ねごとが5周年ライブで見せた「5つの顔」 バンドのキャリアと成長の向かう先は?
さて、「ひとりごとステージ」のソロライブも振り返っておくと、藤咲はいきなりの変化球でケーキ作り、澤村は着物姿で小さい頃から習っていたというお琴を演奏し、「黄昏のラプソディ」を和のテイストでアレンジ。沙田がオリジナル曲でのDJと“カロン”のセルフリミックスの間に怖い話を朗読するという、ある意味最も「お口ポカーン」なパフォーマンスを展開した一方で、蒼山は落ち着いた弾き語りを披露。鍵盤のみならず、人生初というアコギでの弾き語りで、くるりの「Baby I Love You」を歌い上げた。
4人4様のソロステージは、今のねごとのライブとは大きなギャップを感じさせるふんわりとした雰囲気で、その変わらない姿もファンには嬉しいところ。また、メンバーそれぞれがキャラクターを確立しつつ、4人が一体となったときに一番の爆発を見せるという、ある種のユニット的な側面というのも、現代のバンドらしいと言えるかもしれない。この日は新曲も3曲披露されていたが、現在のねごとはメンバー4人共に作詞作曲に関わり、有機的に楽曲を制作するようになっていて、それもやはりユニット的だ。ちょうど同じ月にはこちらもユニット的な性格を強め始めているチャットモンチーが10周年ライブを日本武道館で行ったが、果たして10年目のねごとにはどんな未来が待ち受けているのだろうか?そんな気の早い妄想を掻き立てられるような、今後を期待させる充実の一日だった。
(文=金子厚武/写真=AZUSA TAKADA)
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