結成40周年のモーターヘッド、中心人物レミーの壮絶なる人生とは? 現役パンクスがその自伝を読む

 それほどまでに愛されるモーターヘッド・レミーのライフスタイルには度肝を抜かれる。

 ロックとは切っても切れないドラッグの話も満載で、それは『ホワイト・ライン・フィーヴァー』というタイトルからも伺えるだろう。しかし、レミーは友人をヘロインでたくさん亡くしているために徹底的なアンチ・ヘロイン主義だ。アルバム『BOMBER』にはレミーが初めて書いたアンチ・ヘロインソング「DEAD MEN TELL NO TALES」も入っている。それ以降も徹底してアンチ・ヘロインの姿勢をとり続けており、独自の視点からのヘロインユーザーに対する処置方法もレミー節で語られている。

 しかしながら、自他共に認めるスピードフリークのレミーは、ヘロイン以外のドラッグに関しては寛容なようだ。青年期からホークウインドを経てモーターヘッドを結成し、本書刊行の2002年現在に至るまで、レミーのドラッグに関する逸話は、時代を象徴する文化の一端のようにも思える。

 オジー・オズボーンなどに代表されるような1960年代に始まったハードロックやメタルの創始者達の破天荒なライフスタイルと同様、レミーの凄まじい生き様も本書の中でたっぷりと本人の弁で語られている。

 一年のほとんどをツアーで過ごすモーターヘッド各時代のメンバーとの逸話も多く、その時代ごとのメンバーの無茶苦茶さや、メンバーやプロデューサー、プロモーターやレコード会社との確執などがバンド視点、レミー目線で書かれており、モーターヘッドというバンドとレミー・キルミスターという人間の偉大さと極悪さにのめり込んでしまう。

 幼少期から始まり、デビュー以前のバンドや、ホークウインドについても語られ、モーターヘッド結成から現在までの話。さらには各著名ロッカー達との交流や、ソングライティング、レコーディング、各アルバム製作秘話やアルバムごとのレミーの感触。テレビ番組や映画出演時のエピソードや女性にまつわる話。ナチスグッズを収集しているレミ−のユダヤとナチに関する想いや9.11のテロについての意見まで、たっぷりと語られている。

 そして何よりも本書全編でレミーの生き様が現れているこの日本語訳の口調が、まるでレミーが語りかけているように生々しくて非常に素晴らしい。

 巻末には本書が刊行された2002年以降のレミーについても、日本語版補章として現在までの概要が書かれているので、この一冊があればモーターヘッドを、レミー・キルミスターを知ることが出来る。

 「負け犬として生まれ、勝つために生きる」レミー・キルミスターの自伝『WHITE LINE FEVER』は、モーターヘッド好きならずとも、全てのロックンローラー、メタルキッズ、パンクス必読の書だ。

■ISHIYA
アンダーグラウンドシーンやカウンターカルチャーに精通し、バンド活動歴30年の経験を活かした執筆を寄稿。1987年よりBANDのツアーで日本国内を廻り続け、2004年以降はツアーの拠点を海外に移行し、アメリカ、オーストラリアツアーを行っている。今後は東南アジア、ヨーロッパでもツアー予定。音楽の他に映画、不動産も手がけるフリーライター。
FORWARD VOCALIST ex.DEATH SIDE VOCALIST

■書籍情報
『レミー・キルミスター自伝 ホワイト・ライン・フィーヴァー』
著:レミー・キルミスター
訳:田村亜紀
判型:A5判並製・400頁
価格:2,900円+税
発売日:2015年4月初旬
発売/発行:ロフトブックス
ISBN:978-4-907929-06-0

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