ピロスエのハロプロシーズンソング分析(夏編)
ハロプロ夏ソングは全部で何曲? 四季のハロプロ楽曲(夏編)
<その他(曲名)>
・せんこう花火/モーニング娘。(1999|アルバム曲)
・恋花火/月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)(2006|アルバム曲|作詞:中原杏、a2c)
・ヒマワリ/月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)(2007|アルバム曲|作詞:西村ちさと)
・恋は猛暑!/シェキドル(2001|c/w曲|作詞:新堂敦士)
・「残暑 お見舞い 申し上げます。」/℃-ute(2009|c/w曲)
・海岸清掃男子/HI-FIN(2013|作詞:もりちよこ)
・ほたる祭りの日/ジュリン(2013|作詞:角田崇徳)
・マリンスポーツ!/矢口真里(2001)
その他、夏を連想させる単語が曲名に含まれる楽曲が8曲。「せんこう花火」は当時のモーニング娘。のエースメンバー安倍なつみのソロ歌唱曲。「「残暑 お見舞い 申し上げます。」」は、キャンディーズをカバーした℃-uteシングル「暑中お見舞い申し上げます」のカップリング曲で、こちらもエース鈴木愛理のソロ曲である。「マリンスポーツ!」は前述の「真夏の誕生日」と同じく、モーニング娘。のファンクラブ限定販売ソロシングル。
<夏(歌詞)※シングル曲>
・まじですかスカ!/モーニング娘。(2011)
・だって 生きてかなくちゃ/安倍なつみ(2004)
・ガラスのパンプス/後藤真希(2006)
・そっと口づけて ギュッと抱きしめて/藤本美貴(2002)
・DON'T STOP 恋愛中/T&Cボンバー(2000)
・告白記念日/メロン記念日(2000)
・徹底的運命/シェキドル(2001)
・トロピカ~ル恋して~る/松浦亜弥(2001)
・Yeah! めっちゃホリディ/松浦亜弥(2002)
・恋する♡エンジェル♡ハート/美勇伝(2007)
・ジリリ キテル/Berryz工房(2006)
・本気ボンバー!!/Berryz工房(2010)
・めぐる恋の季節/℃-ute(2007)
・桃色スパークリング/℃-ute(2011)
・悲しき雨降り/℃-ute(2013)
・ドットビキニ/スマイレージ(2012)
・ダイキライ/平家みちよ(1998|作詞:牧穂エミ)
・scene/平家みちよ(1999|作詞:平家みちよ)
・Unchain My Heart/三佳千夏(1999|作詞:AKA$AKA)
・はじめての経験/真野恵里菜(2009|作詞:三浦徳子)
歌詞に「夏」を含む楽曲は、数が多いのでシングルとそれ以外で分けた。まずシングル曲、つんく♂作詞の16曲分の該当歌詞を列挙していくと、〈今年の夏も暑そうでスカ〉〈夏がまた試してるんだ 迷ってるあの子を〉〈夏はまたジリジリと 若者たちを恋に落とす〉〈ねえ夏は 女の子を大胆にしちゃうんだろう〉〈暑い夏でも二人一緒 年中無休だけど〉〈夏季(なつ)限定のアルバイトなんだから 夏のあいだに何とかしなきゃだよ!〉〈徹底的に 夏を感じてる〉〈夏の妙な雰囲気で ついうなずいちゃったけど〉〈ウキウキな夏希望〉〈公認の夏にしたい〉〈夏ならジリリ キテル〉〈夏じゃん! 見上げる空 青い海〉〈夏が好きな僕らだから〉〈夏の方から近づいてく〉〈夏が終わるまでにしなきゃならない 事があったのも事実〉〈夏夏夏夏・・・・・夏Bikini〉となる。
つんく♂以外の作詞曲4曲では、それぞれ〈去年の夏には二人で見たよね ケンカしてた事も忘れ 口づけた砂浜〉〈甘い夏風(かぜ)に揺れる恋人達の 幸せ なぜか願ってた〉〈横なぐりの風 もう夏が終わるね〉〈なつ、なつ、なつ ギラ、ギラ、ギラ〉が該当部分だった。
<夏(歌詞)※c/w曲、アルバム曲>
・恋の始発列車/モーニング娘。(1999|c/w曲)
・ファインエモーション!/モーニング娘。(2004|c/w曲)
・愛と太陽に包まれて/モーニング娘。(2005|c/w曲)
・シンガポール トランジット/後藤真希(2005|アルバム曲)
・つまんないよ…/松浦亜弥(2002|c/w曲)
・わかってないじゃない/タンポポ(1999|アルバム曲)
・センチメンタル南向き/タンポポ(1999|アルバム曲)
・片想い/タンポポ(1999|アルバム曲)
・おしゃべりすきやねん/ミニモニ。(2003|c/w曲)
・Go Go Go!/℃-ute(2009|c/w曲)
・HELLO! また会おうね (20人祭version)/20人祭(2001|c/w曲)
・Crying/ハロプロ研修生(2015|アルバム曲)
・Ice Mermaid/Buono!(2011|c/w曲|作詞:鈴木美穂)
シングル曲以外のc/w曲やアルバム曲では、つんく♂作詞の12曲だと〈そうね 早く感じるね また夏が来るね〉〈夏の香りが似合う あなた〉〈(SUMMER) 最高の夏になりそう〉〈まだ夏まではあるけれど 今から準備しましょう〉〈夏の夜は朝になるの 早すぎて つまんないのよ〉〈夏になるのを 待てないよってスネたら〉〈夏はミステリアス一時雨〉〈この想い夏の雨と 一緒に流れてなくなれ〉〈夏になったら夏になったで 海にいかんといかんしな〉〈やっぱり夏が好き〉〈みんなで歌いましょう! 夏が過ぎる前に〉〈二人で通った夏の予備校 かき氷の店に寄り道したね〉。
ちなみに「わかってないじゃない」「センチメンタル南向き」「片想い」の3曲は、タンポポのオリジナルアルバム『TANPOPO 1』収録曲で、それぞれ石黒彩、矢口真里、飯田圭織のソロ歌唱曲。3曲とも「夏」という単語が入っているのは、つんく♂のちょっとした遊び心だったのだろうか。
つんく♂以外の作詞曲1曲では、〈あなたに愛されて姿変えても 思い出とこの夏を忘れないで〉。
<真夏(歌詞)>
・HEY! 真昼の蜃気楼/T&Cボンバー(2000)
・10カラットの煌めき。/真野恵里菜(2011|c/w曲|作詞:三浦徳子)
・オンナ、哀しい、オトナ/セクシーオトナジャン(2005|作詞:三浦徳子)
それぞれ〈真夏の真昼の蜃気楼〉〈真夏の色に 染まりたかった〉〈お願い 真夏の星屑さん〉。
<サマー(歌詞)>
・十年愛/モーニング娘。誕生10年記念隊(2007|c/w曲)
・恋はひっぱりだこ/Berryz工房(2004|アルバム曲)
・印象派 ルノアールのように/エレジーズ(2005)
・GO! GO! ゴーダ/Buono!(2012|アルバム曲|作詞:HA、AKIRASTAR)
・レディーマーメイド/ダイヤレディー(2013|作詞:角田崇徳)
「十年愛」はモーニング娘。の活動10周年のタイミングで結成された企画ユニット、モーニング娘。誕生10年記念隊の1stシングルのカップリング曲。歌詞に過去シングルの曲名が入れ込まれており、その中に〈ハッピーサマーウェディング〉が含まれている。
Berryz工房「恋はひっぱりだこ」の該当箇所はサビ終わりの〈カレンダーはいつも HEY! 待ったなし! SUMMER SUMMER〉だが、そもそも曲冒頭の歌詞が〈でっかい夏始めます 叶えたいな〉だった。エレジーズ「印象派 ルノアールのように」のサビ部分の歌詞は〈DOKI ドキドキのYORU 夜よえいEN ENDLESS SUMMER NIGHT〉と、フレーズのしりとりになっているのが斬新。
他2曲の該当箇所はそれぞれ〈Na Na Na Na 夏! Summer Time! Go!だ〉〈泣いて笑ったね End of the Summer〉。
<夏休み・夏祭り(歌詞)>
・ちょっとイカしたPURE BOY/モーニング娘。(2002|c/w曲)
・シャニムニ パラダイス/モーニング娘。[高橋愛・新垣里沙・藤本美貴・田中れいな](2007|アルバム曲)
・ジンクス/W(2005|c/w曲)
・私の予定/松浦亜弥(2003|c/w曲)
・寝る子はキュート/℃-ute(2014|アルバム曲|作詞:塩田泰造)
・Ambitious! 野心的でいいじゃん/モーニング娘。(2006)
・夢見る 15歳/スマイレージ(2010)
・蝉/Berryz工房(2004|アルバム曲)
「夏休み」という歌詞を含む楽曲は前半5曲で、それぞれ〈この夏休み さあ計画を立てて たっぷり有効的に使おう〉〈楽しい楽しい夏休み ずっとずっとしたかった夢がある〉〈夏休みの計画を 経てましょうよ今夜 2人〉〈私の予定じゃ 夏休み中はずっと一緒で〉〈特別な夏休み ドキドキが走り出す〉。「寝る子はキュート」は℃-ute主演の同名タイトルの演劇用のオリジナルテーマ曲で、夏休みに別荘へ訪れるというストーリーだった。
「夏祭り」という歌詞を含んでいるのは、「Ambitious! 野心的でいいじゃん」の〈夏祭りだけはなんか 出かけたくなる〉と、「夢見る 15歳」の〈夏祭り 手を繋ぎ 花火を見上げて〉の2曲。特に後者は、15歳の少女が「今年の夏は恋を頑張ろう」とする内容なのだが、サビ部分で1番は夏祭り、2番は海水浴へ行く情景を妄想する、その場面転換と曲展開のシンクロ具合が鮮やかである。
(……長くなるがもう少し詳しく書くと、サビに至る前までのAメロ・Bメロ部分、そしてサビ部分の二箇所では内容に落差がある。イメージ的には、前者がモノクロ(〈今年の夏は負けない〉などと色々思案している)、後者がフルカラー(彼氏とのデート風景の妄想が花開く)とするとわかりやすいだろうか。「現実」と「夢」と言い換えてもいい。その落差と曲展開が、スパっと切り替わるように合っていて快いのだ。と言ってもサビでいきなりバックトラックが賑やかになるといったようなことではなくて、あくまでサビパートに突入するというだけのことだが、そのシンプルさが効果的である。そしてここがポイントなのだが、サビ16小節の内、終盤の4小節で〈…なんて恋 夢見てる 15歳(フィフティーン)〉と、モノクロの現実に引き戻る部分が用意されている。こういった歌詞とサウンドのせめぎ合いは、ポップスを聴く際の醍醐味だろう。さらに言うと、落ちサビでは〈ひとりきり イヤフォンで 音楽聴いている〉〈さみしいよ さみしいよ なぜかさみしいよ〉と、メロディーは「フルカラーの夢」なのに歌詞は「モノクロの現実」という、先ほどまでとは異なるマーブルな展開が発生する。もしかしたら、さっきまで夢見ていたフルカラーの妄想は、イヤフォンで音楽を聴きながらの産物だったのかもしれない、とも解釈できる。こういった作詞術は大なり小なりどの曲でも行われているものだろうが、その構成がここまでソリッドかつ美しいものはなかなかなく、「夢見る 15歳」が名曲と呼ばれる所以だろう。)
Berryz工房「蝉」は、歌詞を見ても「夏休み」という単語は使われていないが、内容的には夏休みに家族で田舎へ帰省して、弟が蝉を採っているというものなのでここに含めた。誰でも子供の頃に経験があるだろう夏の一場面を、具体的な描写(〈トランプとか始まったら〉〈お夜食はラーメン〉等)を積み重ねて表現しており、強い郷愁を感じさせる相当な名曲だ。