コラボレーションアルバム『212』インタビュー
nameless×とあ、コラボの意義と制作秘話を語り合う「お互いの魅力を引き出せると思った」
「(タイトルは)このコラボレーションにとって意味のある数字」(とあ)
ーーこれまでなかった曲といえば、寂寥感がありながら、メロディごとの転調に心の波を感じるバラード「ランプ」も印象的でした。
とあ:ミドルテンポばかりだったので、バラードがほしいなと思って作った曲です。このアルバムのなかで一番実験的で、最初は迷走して、アレンジ作業も少し寝かせていたんです。namelessさんに歌ってもらって初めてしっくり来た感じですね。
nameless:この曲も細かくディレクションしてもらったのですが、ラスサビを歌う前に、「泣いてみていいですか?」と提案して、100%感情を出して歌ったんです。そのことで、気持ちの外側と内側のギャップが埋められて、すごくお気に入りの曲になりました。
とあ:ボーカルを録り終えてからアレンジ作業に入ってみたら”おーっ、いいじゃん!”と。ミクだけで作ってたら、お蔵入りになっていたかもしれないですね。namelessさんに歌ってもらって完成した曲です。
ーーまさに、ふたりだからこそできた曲だったと。一方、3曲目の「てをつないだらさようなら」は、ニコ動では“ちょっと病んだ女性の偏愛”のようなイメージで、怖い曲だと盛り上がる向きもありますが、ウィスパーボイスで歌い方としてはストレートですね。
nameless:そうですね。私は“それが当たり前のこと”という感じで歌いました。ピュアなラブソングです。
とあ:とても純粋な女の子、というイメージですね。それが他人から見たら”こわい”とか”ヤンデレ”、ということはあるかもしれないですけど。
ーー6曲目の「シクス」も、とあさんとしては珍しい曲で、奥行きのあるギターサウンドになっています。
とあ:夏コミ用に作った曲で、わりとロック系の方々が集まったコンピレーションだったので、こういう曲になったんです。それをnamelessさんに歌ってもらったらどんな感じになるかな、と思ってレコーディングしてみたのですが、アルバムの中でもいい意味で色を出してくれる曲になりました。
nameless:このアルバムで一番、物語がしっかりしていたので、歌いやすかったですね。
ーー最終曲には、こちらもニコ動の人気曲で、痛みを抱えながら前に進むというニュアンスのある「『13』」が収録されました。曲順的にも、聴き心地のいいアルバムになっていると思います。
とあ:そうですね。「『13』」は“鍵をかける”という意味でカギカッコがついているので、象徴的な曲でもあります。アルバムの曲順は最後の最後に決めたんですけど、アタマと最後だけ決めたら、あとはすんなりでしたね。
ーーちなみに、『212』というタイトルの由来は?
とあ:ヒントを言うと、このコラボレーションにとって意味のある数字、という感じです。先入観を持たないほうが楽しめるアルバムだと思うので、ぜひいろいろ想像してみてください(笑)。
ーー確かに、これだけ色とりどりの楽曲が揃っているので、一曲ごとの世界観に集中したほうが面白い作品かもしれませんね。あらためて、このアルバムを聴くリスナーに、一言メッセージをお願いします。
nameless:アルバムのアートワークを房野 聖さんというイラストレーターの方にお願いしていて、歌詞カードには一曲ごとにその曲を象徴するイラストを描いていただいているので、曲を聴きながら、一緒に楽しんでもらえたらうれしいです。
とあ:幅広い楽曲を収録したので、その時々でいろんな曲にハマってもらえたらうれしいですね。“この曲はこんなテーマだから”とか、あまり考えずに、自由に楽しんでもらえたらいいなと思います。
ーーちなみに、このコラボレーションはまた見られそうですか……?
とあ:今回のアルバムレコーディングが楽しかったし、単純にこれから僕がニコニコに上げていく曲を歌ってくれたらうれしいし、また一緒にできたらいいですね。もちろん、namelessさんがよかったら、ですけど(笑)
nameless:めっちゃやりたいです! とあさんのおかげで自分では見えない自分も発見できましたし、ぜひまた、よろしくお願いします(笑)。
(取材・文=橋川良寛)
■リリース情報
『212』
発売:2015年11月25日
価格:¥2,200(税抜)
■nameless×とあ『212』オフィシャルサイト
http://www.subcul-rise.jp/nameless_toa/212
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