岡田康宏が語る、私立恵比寿中学の未来

エビ中、“ももクロの妹分”から脱却なるか 人見知り集団が『Mステ』で残した爪痕

 発売されたばかりのアルバム『金八』でも、前山田健一&さつき が てんこもりコンビによる飛び道具の「金八DANCE MUSIC」、エビ中と最も相性の良い作家の一人・たむらぱん提供の青春ソング「テブラデスキー~青春リバティ~」、同じくエビ中と相性の良い池田貴史(レキシ)による「U.B.U.(金八ver.)」、昨年「RO69JACK」に優勝した新星・魔法少女になり隊提供の「ちちんぷい」、鈴木慶一+曽我部恵一編曲の「幸せの張り紙はいつも背中に」、タイトルだけでなんとなくネタが分かる「買い物しようと町田へ」など、多彩な楽曲群が収録されており、ごく単純に音楽として楽しめる作品になっている(もちろん、楽曲以外の部分でも、エビ中らしい遊びが多数仕掛けられていて、メンバー個々のキャラを知って聴きこめば、なおさら楽しい)。

 グループの名前が私立恵比寿中学ということで、メンバーはリアル中学生かと思う方もいるかもしれないが、エビ中は「永遠に中学生」制度を採用しており、今のメンバーは中学2年生から6年生まで。エビ中に卒業の概念はなく、メンバーだけでなく、お客さんもスタッフさんも中学生という設定だ(自分の学年は年齢から12を引くとわかる)。一度足を踏み入れると永遠に卒業できない、卒業する必要のない中学校、エビ中の楽曲やパフォーマンスは、老若男女全ての人が心の中に持つ「中学生」の心を刺激する。

 すでにアリーナクラスの単独公演を成功させているエビ中には、ドームやスタジアムなど、より大きな会場へのステップアップ、さらには紅白歌合戦の出場など、いくつか次の目標が浮かんでくるんが、彼女たちにとって、まず何よりも大きな目標は「ももクロの妹分」からの脱却だろう。この偉大すぎる先輩の親類縁者としてではなく、私立恵比寿中学として、広く一般層にまで認知されること。Mステで残した爪痕は、そのための第一歩になるだろう。

■岡田康宏
編集者、ライター、カメラマン、評論家、コラムニスト、WEBプロデューサ。得意分野はサッカーとアイドル。著書・共著に『アイドルのいる暮らし』『サッカー馬鹿につける薬』『グループアイドル進化論』など。Twitter:@supportista

関連記事