「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第28回 『IDOL NEWSING LIVE 2』
アプガ、アイルネ、吉田凜音、ブクガ、ひめとまほう……混沌と化した『IDOL NEWSING LIVE 2』をレポート
そして、吉田凜音、アップアップガールズ(仮)の新井愛瞳、アイドルネッサンスの石野理子によるコラボレーションのコーナーへ。吉田凜音が「皆さんが知ってるアゲアゲの曲です」と紹介して歌われたのは、mihimaru GTの「気分上々↑↑」だった。こんな懐かしい曲が発売されたころ、彼女たちは生まれていたのだろうか……と不安になったが、リリースは2006年。大丈夫、10年前だ、生まれている。不思議な安心感を得ることになった。
アイドルネッサンスでは、白い衣装を着たメンバー8人が、ステージの最前部で横一列になる光景が壮観だった。そして、めまぐるしく変化するダンスのフォーメーション。大江千里の「YOU」、Base Ball Bearの「恋する感覚」もあったが、全体的には盛りあげることに特化したセットリストで攻めていた。そして最後は、supercellの「君の知らない物語」。「君の知らない物語」は、ドラマ仕立てのMVも公開されたばかりだ。
吉田凜音はダンサー4人を従えてステージに登場。西寺郷太がプロデュースした名曲群でフロアを湧かせていき、最後に「IDOL NEWSING vol.2」から生まれた「りんねラップ」を投下した。吉田凜音の天性の勘の良さを感じさせるラップに加え、ダンサーたちもヒップホップダンスの素養を爆発させ、圧巻のステージに。ステージをじっと見守っていたE TICKET PRODUCTIONが、ステージの終了直後、笑顔だったことも忘れられない。吉田凜音のステージングは予想以上のものだったのだろう。
トリを飾ったのは、アップアップガールズ(仮)。EDMにロックと、爆上げナンバーの連発である。そして、最後の「パーリーピーポーエイリアン」では、出演者が全員集合。曲がはじまる前に、石野理子が感謝の言葉をまくしたてるように述べていたのも印象的だった。そして、NEWKIDSCREWが呼ばれなかったために、ステージ上で唯一の男性だったDJまほうつかいもパリピ宣言。全員がお揃いのグラスをかけて踊りだすなか、アップアップガールズ(仮)のメンバーたちが、他の出演者たちをステージ前方へ誘っている姿もほほえましかった。そして、見たこともないほど踊り狂う吉田凜音。さらに、見たこともないような踊り方をするDJまほうつかいにも衝撃を受けた。
『IDOL NEWSING LIVE 2』は、アイドルだけが出演していたわけではないし、それは『IDOL NEWSING vol.2』の出演者にも言えることだ。アイドルだけでDVDを制作する方が手堅いはずなのに、ついつい他の文脈を持ち込んでしまう岡島紳士の業のようなものを感じさせるイベントでもあった。業火に焼かれるがごとく、今後も岡島紳士には混沌としたアイドルDVDマガジンを制作してほしいと願ったイベントが『IDOL NEWSING LIVE 2』だったのだ。
(写真=フチザキ)
■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter