メレンゲ クボケンジがクラウドファンディングを選択した理由「歌モノのシーンを衰退させたくない」

ファンの方に、「自由にやっているクボさんを見てみたい」と言ってもらえた

 

ーーそれで、今回の制作費をクラウドファンディングで募ったわけですが、CAMPFIREを選んだ理由は?

クボ:僕らのアルバムタイトルと同じ名前だったから(笑)。どこにしようかと思ってネットで探していたら、ここを見つけて「面白いな」と思ったのが一番の理由です。あと、あと、音楽に特化しているところよりも、そうじゃないところのほうが今後の展開として、いろいろ可能性があるのかなと。単にCDをリリースするだけじゃなくて、今回レーベルの立ち上げも同時だったし。

ーー7月18日現在、残り44日を残してすでに191%超達成しています。この数字に対して率直にどんな感想を?

クボ:達成金額に届いたことに関しては、ものすごく感謝の気持ちでいっぱいです。あとは、どこまで多くの人に賛同してもらえるかだと思うので、そこが気になりますね。

ーークボさんにとって、クラウドファンディングの一番の魅力は?

クボ:「やれなかったことがやれる」っていうことですかね。僕自身、高い楽器とかすぐに買っちゃう癖があるんですよ(笑)。例えば50万のデジタル機材だとか、ビンテージのギターだとか、「いつか買いたいんだよね」みたいにミュージシャン同士で話したりするじゃないですか。でも、「いつか買うつもりなら、今借金してでも買ったほうがいいでしょ? 」っていうのが僕の考え方なんですよ。だって、今必要なんだから。クラウドファンディングも、要するに「今、やりたいこと」を実現させるための予算を、もちろん賛同者がいればですが、集めることができるっていうのはとても魅力的ですよね。

ーー実際に始めるにあたって、何か準備はしました?

クボ:僕は思い立ったらすぐ行動というタイプなので、実はそんなに準備もしていないんです。それに、「写真は何が必要か」だとか、ある程度こまかいことは始めてから考えないと無理だよなと。なぜならクリスマスソングだから、9月にスタートさせたんじゃ全然間に合わない。今からでもギリギリなんですね。とりあえず登録して、必要なものを少しずつ揃えていった感じです。そもそも締め切りがないと、曲を作らないタイプなので(笑)。

ーー逆に準備周到に進めていたら、不安要素が色々出てきて動けなくなっていたかもしれないですよね。

クボ:あ、それもあります(笑)。ただ、ステイトメントの文面は誠実でありたいと思ったので、あれは時間をかけて考えましたね。自分が置かれている現状を、正直に書こうと。それも、あまり重すぎず軽すぎず。思いが強すぎても暑苦しいじゃないですか(笑)。何度も読み直し、書き直してからアップしました。

ーークラウドファンディングの面白い点は、賛同者がどんな人たちなのかが可視化されるところだと思います。どれくらいの熱量を持って応援してくれているのか、リターンの内容は、どういうものが喜ばれるのかなど、一目でわかる。もちろん、出資額とファンの熱量がイコールとはいいませんが、ある意味ではマーケティングになるし、活動のモチベーションにもつながるのでは。

クボ:そうですね。今おっしゃったように金額ではないんですけど、「必要としてくれている方がこれだけいるんだ」というのがわかったのは嬉しいですね。励みにもなるし、責任も感じるし、そういう人たちを裏切れないなっていう気持ちがより強くなりました。今までライブハウスとかだと、どのくらいの年齢層の人が、どれだけ来てくれて...っていうのは、ライブが始まるまでわからないわけじゃないですか。売れ行きの動向なども、当日まで分からない。でもクラウドファンディングは、出資の状況がリアルタイムでわかるから、この1週間はずっとドキドキしながら見ていましたね(笑)。

ーーSNSでの反応など、どんな感じでした?

クボ:概ね好評で、「頑張って」っていう前向きな応援リプライが多かったですね。僕の予想では賛否両方あって、けっこう厳しいことを言われることもあるのかなと思ったんですけど。メジャーでやっていたときに感じていた自分のジレンマとか、リリースするタイミングでは言えない愚痴とか(笑)、そういうものもあるという事情をわかってくれたファンの方に、「自由にやっているクボさんを見てみたい」と言ってもらえたんですよね。それは、こういうことをやってみないと聞こえてこなかった声だなと。

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