ジェイソン・デルーロを4つの“ルーロ”から紐解く 「僕の曲作りは、すごく実験的なんだ」

3.〈アーティストとしての“先見の明があルーロ”〉

 様々な出会いといえば、ジェイソンの楽曲に彩りを添える豪華な客演陣やプロデューサーとの融合。自らも他アーティストへの楽曲提供からキャリアをスタートさせたジェイソンらしく、その人選には先見の明あると評価が高い。冒頭で触れた「Talk Dirty」では、当時セカンド・アルバム「B.O.A.T.S. II: Me Time」をリリースしたばかりで飛ぶ鳥を落とす勢いの2チェインズをフィーチャリングに迎え、メイン・ストリームへの目配りもバッチリ。

「Cheyenne」/Jason Derulo

 その他、ピットブルやゲームといったラッパーを多数迎えた前作『Tattoos On My Heart』と対照的に、本作ではシンガーのクレジットが並ぶ。マーヴィン・ゲイの「Sexual Healing」使いの「Try Me」ではジェニファー・ロペスとノルウェー出身の新進気鋭のEDM系DJ/プロデューサー、マトーマをゲストに招聘した常夏仕様。「All About That Bass」(邦題「オール・アバウト・ザット・ベース~わたしのぽちゃティブ宣言!」)がビルボード・シングル・チャートで8週連続1位を獲得する世界的大ヒットを記録した“ぽちゃカワ歌姫”メーガン・トレイナーを迎えた「Painkiller」も聴き逃し厳禁だ。

 だが、先見の明で言えば、御大スティーヴィー・ワンダーが随所でハーモニカも効果的に披露する「Broke」のプロデュースを、世界中で話題のアノ人が務めていることだろう。

 往年のソウル・フレイヴァーを昇華させた独自のレトロ・ポップ感覚溢れる屈指の良曲を生み出したのは、23歳の新星、チャーリー・プース。ブルーノ・マーズをボーカルに起用したマーク・ロンソンの「Uptown Funk」の15週連続米ビルボード・シングル・チャート1位を阻止したのは、映画『ワイルド・スピードスカイミッション』劇中歌であるウィズ・カリーファの「See You Again」。その曲で美しいファルセットを聴かせているのが、バークリー音楽院卒の実力派シンガーソングライター、チャーリー・プース。トレイ・ソングスの最新ヒット・シングル「Slow Motion」の作曲も手がけ、頭角を現すチャーリー・プースは、この「Broke」に加え、「Pull Up」の制作にも名を連ねている。

「Don't Wanna Go Home」/Jason Derulo

4.〈多彩な側面を“持ってルーロ”〉

 これまでに発表した3枚のアルバムのジャケット写真は、そのどれもが左右どちらか横を向いていたことから、“横顔王子”という愛称でも親しまれているジェイソン。そんな横顔に惹かれたのが、『アメリカン・アイドル』出身のシンガーであるジョーダン・スパークスだ。ジェイソンとは2012年より交際し、前作『Tattoos On My Heart』収録の「Vertigo」ではアツアツなカップル共演も果たしている。一時期は婚約秒読みと言われていたそんな2人だが、2014年9月に破局、残念ながら「Marry Me」とはならなかった……。

 しかし、そんな不幸があろうと、横顔王子 a.k.a. ハイパーポップ貴公子の進撃は止まらず。冒頭で触れた『Tattoos On My Heart』からのヒット曲によって、「2014年、世界でもっともラジオでオンエアされた男性アーティスト」となり、新たに〈Mr.ラジオ〉の異名も加わり、これまで以上に多くの人の耳目に、その存在が届くようになった。

 そんな中リリースされたのが、今作『Everything Is 4』。ジェイソンいわく、タイトルには「Everything is for the reasons」――すべての物事には意味がある――の意も込められているとか。

「『Everything Is 4』は“成長”の証。僕が大人の男になるステップなんだ。過去1年に経験したすべてのことを語っている」

 私生活、パーティ、どん底に落ちたこと……それらが詰まった本作を聴けば、ジェイソンのすべては丸わかりだ!

(取材・文=三田村 優)

■リリース情報
ジェイソン・デルーロ『Everything Is 4』
発売:6月10日
価格:2,200円(+税)

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