吉澤嘉代子が明かす、楽曲の主人公の描き方「どのカードをいつ切るか。それは時期の問題」

吉澤嘉代子が明かす、描く物語と自分の距離

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「呪いをかけるような曲というか、エゴの塊みたいな気持ちを曲にしたいと思って」

ーーでは、『箒星図鑑』でひとつの使命を果たした後、どのようにして今回の『秘密公園』に向かったのでしょうか?

吉澤:いくつかテーマを持っていたんですけど、一歩踏み出した感は演出したいと思って、私の持っているテーマの中で、一番イケイケなものを作ろうと思ったんです。ロマンチックなもの、シンプルなもの、王道なものっていうのを作りたいと思って、それは『箒星図鑑』を出して少し肩の荷が下りたからこそ、作ろうと思えたのかもしれないです。

ーーメジャーデビューミニアルバムの『変身少女』は“ラブリーポップス”がテーマになっていましたが、その少女が少し成長したようにも感じました。

吉澤:主人公たちの年齢を少し上げたというか、今まではティーンの女の子、中高生の主人公が多かったんですけど、今回は私と同世代の感覚、社会人2~3年目みたいな感覚を盛り込みながら書きましたね。

ーー象徴的なのが一曲目の「綺麗」で、『箒星図鑑』にも入っていた「美少女」で〈恋がしたい〉と言っていた主人公が、成長して、実際恋をしたのかなって。

吉澤:私はいつもタイトルから曲を作るんですけど、『箒星図鑑』の中に入っていた「ストッキング」の最後に〈夜空に伝線した 箒星かかって綺麗でしょう〉ってフレーズがあって、“綺麗”って言葉を改めて見たときに、その形自体がなんてきれいなんだと思って、好きな言葉とか引っかかる言葉をタイトルにすると、それだけで自分のものになったような気がするんですよね。きっと所有欲なんだと思うんですけど、「綺麗」もそこからスタートして、「じゃあ、“綺麗”に見合う物語って何だろう?」と思って、歌詞を書きました。

ーー平仮名の“きれい”でも片仮名の“キレイ”でもなく、漢字の“綺麗”がよかったと。

吉澤:そうですね。もうキレキレ……あ、つまんないこと言っちゃった(笑)。

ーー(笑)。

吉澤:この曲は隣にいるあなたに自分をきれいだと思ってもらえてたらいいなってところから、もう会えなくなったとしても、今この瞬間の私を一生きれいだと思い続けてほしいっていう、呪いをかけるような曲というか、エゴの塊みたいな気持ちを曲にしたいと思って。〈きらっきらっ〉〈ぴかっぴかっ〉〈くらっくらっ〉っていうきれいな言葉に濁点がついて、〈ぎらっぎらっ〉〈びかっびかっ〉〈ぐらっぐらっ〉って意味も変わって、狂気的になって行くみたいなのをやりたいと思ったんです。

ーーそういう歌詞を書くきっかけは何だったんですか?

吉澤:『箒星図鑑』のツアーが、一週間に6日間ライブみたいなすごいスケジュールで、私ギリギリまでああだこうだ言い張って、悲惨な気持ちで最後の東京を迎えたんですけど、でもその赤坂BLITZのライブで全部昇華されて、ホントに素敵な一日になったんです。その経験が、夏休みみたいな感覚っていうか、“少女時代”っていうテーマもあったのかもしれないですけど、ホントに永遠のものだなって思って、それで「永遠って何だろう?」っていうのがその時期のテーマになり、「綺麗」ができた感じですね。

ーーなるほど。

吉澤:私は子供の頃から永遠なんて存在しないと思ってたんですけど、ツアーを経験して、もしかしたら永遠って、実は身近な存在なんじゃないかと思い始めたんです。少し前の瞬間が、全部自分の後に連なって今を生きているというか、その瞬間を自分が忘れてしまったとしても、宇宙の片隅にはその瞬間がずっと残り続ける。それが永遠なんじゃないかと思って、それでこの曲を書いたんです。

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