Gacharic Spinが見せた、唯一無二のエンターテインメント「みんなと作るこのライブが一番好き」

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 Gacharic Spinはわけがわからないバンドだ。もちろん、良い意味で。今年2月にリリースした『赤裸ライアー/溶けないCANDY』をひっさげたツアーファイナル、渋谷公会堂はまさに笑いあり、涙あり、何でもありの、ハチャメチャで最高の夜となった。

 SE「GS Gacha2015」に合わせて湧き上がる“GS”コール。メンバーが順次登場すると同時に会場は一気に臨戦態勢に突入する。オープニングナンバーは2010年リリースの初シングル、「Lock On!!」でスタート。色とりどりのLED照明に彩られ、客席にレーザーが走り、上空には、これまた電飾が施されたマルチコプターが舞う、いかにもガチャピンらしいド派手なステージだ。4人から現在の6人編成になってから、アレンジが大きく変わった「More Power」、そしてキラーチューン「爆弾娘(ボンバーガール)」へ。のっけから飛ばしまくりのセットリスト。ステージ上の至るところで噴く火柱は、会場の熱を噴射しているようである。

 頭を振りながら超絶なスラップを炸裂させるF チョッパー KOGA(Ba.)、にこやかな笑顔を振りまきながら爆音を掻き鳴らす“魔法使い”改め、1億14歳の“にこりん星の宇宙人”TOMO-ZO(Gt.)、セクシー担当だが、それよりも“お笑い・オチ担当”な印象が強いオレオレオナ(Vo.&Key.)はキーボードにまたがりながら流麗に鍵盤を奏で、時にヘッドセットマイクでステージ中央に躍り出る。真っ青な髪と派手なドラミングを見せるはな(Vo.&Dr.)は、パワフルで手数が多いドラムを叩きながら、こんなに歌が歌えるのかと疑ってしまうほどにエモーショナル。そんな強者プレイヤーたちの演奏に、ガチャガチャダンサーズの1号 まいと2号 ありさが音にシンクロし、ダンサブルにライブの高揚感を煽っていく。ステージのどこを見ていいのかわからない、誰を見ても熱く、どこを見ても楽しめるのである。

 「ヌーディリズム」「好きな人、だけど…」ではアコースティックなガチャピン、“アコピン”でしっとり聴かせる。奇抜さと爆音ロックの印象が強いが、聴かせるところはしっとりと聴かせてくれるのも魅力の一つだ。レオナがくわえたゴムの端をステージ前のカメラマンに渡し、「絶対に離したらダメですよ」からの“ゴムパッチン”、恋愛トークからの“たらい落とし”など、往年のベタなコントもしっかり突っ込んでくる。先ほどまでの尋常じゃない熱量と確かな技量によって作られるライブとは裏腹に、バカバカしい要素も全力でブチかましてくるのがガチャピンだ。

 どこに目をやっても派手なステージ上でひと際目立つのは、はなのドラムセットだろう。打面側にしか張られていないヘッド、タムの胴が配管のように曲がった強烈なインパクトを与える造形美は正面から見ればアルプホルンのようでもある。1970年代に短命で散った幻のドラムメーカー“NORTH”社のセットだ。今現在、これを使用しているドラマーは世界中探しても彼女だけだろう。それだけ、希少な楽器であるにも関わらず話題に上らないのは、ドラマーはおろか、楽器マニアにすらその存在は知られていないからである。現物どころか、写真ですらほとんど存在せず、インターネット上にもほとんど情報がない。あまりに個性的な音であり、チューニングも相当困難であるため、市場には受け入れられずに消えてしまった。そんな取り回しの難しい個性的なドラムですら、自分の音にしてしまうところに、彼女の力量とこだわりをうかがうことが出来るのである。ドラムプレイに明るくない人ですら、彼女のプレイの凄さはわかるはずだ。

 デジロックなサウンドと、オートチューンを掛けたレオナのヴォーカルに印象的なライティングが華を添えた新曲「夢喰いザメ」、パラパラダンスの「JUICY BEATS」。会場全体に赤、青、緑…と、“光る手袋”が舞う。ステージ前方に設置されたVドラムに座り、右手をぐるぐると大きく旋回させ確実にビートを刻みながら歌うはな。こんなにも圧倒的な存在感を放つボーカル&ドラムが他にいるだろうか。

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