NEWSが新作『QUARTETTO』で見せた音楽的可能性 従来ポップスをフロア対応型に?

 アルバム後半からは、少しモードがチェンジする。「NEWSKOOL」は、ラップも含めたウワモノのノリが少しオールドスクール・ヒップホップのような印象である。櫻井翔の「Hip Pop Boogie」でも引用されていた、シュガーヒル・ギャング「Rapper’s Delight」のおなじみのフレーズを歌うのも、オールドスクール的である。しかし、ビートはむしろ露骨にいまっぽい。曲中には「OLD SKOOL We Don’t DIS IT」という一節があるが、逆説的に「OLDSKOOL」を想起させる「NEWSKOOL」という曲は、その曲名も含めけっこう凝っている。先行のDVDシングル曲「四銃士」は、全面的にラフマニノフを引用したユニークな曲である。ヒップホップ的なサンプリングとも異なり、ヘンテコで面白い。シングル『四銃士』のカップリングは先の「ANTHEM」だが、シンフォニックな雰囲気のダンスミュージックという意味で、結果的に両者は呼応している。だとすれば、怪作「チュムチュム」も収録されているものの、本作の特徴は最初の「Theme of “QUARTETTO”」の時点ですでに示されていたのかもしれない。先述のように、エレクトロニックかつポップな、この短いオープニングは、ダンスミュージックをポップスに聴かせる本作の予告編のようである。もちろん、そのような試みを可能にするメンバーの歌唱力も無視できない。通常盤に収録されたソロ曲はどれも聴きどころがある。とくに、加藤シゲアキがラップと歌を披露するR&B曲「星の王子様」などは、素晴らしくグルーヴィーなヴォーカルを聴くことができる。NEWSの新作は、従来的なポップスでありながら、同時にフロア対応が可能な音楽という可能性を追求している。

■矢野利裕(やの・としひろ)
批評、ライター、DJ、イラスト。共著に、大谷能生・速水健朗・矢野利裕『ジャニ研!』(原書房)、宇佐美毅・千田洋幸『村上春樹と一九九〇年代』(おうふう)などがある。

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