aikoや赤い公園・津野も絶賛 新鋭バンド「Official髭男dism」のポップソング力を探る
アーティストがブレイクするにはさまざまなきっかけがあるが、大々的なタイアップ戦略や露出以上に時にいい効果を生むのが、実は同業者からの支持だったりする。たとえばPerfume。彼女たちのブレイク前夜に、木村カエラが自身のラジオ番組で猛プッシュしていたのは有名な話だ。
昨年4月にデビューしたばかりの新人バンド「Official髭男dism」にも、今、そんな追い風が吹いている。FM802の対談番組「Walkin' Talikin'-徒然ダイアローグ-」に12月のマンスリーゲストとして登場したaikoが、番組内で彼らを「声も耳に残るし、メロディも楽しい。元気になりたいときに聞いている」として紹介。楽曲を聴いた対談相手の秦基博も「開始2秒で買おうと思った」とコメントするなどして話題に。また、赤い公園の津野米咲も自身のTwitterで彼らについて言及。これを見たファンがライブに足を運ぶなど、実際のアクションにもつながっているようだ。
一般にはまだ無名の彼ら。一流アーティストをも唸らせる魅力とは一体どこにあるのだろうか。
2012年に、島根大学に通う学生らで結成されたという「Official髭男dism」。“ヒゲダン”の愛称で親しまれ、地元・山陰を中心に活動中の新人バンドだ。バンド名には“髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をこのメンバーでずっと続けて行きたい”という願いを込めたとのことで、メンバー同士の仲の良さが伺える。昨年4月にミニアルバム『ラブとピースは君の中』でデビュー。同作は4月度タワレコメン、ニッポン放送4月度優秀新人に選出されたほか、新人としては異例のiTunes総合チャートにて10位にランクイン。ロングセールスを記録した。平均年齢も23歳と若く、今後の伸びしろも十分感じさせる。
音楽性はというと“ピアノPOPバンド”と名乗るだけあって、キーボードをフィーチャーしたキャッチーかつグルーヴィーな楽曲を得意としている。全曲の作詞作曲をするヴォーカル&キーボードの藤原はスティーヴィー・ワンダーなどモータウン系の音楽に影響を受けたとのことで、演奏を聴いていると爽やかな中にどこかソウルの熱っぽさが顔を出す瞬間も。昨今若手バンドに流行したような、奇をてらった変則リズムや打ち込みサウンドは一切なし。むしろ、真面目に忠実にポップさを追求している姿勢は、「ホントに20代前半!?」と疑いたくなるほどだ。実際ライブには、40代のファンも多いと聞く。
奇抜なバンド名とは裏腹に、世代を超えて親しみやすいポップソングを聴かせるバンド。それが「Official髭男dism」の正体だったわけだ。
今春には上京を控え、いよいよ本格始動となる様子。しばらくはライブ活動がメインとのことだが、今後どのようなバンドへと成長するのか、非常に楽しみな存在の登場である。
(文=板橋不死子)
■リリース情報
『ラブとピースは君の中』
発売:2015年4月22日
価格:¥1,800(税抜)
1.SWEET TWEET
2.恋の前ならえ
3.夕暮れ沿い
4.雪急く朝が来る
5.始発が導く幸福論
6.愛なんだが・・・
7.parade
8.ダーリン。
■ライブ情報
「OTOEMON FESTA 2016」
3月21日(月祝) [大阪]LIVE SQUARE 2nd LINE
「harmonics」
4月7日(木) [大阪]Music Club JANUS