PIZZA OF DEATHが作り上げた“シーンを繋ぐ場所” 世代差越えたパンク/ラウドの祭典レポート

SiM / Photo by Yosuke Kamiyama
SiM / Photo by Yosuke Kamiyama

 続くSATAN STAGEには、常連アーティストとなったSiMが、ゾンビメイク仕様で登場するという、演出にこだわったステージを披露。3年目の出演となるSHANKも、ライブからトークまでEVIL STAGE上で自由なパフォーマンスを繰り広げた。その後、NAMBA69が登場し、新メンバー・ko-hey(Gt)が加入した新体制で、初ライブを披露した。観客からは「おかえり」という声も届き、難波章浩(Ba/Vo)は「PIZZA OF DEATHのおかげ。新しくなっても、パンクロックやって、SATANICのステージからスタート切れた。リスペクト!」と感謝の思いを伝えた。そして難波の「パンクロックは好きですかー!?」との掛け声に賛同したオーディエンスと共に、元祖パンクロックの意地を見せつける演奏を展開した。

NAMBA69 / Photo by Yuji honda Ken Yokoyama / Photo by Teppei Kishida

 ラインナップも終盤に近づき、SATAN STAGEには、横山健(Gt/Vo)が、緑の風呂敷を肩に乗せて「ズラ!」と呟きながらKen Yokoyamaとして登場すると、会場には笑いが溢れる。肩に日本の国旗を掛けた横山が「Save Us」を歌い上げ、1996年に横山がプロデュースしたHUSKING BEEの1stアルバム『GRIP』から「WALK」のカバーを披露。横山は「20年前からこのシーンにいなくたって、誰だって今日からこのシーンの一員になれるんだ」とメッセージを伝え、マイクをフロアへ託した。「繋いでいこう」という意思が込められた「Let The Beat Carry On」の歌い出しを観客に任せ、横山はギターをかき鳴らし、横山と観客が思いを共にした光景が印象的だった。

04 Limited Sazabys / Photo by Yosuke Kamiyama

 同じ頃、EVILE STAGEで最後のアクトに登場したのは、3年前の初年度にトップバッターを務めていた04 Limited Sazabysだ。Hi-STANDARD主催の『AIR JAM』に憧れた04 Limited Sazabysは、今年の4月に自身が主催する『YON FES』で約2万人を動員。GEN(Ba/Vo)は、「2年前のオープニングアクトが色んなきっかけになって、今の僕たちがある」と話し、自信に満ちたステージで堂々のトリを飾った。そして、今年のSATANIC CARNIVAL'16の最後のステージには、昨年も数々のフェスでトリを務めた10-FEETが登場。新曲をワンフレーズ歌い上げると、観客の心を掴んで躍らせるパフォーマンスで、この日最後のライブを大いに盛り上げた。

10-FEET / Photo by Yuji Honda 10-FEET / Photo by Yuji Honda

 わずか3回の開催で、すでに日本の音楽シーンにおいて極めて重要な存在となった『SATANIC CARNIVAL'16』。同イベントの開催前、リアルサウンドで行ったKen YokoyamaとJean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)の対談でKen Yokoyamaが話した「きっかけは大袈裟なものじゃなくて。誰だっていつでもそのシーンの一部になれる。そういうふうに思ってもらえたらいいな」という声がしっかりとリスナーに届いているということは、笑顔で溢れた会場の光景を見れば一目瞭然だった。各バンドが、この日の熱を残さず各地のライブハウスへ運んでいく出発点として、SATANIC CARNIVALは今後も“パンク・シーン”を繋いでいくシンボルとなっていくだろう。

(文=大和田茉椰)

『SATANIC CARNIVAL’16』
日程:6月4日(土)幕張メッセ国際展示場 9-11 ホール

【SATAN STAGE】
WANIMA、Crossfaith、dustbox、MONOEYES、HEY-SMITH、MAN WITH A MISSION、SiM、Ken Yokoyama、10-FEET

【EVIL STAGE】
bacho(O.A.)、TOTALFAT、ジャパハリネット、Dizzy Sunfist、AA=、ATATA、The BONEZ、G-FREAK FACTORY、CRYSTAL LAKE、SHANK、NAMBA69、04 Limited Sazabys

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