバ系萌え、ヤンキー……と、もう今の日本文化をミックスジュースにしたようなMVが楽しい。ご存知の通り、LDHは昨年よりLDH JAPANとして、世界基準のエンターテインメントを創造していくことを発表した。E-girlsも、その一員として世界に向けて発信していくことを強く意識していることが伺える。

 本作リード曲である「All Day Long Lady」も、その一つ。日本の女性たちを取り巻く環境は、急速に変化していった。恋愛や結婚に関する価値観も多様化し、キャリアアップへの意欲も旺盛になった。その分、とても忙しくなった。溢れる情報の中から“自分らしさ”を見つけるのも一苦労。そんな今っぽさも汲み取って、日本中に元気と笑顔を届ける応援ソングだ。

 他ならぬE-girlsも、夢を追いかけてパワフルに毎日を過す日本女子。もし、そんな彼女たちがOLだったら……な妄想が楽しめるMVも面白い。色彩豊かなオフィスやロッカールーム風ダンスフロアで、OLテイストの衣装に身を包んでパフォーマンスを披露。さらに、途中から新曲「HARAJUKU TIME BOMB」へと切り替わる斬新な演出が待っている。そこでは、メンバーが原宿系ファッションに身を包みランウェイで大暴れ!実は、架空のアパレルブランドのOLたちが、みんなで作った洋服を着てファッションショーに出たとしたらという妄想シーン。そんなマンガのような展開も、アニメが強い日本を象徴しているようにも見える。日本から、世界に向けて新たなカルチャーを発信していく。その意気込みを感じさせる作品だ。

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