WHITE ASHはロックミュージックをどう再定義した? 新アルバムのモダンな音楽性を分析

 ちなみに、のび太が本作レコーディング時によく聴いていたのは、アークティック・モンキーズ『AM』、カサビアン『48:13』、ダフト・パンク『Random Access Memories』、エド・シーラン『×』、ファレル・ウィリアムス『Girl』、サム・スミス『In The Lonely Hour』といった作品だという。既に出ている各レビューなどでは、タイトルの「BLACK」や「GROOVE」という言葉に引っぱられてか、「R&Bやヒップホップからの影響」みたいな文言が散見されるが、必ずしも本作は広義のブラックミュージックの影響をダイレクトに受けた作品ではないだろう。WHITE ASHが本作で鳴らしているのは、先ほど並べた作品をはじめとする同時代の優れたロック/ポップミュージック/ダンスミュージックを当たり前のように吸収した極めてモダンな音楽であり、「ロックって、そもそもそういう音楽だったんじゃないの?」という問題提起だ。

 たとえば、60年代にボブ・ディランらの影響から日本でもフォークミュージックが盛んになったが、いつしか海の向こうで意味するところの「フォークミュージック」と日本で意味するところの「フォークミュージック」はまったく別のものになっていった。ロックにおいても長年にわたってそれとまったく同じことが日本で起こっているのは、改めて指摘するまでもないだろう。音楽のジャンルのそうしたローカライズを必ずしも否定するわけではないが、誰かがそこで再定義をしてみることには大きな意味がある。メロディではなくあくまでもリフが主体のギター、うねりまくるベース、まるでジョン・ボーナムのようなタメのあるドラムをバックに《just give me the rock’n’roll music》とのび太が歌い上げる『THE DARK BLACK GROOVE』とは、そういう作品だ。

WHITE ASH / Teenage Riot 【Music Video】

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

■リリース情報
『THE DARK BLACK GROOVE』
発売:3月4日(水)
価格:¥2,800+税
※初回生産分:三方背ケース付き

収録曲
1. Orpheus 
2. Just Give Me The Rock ‘N’ Roll Music
3. King With The Bass
4. Teenage Riot
5. Walking In A Cloudy
6. Night Song
7. Quandata
8. Speed It Up
9. Zero
10. Hopes Bright <※学校法人・専門学校 モード学園(東京・大阪・名古屋)テレビCMソング>
11. Gifted

■ライブ情報
『WHITE ASH One Man Tour 2015 "DARK EXHIBITION"』
4月4日(土) 札幌PENNY LANE24 Open 17:00 / Start 18:00
4月10日(金) なんばHatch Open 18:00 / Start 19:00
4月17日(金) 新木場STUDIO COAST Open 17:30 / Start 18:30

■イベント情報
3月10日(火) ツタロックフェス2015
@TSUTAYA O-EAST、O-WEST、O-nest、O-Crest (4会場同時開催)
※対象商品の購入者対象の完全招待制イベント。
3月11日(水) タワーレコード梅田NU茶屋町店 インストアライブ&サイン会 19:00~

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