柴那典 Base Ball Bear『C2』レビュー

Base Ball Bearが「第二のデビュー作」に込めた「シ」の仕掛けを読み解く

Base Ball Bear『C』

 ちなみに。今改めて『C』というアルバムを聴くと、当時の彼らは確かに「ギターロックの未来」を開拓したんだな、と痛感させられる。わかりやすく言うと、10年代のロックフェスで当たり前に見かけるようになった「四つ打ちダンスロック」のフォーミュラがいろんなところに見受けられるのである。以前にも当サイトのコラムでも書いたことだが(http://realsound.jp/2014/11/post-1730.html)、「ELECTRIC SUMMER」や「祭りのあと」は、まさにそういうタイプの曲。当時のインタビューでは、小出祐介が「〈ドッチダッチドッチダッチダンダンダン〉って頭の中で鳴ってて。もうそれだけ(笑)」と語っていたりする。当時のUKにあったニューウェーヴ・リバイバルとの同時代性を意識したとも言っている。当時はそこまで意識されていなかったが、『C』の頃の彼らはその後10年続く日本のロックシーンの流れを決定づけたパイオニアの一人だった。そこにあるみずみずしい衝動は、今も古びていない。

 一方、『C2』はどうか。一聴して感じるのは、バンドの演奏能力の明らかな向上だ。ファンクやソウルやディスコ・ポップに通じる黒いグルーヴを、あくまで人力で鳴らしている。小出祐介のカッティングは鋭く、関根史織のベースはセクシーに、堀之内大介のドラムはパワフルに、湯浅将平のフレーズは表現の幅を増して、ひたすら身体能力を上げている。

 歌詞の言葉も、とても印象的だ。とても批評的で、とても熱量のこもった言葉が連ねられている。

 アルバムの世界観を特徴づけているのは、「2周目の視点」だ。言葉の一つ一つにも、それを感じさせる沢山の仕掛けが設けられている。若干ネタバレっぽくなってしまうが、その一つについても指摘しておこう。

 『C』のリリース時のインタビューで、小出祐介は『C』というタイトルに「海(SEA)」、「彼女(SHE)」、「都市(CITY)」、そして「死」と、いくつもの意味を込めたことを明かしている。

 そして、この『C2』でも、一つの音に何重の意味を込める彼の作家性は突き詰められている。これはぜひ聴いてから歌詞カードを読んでもらいたいのであえて引用はしないが、特に「カシカ」という曲では、一つの「シ」という音に二重にも三重にも意味を重ね、表現している。

 「カシカ」は「可視化」。「歌詞か」とも読める。おそらく『C2』の『C』は「見る(SEE)」であり、「視」であり、「詞」であり、そしてやはり「死」なのだろう。

 とても濃密なアルバムだと心底思う。

(文=柴那典)

■リリース情報
Base Ball Bear 6th Full Album『C2』
発売日:2015年11月11日
価格:初回限定エクストリーム・エディション CD3枚組 4,860円(税込)
通常盤 1CD 3,240円(税込)

<収録曲>
●初回限定エクストリーム・エディション
DISC1『C2』
1.「それって、for 誰?」part.1
2.こぼさないでShadow
3.美しいのさ
4.曖してる
5.文化祭の夜
6.レインメーカー
7.どうしよう
8.カシカ
9.ホーリーロンリーマウンテン
10.HUMAN
11.不思議な夜
12.「それって、for 誰?」part.2

DISC2『C2』(Instrumental Ver.)
1.「それって、for 誰?」part.1(Instrumental)
2.こぼさないでShadow(Instrumental)
3.美しいのさ(Instrumental)
4.曖してる(Instrumental)
5.文化祭の夜(Instrumental)
6.レインメーカー(Instrumental)
7.どうしよう(Instrumental)
8.カシカ(Instrumental)
9.ホーリーロンリーマウンテン(Instrumental)
10.HUMAN(Instrumental)
11.不思議な夜(Instrumental)
12.「それって、for 誰?」part.2(Instrumental)

DISC3『C』(2015 Remastered)
1.CRAZY FOR YOUの季節 <Album ver.>
2.GIRL FRIEND 
3.祭りのあと
4.ELECTRIC SUMMER
5.スイミングガール
6.YOU'RE MY SUNSHINEのすべて      
7.GIRL OF ARMS
8.DEATH と LOVE
9.STAND BY ME 
10.ラストダンス
11.SHE IS BACK

●通常盤1CD
『C2』
1.「それって、for 誰?」part.1                                    
2.こぼさないでShadow
3.美しいのさ
4.曖してる
5.文化祭の夜
6.レインメーカー
7.どうしよう
8.カシカ
9.ホーリーロンリーマウンテン
10.HUMAN
11.不思議な夜
12.「それって、for 誰?」part.2

Base Ball Bear 6th Full Album『C2』-LP-
発売日:2015年12月2日
価格:受注生産限定 LP2枚組 5,184円(税込)

<収録曲>
DISC1『C2』
1.「それって、for 誰?」part.1
2.こぼさないでShadow
3.美しいのさ
4.曖してる
5.文化祭の夜
6.レインメーカー

DISC2
7.どうしよう
8.カシカ
9.ホーリーロンリーマウンテン
10.HUMAN
11.不思議な夜
12.「それって、for 誰?」part.2

■ツアー情報
Base Ball Bear Tour「三十一歳」  
チケット料金:スタンディング/¥4,500(税込/1D代別)
※備考:3歳以上チケット必要

<一般発売日>
9/12水戸~10/26京都公演まで:7/18(土)AM10:00~
10/31岡山~12/4豊洲公演まで:9/26(土)AM10:00~

<ツアー詳細>
10月10日(土)福岡DRUM LOGOS 開場16:30/開演17:30
問合せ:キョードー西日本/092-714-0159

10月11日(日)宮崎SR BOX 開場17:00/開演17:30
問合せ:キョードー西日本/092-714-0159

10月17日(土)高松DIME 開場17:00/開演17:30
問合せ:DUKE高松/087-822-2520

10月18日(日)松山サロンキティ 開場17:00/開演17:30
問合せ:DUKE松山/089-947-3535

10月24日(土)静岡UMBER 開場17:00/開演17:30
問合せ:JAILHOUSE/052-936-6041

10月26日(月)京都磔磔 開場18:00/開演18:30
問合せ:キョードーインフォメーション/0570-200-888(全日10:00~18:00)

10月31日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM 開場17:00/開演17:30
問合せ:HIGHERSELF/082-545-0082(平日11:00~19:00)

11月1日(日)名古屋DIAMOND HALL 開場16:30/開演17:30
問合せ:JAILHOUSE/052-936-6041

11月7日(土)仙台darwin 開場17:00/開演17:30
問合せ:キョードー東北/022-217-7788

11月8日(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE 開場17:00/開演17:30
問合せ:キョードー東北/022-217-7788

11月12日(木)千葉LOOK 開場18:30/開演19:00
問合せ:ディスクガレージ/050-5533-0888(平日12:00~19:00)

11月14日(土)HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3 開場17:00/開演17:30
問合せ:ディスクガレージ/050-5533-0888(平日12:00~19:00)

11月21日(土)高崎club FLEEZ 開場17:00/開演17:30
問合せ:ディスクガレージ/050-5533-0888(平日12:00~19:00)

11月22日(日)甲府Conviction 開場17:00 / 開演17:30
問合せ:ディスクガレージ / 050-5533-0888(平日12:00~19:00)

11月29日(日)Zepp Namba 開場16:30 / 開演17:30
問合せ:キョードーインフォメーション / 0570-200-888(全日10:00~18:00)

12月4日(金)豊洲PIT 開場18:00 / 開演19:00
問合せ:ディスクガレージ / 050-5533-0888(平日12:00~19:00)

Base Ball Bearオフィシャルサイト

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