期待の新星=FlowBackの“セルフプロデュース力” 新たなポジション築けるか?
“flowback”。訳すと「逆流」という意味なるこの単語。それを体現するかのごとく、音楽シーンに自分たちの手で新しい波を立てているダンス&ボーカルグループ、“FlowBack”をご存知だろうか。MASAHARU、TATSUKI、MARK、REIJI、JUDAIの5人からなるFlowBackは、2013年に結成。数々のオーディションを受けながら夢を追いかけている最中に出会ったメンバーが集結したという。そして2014年に開催された、国内最大規模のオーディション「LINE オーディション」に出場。応募者12万5094組の中からファイナリスト8組に選出されて一気に注目を集めた。そして9月7日、シングル『Come A Long Way』でメジャーデビューを果たし、乗りに乗っているグループである。
現在、多くのダンス&ボーカルグループが存在するが、その中でも彼らは少し毛色が違う。これまでありそうでなかったことを、次々と行なっているのだ。まず、「徹底したセルフプロデュース」という点。MASAHARUはセルフ楽曲における作詞・作曲担当、TATSUKIはコレオグラフ・構成担当、MARKは作詞・衣装スタイリング担当、REIJIはグッズデザイン考案担当、JUDAIはラップ担当と、メンバー一人ひとり役割分担がされており、自分たちでグループを作り上げているのだ。確かに、作詞作曲やラップ、振付を自分たちで行なうグループは多々ある。しかし、グッズデザイン考案や衣装スタイリングまでメンバー内で完結するグループは珍しい。労力もいるだろうし、そもそもアーティスト活動のみに専念したいという人が多いはずだ。しかしFlowBackはあえてグッズデザイン考案や衣装スタイリングまでも手掛けることで、自分たちをキャラクタライズしやすくしているのだ。彼らの公式HPを見ると、プロフィールページに「本格的な歌&ダンス+アイコンとしても抜群のルックスを持ち」という文言を見ることができる。これは単なるアーティストとしてだけではなく、読者モデルのように同世代のポップ・アイコンというポジションも狙っているということではないだろうか。そのためには、自分たちのセンスを知ってもらう必要があるだろう。その手段としてセルフプロデュースをとっているとも考えられる。
また、メジャーデビューシングル『Come A Long Way』にも、彼らの新しい試みが仕掛けられている。スマートフォンのパノラマ動画機能と振動感知機能を駆使した“歩きスマホミュージックビデオ”だ。メンバーTATSUKIの目線で、スマホを落とした女性を追いかけながら自身の失恋を追体験するという内容だが、実際に自分も歩かなければMVが進まないという、ちょっとしたゲーム性も盛り込まれている。自分の目線で画面が切り替わっていくことから、より深くMVの世界に入り込むことができる仕掛けである。この新しい形のMVを手がけた監督は、アイドルグループ・lyrical schoolの「RUN and RUN」にてスマホジャックビデオを手がけた隈本遼平氏。また、テクニカルパートには、FACTのインタラクティブMV「the way down」を手がけたことで知られるテクニカルチーム“homunculus.inc”を迎えている。話題のクリエイターとタッグを組んでいることも、FlowBackらしさと言えるだろう。