Perfumeの新曲はJ-POPシーンでどう受容されるか? 従来のイメージと異なるシングルを分析

 そんな故郷をはるかに遠ざかったかのような感慨の一方で、「STAR TRAIN」の初回限定盤には初CD化となる「イミテーションワールド」が収録されています。ライヴで初めて聴いてから9年も経ってこの楽曲をCDで聴くとは思いませんでした。ずっと作詞は木の子だと思っていたのですが、クレジットには中田ヤスタカの名があります。「イミテーションワールド」が初めて商品化されたのは、2007年にリリースされたライヴDVD「ファン・サーヴィス [bitter]」。そこから数えても8年です。

 アレンジが一新された「イミテーションワールド」は、「AORのようだ」と感じるほどの落ち着きがあります。この新しいヴァージョンに比べると、記憶のなかの「イミテーションワールド」は今となってはもっと儚いものに感じられます。感傷とはまた異なる複雑なものがわきだしましたが、そういう意味でも過去の「イミテーションワールド」とは別物にすることに成功しているのでしょう。

 冒頭で「一番の衝撃を私にもたらす結果になった」と書きましたが、それは私の主観によるものに過ぎません。「STAR TRAIN」という楽曲が、J-POPシーンのなかでPerfumeのファン以外にどのように受容されるのかは気になります。「受容の行方が気になる」というのは私のなかでは珍しい感覚で、「STAR TRAIN」はそのぐらいPerfumeのシングルのなかでは異色の作品です。ここまできたらもう後戻りはしないでほしい、とも思います。過去に拘泥する私を振り切るように。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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