『FNS歌謡祭』内企画“アイドルコラボメドレー”はなぜ実現? 近年の傾向からその理由を読み解く

 12月16日の19時より放送される『2015FNS歌謡祭 THE LIVE』(フジテレビ系)内の企画“アイドル・コラボレーション・メドレー”が、アイドルファンから大きな反響を呼んでいる。

 というのも、今回の企画では、AKB48、SKE48、NMB48の“AKB48グループ”、乃木坂46・欅坂46の“坂道シリーズ”、ももいろクローバーZ・私立恵比寿中学・チームしゃちほこの“スターダストグループ”、モーニング娘。’15・℃-ute・アンジュルムの“ハロー!プロジェクトグループ”が集結。歌唱楽曲こそ明かされていないが、各グループが同じ舞台に立ち、1つの曲をパフォーマンスすることもあるという。この報を受け、ネット上では夢のコラボに沸くファンや、他のグループと交わることを良しとしないものなど、様々な反応が散見される。

 今回のコラボはなぜここまで多くのアイドルファンを引き付けるのだろうか。『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であるライターの香月孝史氏は、各グループのファンにある距離感がその要因ではないかと分析する。

「1990年代後半から登場したハロー!プロジェクトと、2000年代終盤に覇権を握ったAKB48、そして2010年代初頭から次々と人気グループを輩出するスターダストプロモーションは、それぞれが歴史を積み重ねながら独自のフィールドを作り上げてきました。それぞれのエンターテインメントの方向性に応じたファンの志向の違いも生まれ、ある種の壁や棲み分けがされている部分もあるのだと思います。ただし一方で、ここ5年くらいは超大型の音楽番組や『TOKYO IDOL FESTIVAL』をはじめとするライブイベントで、そうしたグループ同士が顔を合わせることも多くなりました。コラボレーションという点では、2012年6月に日本武道館で行われた『ゆび祭り』がひとつの画期にあげられるでしょう。同イベントはHKT48の指原莉乃と秋元康の呼びかけにより開催され、各グループがオリジナル曲を披露しましたが、アンコールに出演者全員で披露したのはAKB48の『ヘビーローテーション』でした。48グループ、ハロー!プロジェクト、スターダストグループをはじめ、各陣営が垣根を取り払ってひとつのグループの楽曲をパフォーマンスしたこのイベントは、それぞれのグループが溶け合う可能性を感じさせるものでした」

 また、アイドル間の壁がなくなったことには、SNSの普及も影響していると続ける。

「ブログやSNSの普及によって、アイドルがステージ上やマスメディア以外の場で、自分の考えを発信することができるようになりました。SNSによって、アイドルが他のアイドルへの敬意を表明したり、別のグループに所属するアイドル同士がネット上でやりとりをしながら交流を深めることも多くなりましたが、何よりそうした発信や交流の様子を、ファンの側が頻繁に目にするような環境になっている、そのことの効果が大きいように思います。この環境が当たり前だと考えられることで、ファンはグループ間の隔たりを、“壁”として意識するよりもポジティブな交流としてとらえながら、横断的にいろいろなグループを楽しめるようになっていると思います。近年、そうしたSNSなどで思わぬグループ同士のメンバーの関わりを知る機会は増え、ますます各グループが溶け合う機運は高まっているように思います」

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