『布袋寅泰 35th ANNIVERSARY「8 BEATのシルエット」【BEAT8】Climax Emotions ~35 songs from 1981-2016~』

布袋寅泰が掲げた“自分越え”のテーマ 35周年武道館公演で見せた“最新で最高”の姿

 布袋はそんな風にロックンローラーとしてお祭り騒ぎを巻き起こす一方、MCでは自分の過去と現在について噛みしめるように語っていた。BOØWYが初めて武道館に出演した時のことに加え、同じくこの場所でデヴィッド・ボウイと共演したことにも話題は及んだ。当時のボウイのバンドでドラムだったザッカリー・アルフォードが、今では布袋のツアーで常連のバンド・メンバーになっていることにも触れた。

 布袋は、昨年のボウイ死去、氷室京介のステージからの引退をふり返りつつ、音楽活動を続ける自分について話した。2016年には、全国でライブハウス・ツアーをして東北でも演奏し、海外でもアムステルダム、パリ、ベルリン、ニューヨーク、ロサンゼルスのライブハウスに出演した。ヨーロッパでは200人規模のライブハウスが埋まらず、それでも目の前の客がまた来てくれるように活動を積み重ねている。35年前のBOØWYスタート時と一緒の苦しさと喜びを味わっていると、布袋は今の思いを述べた。

 

 ライブハウスという言葉が何度も出てきたことに、ファンはとても熱いものを感じたはずだ。BOØWY時代の氷室京介の「ライブハウス武道館へようこそ」という言葉は広く知られている。ライブハウスで客を熱狂させてのし上がってきたバンドが、会場が大きな武道館になっても初心を忘れていなかったと印象づけた名セリフだった。そして、今の布袋の口から出てきたライブハウスという言葉の響きは、彼がBOØWY時代からの初心をしっかり持ち続けたまま音楽と向き合っていることを、聴くものに確信させるものだった。「少年のような」というフレーズは、そんな姿勢を崩さない彼にこそふさわしい。

 布袋は、自分を越えることがテーマだという。2回目のアンコールで本当にラストとなる35曲目に、彼は、詞に自分越えへの思いがこめられている「LONELY★WILD」を歌い、演奏した。それは、感動的なフィナーレだった。

■円堂都司昭
文芸・音楽評論家。著書に『エンタメ小説進化論』(講談社)、『ディズニーの隣の風景』(原書房)、『ソーシャル化する音楽』(青土社)など。

■セットリスト
『布袋寅泰 35th ANNIVERSARY「8 BEATのシルエット」
【BEAT8】Climax Emotions ~35 songs from 1981-2016~』
12月30日(金)日本武道館

1. SUPERSONIC GENERATION
2. B.Blue
3. RADIO! RADIO!RADIO!
4. Bad Feeling
5. BE MY BABY
6. Circus
7. Dancing In the pleasure land
8. さよならアンディウォーホル
9. CAPTAIN ROCK
10. 命は燃やし尽くすためのもの
11. Stereocaster
12. You
13. ANGEL WALTZ
14. 薔薇と雨
15. ハウリング
16. Cloudy Heart
17. MILK BAR PM 11:00
18. UP SIDE DOWN
19. Good Savage
20. BEAT EMOTION
21. Prisoner
22. さらば青春の光
23. バンビーナ
24. POSION
25. スリル
26. MERRY-GO-ROUND
27. Marionette
28. 恋を止めないで
29. Dreamin'
30. FLY INTO YOUR DREAM

<Encore1>
31. 8 BEAT のシルエット
32. RUSSIAN ROULETTE
33. Glorious days

<Encore2>
34. Nobody is perfect
35. LONELY★WILD

布袋寅泰オフィシャルサイト

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