欅坂46は早くも“グループのカラー”を打ち出した デビュー前イベントを徹底分析

欅坂46が打ち出した“グループのカラー”

 欅坂46のデビュー直前イベント『欅坂46生中継!デビューカウントダウンライブ!!』が3月17日、東京国際フォーラム・ホールAで開催された。4月6日のCDデビューを前にしたこのライブイベントは、デビューシングル『サイレントマジョリティー』収録楽曲をすべてパフォーマンスする機会になった。いわばこのグループの旗印を示す一歩目となるこのイベントで、欅坂46は早くも明確なカラーを手にしつつあることを見せつけた。

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 前日16日にMVが公開されていたシングル表題曲「サイレントマジョリティー」でライブは幕を開ける。欅坂46のコンテンツ第一弾として、画一的に馴らされた社会のイメージとそれを破ろうとする個々の自我との対照が描かれたこの楽曲の緊張感は、ライブでパフォーマンスされることで、より立体的になる。その肝は、この曲の振付を担当したTAKAHIROによって展開される振りとフォーメーションだ。20人のメンバーが統制された印象をあえて打ち出す振付は、サビ直前で円を描いて走り出す瞬間から、楽曲の展開に呼応してそれぞれの自我の胎動を示すように表情を変える。冷たく整然とした時間とそれを打ち破る時間とのドラマティックな対照が、同曲をデビュー作としてこれ以上ないほどに鮮やかなものにしている。

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「サイレントマジョリティー」に代表されるドラマティックな展開の振付は、これから欅坂46を捉える上で大きな鍵になる。MCとプロフィール紹介を挟んで披露されたこの日の二曲目「キミガイナイ」でも、その特徴はさらに発揮された。メンバーが列を組んでステージ上手から中央へ歩き出し、水平に横たわる渡辺梨加が担われて運ばれてくる場面から始まる同曲は、葬送のモチーフを思わせつつ同時に寝室でのひと時ともとれる、印象的なその冒頭が静かに視覚的なインパクトを見せる。この「キミガイナイ」は、「サイレントマジョリティー」に比べればずっとミクロで私的な関係を歌っている。けれども、この曲でも振付を中心にして、楽曲の世界を視覚面で強く描こうとする方針は一貫していた。この日のライブイベント終盤に挿し込まれたストイックなダンスパートも含め、演劇性の高さを強調したダンスパフォーマンスの連続は、欅坂46がデビューにあたってはっきりとコンセプトを固めてきたことを物語っている。

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 それらの楽曲がグループのメインカラーを示す一方で、中盤に披露されたユニットやソロ楽曲ではレパートリーの広さをうかがわせた。表題曲でデビューにしてすでに圧倒的なエースとしての風格を見せる平手友梨奈は、ソロ曲「山手線」ではクラシカルなソロアイドルの佇まいを思わせる凛々しいパフォーマンスを披露、また今泉佑唯と小林由依のギターデュオ「ゆいちゃんず」による「渋谷川」はフォークソング調で、シリアスなトーンが目立つ楽曲群に緩急をつけてみせる。また、現状唯一の「けやき坂46(ひらがなけやき)」メンバー・長濱ねるを中心に据えたユニット曲「乗り遅れたバス」では、グループの中で変則的な立場にいる長濱の境遇をストレートに反映させた詞をあて、これから始動する「けやき坂46」への物語作りをしてみせた。1stシングル『サイレントマジョリティー』の各盤に収録されるこれらユニット・ソロ曲が、メンバー全員による楽曲で見せるコンセプトとは色の違う、グループの幅を示している。

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