David Bowie『Nothing has changed』 リリース特別企画

坂上 忍が語る、デヴィッド・ボウイの魅力「変化に対して勇気を持ったアーティストだ」

 

「ボウイの好きなところって100人中100人に好かれないところ」

――「FNSうたの夏まつり2014」で坂上さんが「レッツ・ダンス」を唄ったことによって、あらためてボウイに興味を持つ方もいらっしゃるかもしれません。そういう意味ではこの『ナッシング・ハズ・チェンジド』はいい入り口になるとも思うのですが。

坂上:このアルバムは初期のものから近年のものまで入ってるんですが、どれもまったく古くないですからね。個人的にはいまどきの音楽を買っていなくて、それこそボウイに近い年代の作品を買い漁ってるんです。この年代のひとたちの音楽って、まったく飽きなくて、古びてないんですよ。だからこのアルバムのなかに入っている曲が40年位前のものだよって聞いたらびっくりすると思います。またボウイの場合は歌声に中毒性がありますからね。ときに囁くような、ボウイにしか出せないエロさみたいな声を聴いていただければ、曲自体を楽しむのと同時にデヴィッド・ボウイの〈声音〉にはまると思います。そういう楽しみ方もできる稀有なアーティストだと思います。本当に独特ですよね。失礼ではありますが、唄がうまいって言うよりは忘れられない歌声ですよね。残っちゃうんですよ耳に。音の記憶として。それで執拗に繰り返し聴きたくなるっていう。こう、ミュージカルを観たときに気に入るとサウンドトラックを買ったりしますよね。それを聴くと自分で観たストーリーと重ね合わせて情景が浮かび、ドラマとして聴けるじゃないですか。デヴィッド・ボウイのアルバムもまさにそんな感じですよ。1曲、1曲にドラマ性があって物語を追うようにぼくは聴いていたので、そういうアーティストっていうのはとても珍しいんじゃないですかね。

――特設サイトを設けての「ボウイ王決定戦」もスタートします。そこではボウイに関する100問の問題が用意されています。坂上さんがご参加されたら何問くらい正解しそうですか?

坂上:100問! そうですね、3問くらいじゃないですか(笑)。でも、こういうの詳しいひとは詳しいですよね。だから面白い企画だと思いますよ。

――お友だちのなかにもボウイ・ファンはいらっしゃいますか? そういう方々とボウイ談義になることはありますか?  

坂上:もちろんいますよ。それこそFNSで唄ったときはすぐにメールきましたから(笑)。“ボウイ、唄っちゃうの”みたいなね(苦笑)。まぁ特にぼくらの年代にとっては、確実に記憶に残るアーティストのひとりですから。でも、このひとはジャンル分けが難しいですよね。ブリティッシュ・ロックを代表するひとではあるんでしょうけれど、何かその枠にも入っているんだか、いないんだか。だから、まさにデヴィッド・ボウイというジャンルのような感じですよね。このひとの場合は。最近だときゃりーぱみゅぱみゅさんとかセルフ・プロデュース的な側面を感じさせるひとがいますけれど、まさにその走りというか元祖的な存在ですよね。自分で自分をプロデュースして、そのときに見たもの感じたものを曲にし、メイクをし、服を着て強烈に訴えるというね。それがいちいちスマートな感じがします。ちょっと独立感がありますよね。

――きゃりーさん世代のような若い方に対して魅力を伝えるとしたら?

坂上:ぼく、ボウイの好きなところって100人中100人に好かれないところだと思っているんですよ。ボウイはファッション・リーダー的なところもあったひとなので、時代とともに髪型、メイク、衣裳っていうのが変化していく勇気のようなものがあるじゃないですか。“何だあれ?”って思われるのを厭わないブレなさ加減みたいなところが好きなんですけどね。もしかしたらきゃりーさんに対しても“何だあれ?”って思うひとが絶対どこかにいるはずですよね。でも、そのときにそういう意見に惑わされてブレちゃうと突き抜け感はなくなってきますから。やっぱり、自分がこれだって信じたときにやりきるのがいいと思うんです。ボウイのステージを観ても自信に溢れているというか、そういうひとのライヴならこっちは安心して観られますし、そういう変化に対しての勇気を持ったアーティストだということですよね。それとボウイの曲を聴くにあたっては、この『ナッシング・ハズ・チェンジド』の3CDみたいに年代順に聴いていくのがいいかもしれませんね。それとともにできれば年代ごとの写真を見れば“わぁ、このときこんなかっこいいスタイル”だったんだってわかりますよね。だから曲もそうですが、ヴィジュアル的にもぜひ参考にしていただきたいですね。そうすると彼の生きざまがわかると思います。

――今後のボウイにはどうあってほしいですか?

坂上:うーん。難しいですねぇ……。個人的な想いとしてはライヴを観たいですけどね。それとあと1枚くらいアルバム出していただいて、それでもそんなに露出しなくてもいいんじゃない? みたいな感じはありますよね。それこそ伝説じゃないですけどね。ガツガツしている感じじゃない方がいいですよね。死ぬまで我が道を行くというか。最近も表には出てきてないでしょ。そういうところがかっこいいと言うかね。ちょこちょこっと映像くらいは観たい気持ちはありますけど、それと芝居。映画にも出てほしい。ただ当然トップ・アーティストで超売れてるひとだとは思うんですけど、お客さんをあまり満腹にさせないところがすごいなって感じますね。アルバム出る、ツアーやる、テレビ出るみたいなお腹いっぱいになるような感じがボウイにはあまりないですよね。忘れたころにいきなりアルバムが出すみたいな。これぐらいのひとはそれで丁度いいような気がしますね。

(取材・文=山田順一)

■リリース情報
『ナッシング・ハズ・チェンジド~オールタイム・グレイテスト・ヒッツ』
発売:【日本盤】2014年11月19日 【海外盤】2014年11月17日

<ジャパン・エディション> 初回限定価格盤 [1CD] WPCR-16186 ¥1,980(税抜)
<ジャパン・エディション> 通常盤 [1CD] WPCR-16187 ¥2,200(税抜)
<スタンダード・エディション> [2CD] WPCR-16184/5 ¥2,900(税抜)
<デラックス・エディション> [3CD] WPCR-16181/3 ¥3,900(税抜)

■『ボウイ王決定戦』 http://bowie-king.com/ ※スマホ限定サイト
デヴィッド・ボウイファンの日本一を決定するクイズ・サイト「ボウイ王決定戦」。
自他ともに認めるボウイ好きの著名人や、ゆかりのある音楽関係者たちが、ボウイにまつわるマニアックなクイズを出題。
全部で100問に回答し、ランキング上位の方にはデヴィッド・ボウイにまつわるプレゼントを贈呈。
最も多くの問題に答えられた方に、「ボウイ王」の名誉が与えられます。
第1問は、「デヴィッド・ボウイの大ファン」と公言する坂上忍さんからの出題です。

■『ボウイ王決定戦』 <坂上忍出題編>
https://www.youtube.com/watch?v=G9VmnlpisvA

■デビュー50周年ベスト『ナッシング・ハズ・チェンジド~オールタイム・グレイテスト・ヒッツ』
ミュージック・ビデオ・ダイジェスト <坂上忍リコメンド編>
https://www.youtube.com/watch?v=rOFiBqQY2WM

■「スー(オア・イン・ア・シーズン・オブ・クライム)」新着ミュージック・ビデオ <坂上忍リコメンド編>
https://www.youtube.com/watch?v=3NYgRuxO2sw

■ワーナーミュージック・ジャパン デヴィッド・ボウイ オフィシャルサイト
http://wmg.jp/artist/davidbowie/

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