なぜライブハウスに宿泊施設? 梅田シャングリラの試みに見る、ツアーバンドの遠征事情
最後にキイ氏は、「ライブハウスにとって一番うれしいことのひとつは、バンドが長く活動を続けてくれること」だと付け加えた。
「活動の状況が厳しいとはいえ、バンドの数自体が減っているわけではない。最近は関西バンドがとくに元気がいいので、彼らが各地のバンドを招いてうちでイベントをやってくれるようになったらうれしいですね。ただ、ツアーの数は減ったかもしれません。だいたいのバンドが一年に一度ツアーでうちにやってきてくれるというルーティーンがありますが、どうしても活動10年以上のバンドは集客が落ちて、キャパの小さいハコに移っていくということがある。お客さんも新しいものばかりに目がいく感じはありますよね。ライブハウスとしてはやはり、どのバンドにも長く活動してほしいという思いがあるので、そういったキャリアのあるバンドたちのお手伝いも今後できればと考えています」
バンドがより音楽活動に専念できる環境づくりとシーンの活性化への期待がかかる「国内初ライブハウス&ホステル一体化リノベーション」。今回の試みが成功すれば、このスタイルが各地へ広がりを見せる可能性も大いにある。梅田シャングリラが、2010年代のライブハウスのモデルケースとなる日がやってくるかもしれない。
(文=久蔵千恵)