2ndアルバム『Awesome City Tracks 2』リリースインタビュー
Awesome City Clubが考える“良い音楽”の定義とは? 「追求するなら、もっと真ん中に行かなければ」
「どういう見られ方をしてもいいけど、芯の部分で『ちゃんとしている』『本物だ』と思われたい」(atagi)
――ちなみにPORINさんは、理想とするボーカリスト像のような方はいるのでしょうか。
PORIN:うーん……「この人を目指しています!」というのは思い浮かばないですが、ボーカリストとして一番好きなのは、REBECCAのNOKKOさんです。過去の映像を見ていると、身体全体を使って表現していたり、パワフルに歌っている姿が輝いて映りました。カリスマ性があるというか。
――意外な方が出てきましたね。最後の「Lullaby For TOKYO CITY」は、アルバムの最後にして、今作のコンセプトを一段と増幅させている楽曲だと感じました。先日ライブで映像演出もあったように、深夜から朝方にかけてのドライブみたいな雰囲気もありますね。
atagi:この曲のテーマは“東京の街”です。歌詞を作っていく中で思ったのは、東京って身近に住んでいればいるほど、陰影がすごく強い街だなと。あれだけ人のいるスクランブル交差点が、日曜の朝5時や6時になると、人がすっからかんで、たまにタクシーが通るだけの不思議な空間になりますよね。でも、数時間後には人でごった返す街になるわけで、コントラストがどこよりも強いように思えるんです。それを絵として思い浮かべつつ、そんな景色に通ずる心情の揺れ動きを、東京への憧れと現実に重ねたりして。そんな人たちの内側を映した曲になったと思います。
――atagiさんはメンバーの中で唯一の地方出身者ですよね。この感覚はほかの4人と共有できていましたか? PORINさん、どうでしょう。
PORIN:常に感じていたことでした。むしろ、その“陰影”に関しては、東京に元からいた人のほうが強いのかもしれません。
atagi:前作だと「涙の上海ナイト」が特定の場所についてのことを歌った楽曲なんですが、あれはただイメージを書き並べているだけなので(笑)。この曲では、その場所にちゃんと居る人のことをしっかり歌えたのかなと。
――「Lullaby For TOKYO CITY」のような曲は、ACCのイメージにピタリとハマる、今まで足りなかったピースだと思うのですが、なぜこういったメロウなバラード調の曲をここまで出してこなかったのでしょう。
atagi:曲自体は、1stの制作期間からすでにあったんです。でも、歌詞のあと1ピースがハマらなくて。言葉の強さが足りなかったんですよね。
PORIN:その段階では、まだ聴いてもぐっとくるような曲ではなかったです。特に詞が。だからここまでメッセージ性が強くなったことに驚いたし、一番進化を遂げた曲だと思います。
――その「言葉を強くしよう」という意識は、atagiさんのなかでどういう風に芽生えていきました?
atagi:承認欲求に近いのかもしれませんが、どういう見られ方をしてもいいけど、芯の部分で「ちゃんとしている」「本物だ」と思われたいというか。それが楽曲に出てくると思っているふしがあるので、「良いもの」を追求するなら、もっと真ん中に行かないといけないと思っています。
――最後に、atagiさんの言う「真ん中」、いわゆるポップシーンの中心を目指すにあたって、2人は今後どういうアプローチをしていきたいと思っているのでしょうか。
atagi:次は何が来る、とかそういう括りだったり、こういうバンドがキテるみたいな枠ではなく、ちゃんと時代に合わせて形を変えていきたいし、そういうバンドじゃなきゃ面白くないと思っています。ずっとお客さんを裏切り続けたいんですよね。
――なるほど。PORINさんはどうでしょう。
PORIN:まだACCって、「Awesome City Clubじゃないと嫌だ!」みたいなファンの方が少ないと思うんです。どちらかといえばシーンの中でほかのバンドとまとめて聴いてくれている方が多いというか。だから、「Awesome City Clubが一番好きです!」って胸を張って言ってくれる人を増やしたいですし、そう言ってもらえるバンドになれるように活動していきたいと思っています。
(取材・文=中村拓海/撮影=下屋敷和文)
■ライブ情報
『Awesome Talks -One Man Show-』
11月6日(金) 愛知APOLLO BASE
11月13日(金) 梅田Shangri-La
11月15日(日) 福岡DRUM SON
11月28日(土) 代官山UNIT
一般発売日 10月3日(土)
■リリース情報
『Awesome City Tracks 2』
発売:9月16日(水)
価格:¥2,000+税
<収録内容>
1.GOLD
2.what you want
3.WAHAHA
4.僕らはここでお別れさ
5.愛ゆえに深度深い
6.アウトサイダー
7.Lullaby For TOKYO CITY