小山田壮平&長澤知之のユニットAL、バンド編成のファーストライブを緊急レポート

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 ALと書いてアルと読む。これまで、小山田壮平と長澤知之の熱心なファン以外にはほとんど知られていなかった2人のユニットの名前だ。2011年5月に渋谷B.Y.Gでファーストライブを行って以降、ポツンポツンと断続的に(時にはイベントのサプライズゲスト出演といったかたちで)行われてきた両者の共演。事前に公式アナウンスされてのライブとしてはこの日が3回目となるが、今回のステージは小山田壮平が在籍していたandymoriが昨年10月の武道館公演で解散して以降、初めてのALとしてのライブという意味でも注目が集まっていた。

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 会場の渋谷B.Y.Gはわずか80席しかないライブバー。事前におこなわれた先着順のメール予約はもちろん一瞬で完売。開演の30分以上前からぎゅうぎゅう詰めとなっていた客席の前のステージには、ドラムセットやベースのアンプまでセッティングされていた。そう、それまでALは基本的に小山田壮平と長澤知之のアコースティックユニットとして活動していたが、この日のライブは(事前に告知されてはいなかったが)バンド形式によるものだったのだ。ステージに上がったのは小山田壮平、長澤知之、そしてベースに元andymoriの藤原寛、ドラムに吉本ヒロの4人(ちなみに4人とも同じ30歳)。まだこの4人でメンバーが固定されるかどうかは定かではないとのことだが、当たり前のように藤原寛がベースを持ってステージに立っている、その予想だにしない光景に会場はどよめいた。

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 アンコールなし、約1時間のステージで披露されたのは全15曲。「Happy Birthday」「北極大陸」「会いに行くよ」といった過去のステージでも披露された曲も当然含んでいたが、もちろんandymoriの持ち曲も長澤知之の持ち曲も1曲もなし、すべてがALの曲で全15曲である(もうそのままフルアルバムが作れるじゃないか!)。聞くところによると、その多くは今年に入ってから2人で作った新曲とのこと。これがもう、呆気にとられるほどの名曲の嵐! おそらくはソングライターがどちらかによって曲ごとにリードボーカルは入れ替わるのだが、大半の曲でもう一人のコーラスが途中で入り、両者が奏でるギターのハーモニーとともに渾然一体となって2人がエモーションを解き放っていく。まるでジョン・レノンとポール・マッカートニー(ポールはベースだけど)か、あるいはニール・ヤングとスティーブン・スティルスか、それじゃたとえが古いと言うならピート・ドハーティとカール・バラーかといった、同時代/同世代の天才的なソングライターが奇跡的に同じ場所で並んで歌を歌っている姿を目の当たりする喜び。そんな喜びにただ打ち震えるしかない、特別なステージだった。

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 小山田壮平と長澤知之の親密な交流については、これまでも両者のインタビューなどでの発言、あるいはandymori「ジーニー」(『光』収録)などの歌詞などからもよく知られていた。しかし、単にミュージシャン/ソングライターとしてお互いを刺激し合う仲というだけでなく、また突発的に一緒にステージに立って数曲披露する音楽を通じた遊び仲間というだけでなく、その関係が「楽曲制作」「バンドとしてのライブ」という領域で本物の化学反応を起こしつつあることがこの日のステージからはヒシヒシと感じられた。重要なのは、この日に初披露されたいくつもの新曲が、andymoriの作品における小山田壮平の良さ、長澤知之の作品における長澤知之の良さを、何らスポイルするものではなかったということ。そして、それぞれの活動の延長線上に確かにありながら、これまで見たことのないような綺麗な放物線を描いてそこで交わっていたことだ。

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