BENI 6thアルバム『Undress』インタビュー

BENIがたどり着いた、“飾らない”という表現方法「無駄なことを引き算して届けたかった」

「無駄なことを引き算して届けたかった」

――一方、音楽的に尖った部分や攻めている部分もこれまで通りあるわけで。BENIさんの中でそのあたりと親しみやすい部分のバランスが取れているのでしょうね。

BENI:音楽的には「引き算」というものがテーマでしたね。今回は、1人の女性として日々感じている悩みや葛藤をよりリアルに『Undress』というタイトルに込めて、赤裸々に歌いたかったんです。音楽もそうですし、映画などの作品をいろいろ見ていて、ドキッとするくらい生々しいものに感動したり、そういうものが心に刺さったりするので。無駄なことを引き算して届けたかったんです。

――サウンド面では、アコースティック、エレクトロ、ダンスミュージックを上手くミックスさせる中で、いい意味で隙間が出来ていて気持ちいい音空間です。数々のクリエイター陣とコラボレーションしていますが、音楽的な仕上がりについてはどう捉えてますか。

BENI:今まで以上にチャレンジしたものになっていますね、一曲一曲にカラーがあって。元々リスペクトしていたり大好きなプロデューサーたちだったり、普段から関わりがある人たちだったので、変にかまえずに楽しく作れました。

――DJ/プロデューサー・ユニットのHABANERO POSSEが手がけた「MEOW」はとてもユニークな1曲です。

BENI:この曲は、2、3時間位で仕上がりました。私が飼っている猫たちの写真を見ながら、名前を連発したのをレコーディングして「もうちょっとトーン高めの“ニャー”ください!」とか言ったりして。ふざけたレコーディングだったんですけど、それをすごくかっこ良く仕上げてくれました。

――9曲目の「DEEP SWEET EASY」はどうでしょう。淡々としたリズムが特にかっこいい曲ですよね。

BENI:楽曲を手がけていただいたmabanuaさんが好きで、前回のアルバムに続き今回もお願いしました。バラードでもないアップテンポでもない、ゆるい日曜日の昼間から夕方くらいにかけて聴きたいような曲が欲しくて。出来上がるまでとてもスムーズでしたね。気に入ってます。

――Chaki Zuluさんが手がけた「SAYONARA」については。

BENI:これはチャレンジした曲です。90年代を思い出すようなハウスというか、これもまた展開が面白い曲なんですけど。聴いていてドラマがある曲なんですよ。はじめは日本語で歌詞を書くつもりだったんですけど、自然に出てきたのが英語で。初めて挑戦する感じの曲だったので楽しかったです。

――ライナーノーツにラッパーのNASへのリスペクトを込めた曲だと書かれていましたね。元々NASの曲はお好きで聴いていたんですか。

BENI:好きですね。歌詞を書く前に自分の好きなアーティストの曲をランダムで聴いたりするんですけど、たまたまNASの「Life Is What You Make It」が流れてきた時にそのフレーズに引っかかって。その曲にインスパイアされてそういう歌詞にしようと思いました。

――日本語と英語だと入る言葉の量が違うと前もおっしゃってたと思うのですが、今回その辺はどうでしたか。

BENI:そうなんですよね。いっぱい伝えられるし、言葉のフロー的にも気持ちよく波に乗るように歌えるんです。日本語だと一つ一つのシーンを描いていく感じですけど、英語だとフローするから、どうしてもこの曲はそういう滑らかな感じのメロディーでハメたかったので。今回は全体を通して英語を自然に入れたりしています。

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