ふくりゅうが、6月25日新木場STUDIO COAST公演を分析

水曜日のカンパネラはライブ・エンタテインメントの新基準を示したーー『未確認ツアー』レポート 

 

 スペーシーなダンスチューン「ウランちゃん」、続くトライバルに妖しいサウンドが響き渡る「バク」では、ステージ前に森のようなスクリーンが降りて、コムアイが懐中電灯片手に不穏な雰囲気を表現。そして、森を駆け抜けた地は至福のサウンドを奏でる「ユタ」だった。水曜日のカンパネラにおけるアヴァンギャルドなサウンドの集大成がこの3曲の流れに集約していたように思う。次から次へとUMAを登場させることで多様性ある未体験カオスを表現 → 不穏な森を抜けて → 至福の地へ。そんな物語性を勝手ながら感じたのだ。本編のハイライトはここにあった! そう思う。

 その後は、人気曲「ラー」で共演した着ぐるみ? カレーメシ2くんとの、Twitterタイムラインを経由してスクリーン上で会話する漫才のようなやりとりからの「ラー」。続いて、手塚治虫の漫画『ユニコ』がルーツという世の不条理を描いたナンバー「ユニコ」でのメロディアスな展開。本編ラストには、みんなが笑顔になるポップチューン「桃太郎」を披露。サービスタイムと言わんばかりに透明バルーンに入り、オーディエンスの頭上をクラウドサーフィンするコムアイは痛快だった。

 

 ここまでで全17曲、90分が経過。一般的なワンマン公演より尺は短いが、情報量が多いので満足度は高く、あっという間の90分に感じた。このセンスは次世代ライブ・エンタテインメントの基準になると確信した一夜だった。ライブは長くやればいいというものではないのだ。

 このままスパっと終わるかと思えば、コムアイはすぐにステージに再登場し、メロウに歌える合唱チューン「ドラキュラ」で大団円を迎えるステージを表現。なんだこの、すでに年末を迎えたかのような至福なる昂揚感は(笑)。心がほっこりと暖まり、とても自由なコンサートだったというのが感想だ。世間一般の常識に捕われないパフォーマンスの数々によって、心の解放をしてくれるのが水カンなんだなと確信。カオスな多様性から生まれる自由さを体感した夜だった。

 引き続きツアーは続いていく。各地でプレミアム・チケットとなっていると思うが、2016年を代表するライブ・エンタテインメントを是非とも体感して欲しいと願う。そして、水カンは昨年に続き夏フェス『サマーソニック2016』出演が決まっており、今年はなんと、最大級のキャパを誇るマリンステージへと立ち向かう。前のめりに期待したいと思う。

(文=ふくりゅう(音楽コンシェルジュ/Twitter)/photo by 横山マサト)

 

 

 

 

■セットリスト
01. メデューサ
02. シャクシャイン
03. ツチノコ
04. ナポレオン
05. ディアブロ
06. 小野妹子
07. 雪男イエティ
08. フェニックス
09. チュパカブラ
10. ウランちゃん
11. バク
12. ユタ
13. ツイッギー
14. ラー
15. ミツコ
16. ユニコ
17. 桃太郎
EN01. ドラキュラ

■水曜日のカンパネラ オフィシャルサイト
http://www.wed-camp.com/

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