1stアルバム『ななみ』インタビュー

ななみ、1stアルバムに込めた“人生の感情”を語る 「たぶん一生、愛を叫んでるんだろうな」

【ななみ】「愛が叫んでる」MUSIC VIDEO Full ver.

「普通に勉強できて、社会的に支障がない人がうらやましい」

――そう、すごく吐き出してますもんね。そして次の「Dahlia」は、あなたの毒の部分が出ていますね。

ななみ:周りを見ても、男性に振り回される女性が多い気がするんですよね。電話してくれない、メールしてくれない、私のこと好きじゃないの?みたいな、捨てられる女、浮気される女ソングが多くて。それも事実だと思うんですけど、もうちょっと考え方を変えたら大人になれるんじゃないかな、と思ってるんです。この曲、最後の最後まで、恨みを晴らそうと思ってたんですよ。でも詞を1ヵ月ぐらいかけて仕上げたんですけど、書いてる途中で恨みがどうでもよくなったんですよね。「ちょっと待てよ? いや、この男、くだらねえな!」と思って。これが女性の成長の速さなのかなと(笑)。聴いてくれる女性にも、この曲の5分ぐらいの間に「そうだ!」と思ってほしいなと。いつまでも泣くんじゃなくて、「恨んでたら同類なんだよな、男は子供だ!」ぐらいの上から目線で楽になってほしいなと思って(笑)。もちろんキズつく恋も大事だと思うんですけど、こういう曲が一番自分らしいですね。

――いやあ、こういう時の女性は強いというか、怖いですね。

ななみ:そうですね。ライヴの時に「出逢えたのはあの店で」のあとに絶対にこれをやっちゃいけないなって思います(笑)。並べるべきじゃないですね。

――わかります(笑)。12曲目は「涙レンズ」。これはしみますね。

ななみ:これは自分が普通じゃない人間っていうことがわかってるという歌なんです。私は音楽がないと生きていけなくて、恋愛は音楽の下というか、完全に次なんですよね。だから音楽のことによって不安定になる時期もあるし、つき合った人に迷惑をかけたこともよくあったんです。でもそういう時に、強がって助けを求めることができないんだけども、ただただ見守っていてほしい、という曲です。強がっているようで、弱いんですね。それはファンに対してもそうで、私は不器用だから考えることも変わるし、「ななみ、それは違うんじゃないの?」って思うことがこの先あるかもしれないんですけど、涙のレンズ越しで見守っていてほしいんだ、って。自分をこれからも愛してください、と言ってる曲ですね。

――そう、ここにも「愛されたい」という気持ちがありますね。

ななみ:そうですね。私、普通に勉強できて、社会的に支障がない人がうらやましいなって思うんです。私が経験してきたことや生き方に共感できる人は少ないと思うし、白い目で見る人もいるかもしれない。でも自分を信じて、前を向いて歩いていこうと思う。その隣にいてくれる人に「迷惑をかけてごめんね」という曲ですね。

――わかりました。そして最後が「愛が叫んでる」ですね。

ななみ:そうですね。この曲で終わった、眠ったように見えるけど、アルバムをリピートすると「I’ll wake up」のイントロが始まるので、また目覚めた!みたいに聴いてほしいと思います。あと、このアルバムの曲たちを陣取ってまとめられるやつは「愛が叫んでる」しかいないなって思ったんですよね。ボスっていうか(笑)。こんなに愛だのどうだの言ってるわがままな曲たちの中で、唯一ブレずに唄えてきた歌なので。

――こうしてアルバムを聴くとあらためてよくわかるけど、やはりななみさんの歌は愛が大きなテーマになってますよね。まず、そこにたどり着いてしまうのは、なぜだと思います?

ななみ:えーっ、何でだろう? ……べつに愛に満たされてるわけでもないと思うんですけどねえ。だから、かな?

――そうそう、だからだと思うんです。

ななみ:うん、たぶん、いまだに満たされてはいないんでしょうね。たぶん満たされたら、人間ってないものねだりだから、どんどん違うものを求めるようになるんでしょうけど。私、家族もちゃんといるし、ファンもすごく愛してくれてるし、スタッフの方々も仕事という形で愛を返してくれるし、孤独に思うことなんて、ないですけど。でもたぶん一生、子どもを産んだとしても、愛を叫んでるんだろうなと思います(笑)。それが幸せなんだろうなと思います。ただ、逆に幸せになったら、愛に満たされたら、自分はどうするんだろう?と思いますね。まあ満たされることなんて、ないでしょうけど……。

――それと愛と同じように「夢」という言葉もものすごく大事ですよね。さっきの話でも出てきましたけど、愛情を求めながら、夢に向かっていく自分もいるわけじゃないですか。その狭間でななみさんは生きてきたんだろうなと思いました。

ななみ:うん、そうですね。ただただ自分に期待をしていくしか、ほかに目を向けるところがなかったです。それが自分にあげられる愛だったので……夢があって、ほんと良かったなと思いますね。

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