フォーブス誌「最も稼いだ30歳未満」発表 T・スウィフト、スクリレックス躍進の背景は?

 一方で、2位に躍り出たワン・ダイレクションは、Spotifyをうまく活用できていたと、同氏は指摘する。

「ワン・ダイレクションは、現在ストリーミング再生数が10億回を超えていますが、Sporifyでプレイリストを作り、それをTwitterで拡散してもらうというプロモーション展開をしています。RTしてくれたファンにSpotify上の秘密ファイルが聴けるコードが送られるなど、ファンをターゲットにしたダイレクトマーケティングも積極的に展開しており、世界中のファンたちを夢中にさせています。歌や音楽はもちろん、ルックスやカリスマ性もありますが、まめなマーケティングを行っていることも、彼らの人気を高めている要因だと思います。また、彼らは自身をバンドと捉えており、歌うだけではなく、各々楽器も演奏しています。そうしたグループのあり方は、時代の多様性を表しているといえるかもしれません」

 世界中でブームとなっているEDMに関しては、踊れるだけではなく、しっかり“聴かせる”音楽を提供しているミュージシャンがスポットを浴びているという。

「EDMブームにより、似たり寄ったりなアレンジとサウンドが溢れてる中で、新たなダンス・ミュージックを提示したのがアヴィーチーとスクリレックスです。アヴィーチーはカントリー・フォーク調の『Wake Up Me』といったヒット曲を持つほか、アダム・ランバートやナイル・ロジャース、インキュバスといった幅広いミュージシャンをゲストに迎え、従来のEDMのイメージにとらわれない楽曲を多数生み出しています。スクリレックスは、21世紀におけるEDMの主流ダブステップから派生した“ブロステップ”の第一人者で、イギリスで誕生したダブステップを、アメリカ的にド派手に再構築しました。ワブルベースと呼ばれる中高音域の効果音のうねりと、攻撃的なサウンドは、ハードコア・バンドのボーカル出身であるスクリレックスならではのアプローチで、その音楽性はロック好きにも受け入れられています。メタルバンドのコーンや、60~70年代の伝説的バンドであるドアーズのメンバーともコラボしており、やはり従来のEDMの枠組みを越えています。そう考えると、踊れるだけではないEDMが、今年の潮流だったのではないでしょうか」

 上位は昨年に続きポップスのエンターテイナーが占めていたものの、新たな顔ぶれの活躍も目立ち、9〜10位にはEDM勢が入ってきた今年のランキング。販売方法も含めて、来年は音楽シーンにさらなる変化が見られるかもしれない。

(文=編集部)

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