2016年注目のアーティストーーあいみょんインタビュー

「私は言いたいことを言い続けていく」 あいみょん、反骨精神とユーモアのルーツを語る

「やるからには絶対スターになる」

――本や映画からイメージを膨らませることもあるとのことでしたが、どんな作品からインスピレーションを受けることが多いですか?

あいみょん:映画では恋愛ものが多いですね。『レオン』が特に好きです。俳優だと松田優作さんですね。『探偵物語』や『ブラック・レイン』『家族ゲーム』を観ました。映画を観たあとで、その映画の主題歌を作る感覚で曲を作ったりします。本でいうと、偉人の名言とか詩集とかを読み漁るのが好きですね。太宰治もそうだし、一番影響を受けたのは岡本太郎ですね。アーティストだと、最近では石崎ひゅーいさんの言葉にはすごく引き込まれました。

――作品のイメージからすると、あいみょんさんはすごく激しい感情を持っている表現者という感覚があるのですが、実際にお話しているとすごく冷静な印象も受けます。

あいみょん:やっぱり激しい感情というか、言いたいことを叫ぶタイプかなと。言いたいことが多いのかもしれないです。世の中に対しての不満ではないですけど、結構、反骨精神がすごくて。何かを言われても、“いや、でも……”みたいに、言い返したいタイプなんです。でも、普段は“口に出したらアカン、傷つくかな”と思って、あまり出さないんですよね。家族が多いこともあって、いろいろ我慢することも多かったので。だから、お母さんに対しての“なんでやねん!”みたいなことを歌にしたり。言いたいことが言えるから、曲を作るのかな。とにかく作詞が好きなんです。

――家族がモチーフになることも多いんですね。

あいみょん:そうですね。この間、お母さんに “アンタの曲は父ちゃんと母ちゃんってワードがめっちゃ出てくるな”って言われました(笑)。6人兄弟っていう特殊な環境から、歌詞が出てくることもありますね。兄弟6人なんて、地元でも最近はいないですから。そういうところで音楽をやれていることもあるので、家族が多くてよかったなと思うことはあります。応援してくれていますし。まぁでも、中学校とか小学校のときは、弟のことが憎くて仕方なかったんですけどね。

――ちょっとした“憎さ”が表現された歌詞もありますが、毒のあるものではなく、ユーモアを感じます。

あいみょん:そこまで憎んでいるわけではないですからね。まあ“こうなればいいのにな”みたいな感じですね。曲にするときはあまり考えすぎず、面白いことができたらなと常に思っています。

――サウンド面での面白さで言うと、今作ではどのようなことを意識しましたか?

あいみょん:歌謡曲的な一面がありつつも、ロックサウンドもあったりとか。“なんでもできるよ感”じゃないですけど、いろいろなジャンルを幅広く表現できたらなと思って作りました。いい感じにまとめられたと思います。

――確かにサウンドは幅広いものに仕上がっていますが、真ん中にはしっかりとした歌がありますね。改めて伺いたいのですが、あいみょんさんの音楽活動でのモチベーションはどんなところにありますか。

あいみょん:なんやろう……私、音楽でプロとしてやれる日がくるとは思ってなかったんですよ。それで、ほぼ諦めていたときに友だちがアップした動画をたまたま観た今の事務所のスタッフの方が声を掛けてくれて、チャンスが来たというか。今でも、一握りの世界だと思いながらやっている部分もあり、でも負けず嫌いなので、やるからには絶対スターになる、という気持ちもある。自分には才能がないって思ってたんですけど、今は声を掛けていただいたこともあって、自分には絶対に音楽の才能があるんだと思いながらやってます。自分の好きなことをやりながらも、音楽で羽ばたいていきたいですね。

――具体的に、なりたいシンガーソングライターのビジョンはありますか。

あいみょん:お父さんがいちばん崇拝しているのが浜田省吾さんなので、“浜田省吾さんくらい興味が沸くアーティストになったら、お金を払っておまえのライブを観にいったげる”って言われたんですよ。もちろん、活動し始めてまだ1年も経ってないので、これからももっとライブを重ねるたびに自分の音楽を確立していきたいし、こつこつと成長できたらなと思ってます。

――そんななかで、リスナーがハッとするような歌をたくさん作っていくということですね。

あいみょん:そうですね。そのときの感情をそのまま歌にして、今しか書けない曲を残していきたいという気持ちはあります。<死ね>っていう歌は不謹慎だということも言われたりしたんですけど、世の中の不謹慎を気にしすぎたら何も言えなくなると思うんですよ。だから、私は言いたいことを言い続けていく、ということですね。この『憎まれっ子世に憚る』というタイトルのように音楽の世界で目立てる存在になりたい、“憚って”いきたいと思っています。

(取材=神谷弘一/構成=高木智史)

■リリース情報
『憎まれっ子世に憚る』
発売:12月2日
価格:¥1,800(税抜)
1.どうせ死ぬなら
2.19歳になりたくない
3.好きって言ってよ
4.泥だんごの天才いたよね
5.おっぱい
6.私に彼氏ができない理由
7.ほろ酔い

■関連リンク
あいみょん オフィシャル HP
http://www.aimyong.net
あいみょん オフィシャルアカウント
https://twitter.com/aimyonGtter

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