Zeebraが明かす『フリースタイルダンジョン』ヒットの理由 「はっきり言って“無理ゲー”のつもりだった」

「フリースタイルだけではない、ヒップホップの魅力も感じてほしい」

――ただ、ネットに積極的だと、ネタバレの心配は常に付きまといますよね。会場には一般の観覧者も入っていますし。

Zeebra:全然、ネタバレがないといったら嘘になります。でも、そういうことをするのは本当に一部の人間で、「フリースタイルダンジョン」でサーチしてもそれほどたくさんは出てこないですね。観覧している方はとてもマナーが良いですし、毎回、ちゃんと盛り上がってくれています。やっぱり、テレ朝の応募から集まっている方々だから、ちゃんと楽しみたい、このシーンを盛り上げていきたいという意識が強いんだと思います。そういう意味でも、本当にみんなで作っている番組ですね。

――「フリースタイルダンジョン」はたしかに、新しいヒップホップの波を作っていますね。ただ一方で、特定のスタイルのラッパーが勝ちやすかったり、フリースタイルこそがヒップホップの魅力のすべてであるような誤解を与えたりするのではないかとの指摘もあります。

Zeebra:たしかに、MCバトルはスポーツと同じく競技性があるため注目が集まりやすいです。ただ、ちゃんと楽曲も楽しんでもらう必要性はあると考えていて、そのために毎回ライブを入れています。短くても良いから、必ずライブを入れるというのは、初期から一貫しています。フリースタイルだけではない、ヒップホップの魅力はそこで感じてほしいですね。それから、番組オリジナルのサントラ『フリースタイルダンジョン ORIGINAL SOUND TRACK』を5月18日にリリースします。レギュラー出演者たちの全員の楽曲のほか、CHICO CARLITOと焚巻と掌幻による音源も入っています。15曲入りで2000円なので、ヒップホップ入門としても楽しめる作品になっていると思います。そこからいろいろな日本語ラップを掘ってもらえたら嬉しいですね。

 スタイルとして勝ちやすい、勝ちにくいに関しては、あの審査員たちはそれほど偏った審査はしないので、あまり気にしていないです。勢いだけじゃなく、ちゃんとフロウに工夫があれば、そこも加味して審査しているはず。むしろ勝つか負けるかのポイントで言えば、会場に飲まれないことが大切だと感じています。やっぱり、モンスターが強いのはとにかく会場慣れしているところで、チャレンジャーは民放で自分の一字一句が流れるわけだから、ものすごく緊張しているわけです。そのシチュエーションに飲まれず、自分らしいスタイルを出せるラッパーが強いですよ。

――Second Seasonからはさらに規模が大きくなって、会場もスタジオコーストに変わったので、よりメンタル面が問われそうですね。

Zeebra:まあ、図太くないと勝てないですよね。1000人の観覧者がいて、超でかいステージのど真ん中でやらされるから、結構なプレッシャーですよ。チャレンジャーが可哀想だなって思いました(笑)。モンスターも二人増えましたし、とにかくすべてのスケールがデカくなったので。一筋縄ではいかないと思います。

――ひとくちに日本語ラップといっても、シーンは広いですが、「フリースタイルダンジョン」はメジャーからアンダーグラウンドまで、あらゆるシーンのラッパーが集まっていますよね。

Zeebra:戦極MCBATTLEとかTHE 罵倒とか、ほかのフリースタイルの大会とも連携をとって、さらに幅を広げていけたらいいと考えています。たとえば番組の中でちょっとしたエキシビションマッチをやってみたりとか、そういうことも視野に入れていて。レギュラー放送以外のイベントもやってみたりね。「フリースタイルダンジョン」をヒップホップシーンにおける一つの媒体というか、そういう大きなものに進化させて、そこからさらに派生してシーンそのものを大きくしていきたいですね。

(取材・文=松田広宣)

■番組情報
『フリースタイル ダンジョン』
毎週火曜日深夜1:26〜1:56、テレビ朝日にて放送中。
インターネットテレビ「AbemaTV」のバラエティチャンネルでも動画配信スタート。
https://abema.tv/

『フリースタイルダンジョン ORIGINAL SOUNDTRACK』

■リリース情報
『フリースタイルダンジョン ORIGINAL SOUNDTRACK』
価格:¥2,000 (税別)
発売:5月18日(水)

【収録楽曲】
M01. 掌幻, CHICO CARLITO,焚巻
/ フリースタイル・ダンジョン 2016 [新録曲]
M02. 晋平太 / CHECK YOUR MIC
M03. KEN THE 390 / Make Some Noise feat. ZORN,NORIKIYO
M04. 2WIN(T-PABLOW&YZERR) / IN MY BLOOD

M05. ACE / 朧月~三つ巴~ feat. R-指定, 輪入道

M06. 漢 a.k.a. GAMI / my money long

M07. 般若 / はいしんだ feat. SAMI-T from Mighty Crown
M08. ロロロ/ ヒップホップの経年変化

M09. Zeebra / Bring It Back

M10. サイプレス上野とロベルト吉野 / RUN AND GUN feat. LEON a.k.a. 獅子, DOLLARBILL
M11. Creepy Nuts(R-指定&DJ松永) / 刹那

M12. UZI / 韻 feat. K DUB SHINE

M13. 韻踏合組合 / 一網打尽

M14. キング・ギドラ / フリースタイル・ダンジョン

M15. SKY-HI / ENTER THE DUNGEON

公式サイト:zeebra.amebaownd.com

『why can't we live together 〜シアターブルック結成30周年記念イベント〜』

■ライブ情報
『why can't we live together 〜シアターブルック結成30周年記念イベント〜』
日時:5月22日(土)
場所:東京・下北沢GARDEN
出演:シアターブルック & キングギドラ

詳細は以下
https://kinggiddra.amebaownd.com/pages/1270/static

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