back number、西野カナ、三代目JSB、岡村靖幸……動画共有サービスで流行する音楽の傾向を探る 

 また、MixChannelで見られるダンス動画で1番多く見られていたのが“ランニングマン”の振り付け動画だ。これは「第56回 日本レコード大賞」にも選ばれた、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「R.Y.U.S.E.I.」のダンス中に取り入れている振りで、二人以上のグループが多く投稿していた。

 ここまでMixChannelに関連するアーティストとその音楽について取り上げてきたが、全インターネット人口の約3分の1を占めるといわれるユーザー数を持つYouTubeでは、MixChannelで見られた振付動画ではなく、音楽を自ら演奏したり、替え歌にして投稿した動画が目立つ。その中でも、2015年は西野カナ「トリセツ」の替え歌動画が多かった。「トリセツ」は、MixChannel上だと、手の振付をしたり文字と写真で編集したものが多かったが、長尺の動画が投稿できるYouTube上では、自らがアーティストとして映り、歌詞を変えて歌ったものが半数以上を占めていた。「女ゴコロの取扱説明書を歌詞にした」というテーマから、自分流に歌詞を変えやすいところを掴んだユーザーは、自身に歌詞を置き換え、対象の性別を変えたり、血液型や方言など、多くのシチュエーションを用いて、オリジナルソングを投稿していた。なかには、お笑い芸人・楽しんごが自身のことを歌った「オネエのトリセツ」といったように、芸能人が参加しているケースも存在する。

 基本的にはどの動画共有サービスでも、投稿された動画を見るユーザーの属性に近いジャンル・世代の楽曲がBGMとして使用されることが多い。しかし、なかにはサービスのメインユーザー層とは違った世代の楽曲が拡散され、視聴するユーザーたちから「この曲の名前なんていうんですか?」と質問が殺到するケースもある。これに該当するのが、岡村靖幸の「ぶーしゃかLOOP」だ。同楽曲はMixChannelと、6秒尺の動画を投稿できるvineで激しい顔の動きによる「口パク動画」が多く投稿されており、音楽の新たな広がり方をみせている。

 MVは、今や新曲リリースには欠かせないものとなっているが、このような動画共有サービスの活用が普及することで、聞いて見て楽しむだけでなく、自分なりに音楽を表現する新しい音楽の楽しみ方・知り方が広がっていくのかもしれない。

(文=大和田茉椰)

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